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(228) 三つの寿命

  (228) 三つの寿命  

 「生き物 や モノ には寿命がある」ことを私たちは ぼんやり認識しています。たとえば「亀」や「電池」の寿命。ところがヒトの寿命となると、自分のことであるし 期待と希望がこめられるので、定義は定まりません。英語では「寿命」に相当する仏教語がありません。せいぜい “Life Span” (一定の短期間)と言えるでしょうか。

♣ 「生命」——極小のウイルスからヒトまで、の定義は「生まれ・生き・増えること」です。その生命を司るのは 遺伝子(DNA・RNA)ですね。そこでヒトの寿命を三つの段階に分けて考えます。また、空を飛ぶ「飛行機」にたとえてみます

① 遺伝子寿命、50歳 :この歳まで 遺伝子があなたの生命を保護してくれます;なぜなら あなたは子孫を産み増やす「有益な生命体」だからです。しかし、女性は50歳で閉経を迎え、子孫を作れない体になったことを宣言します。これと共に、遺伝子は その本来の「生体を守る役目」を終えます。だって「増えない体」は 遺伝子にとって「意味のない生命体」だからです1) 

♣ 動植物は子孫を作らない歳で Life Span を終えます。つまり、植物は実を結んで枯れ、動物は子を産み終えて死にます。日本人が「平均年齢50年」を迎えたのは昭和25年でした。それ以前の時期の日本人は 遺伝子寿命50歳の内で 遺伝子に保護された、短い元気な命を享受しました。「人を飛行機の例」で言えば、エンジンが回って、設計図通りに空を自由に飛び回っている状態になぞらえられます。

② 希望寿命、85歳 :85歳は 今の社会の平均年齢です。ヒトは文明・文化をはぐくんだ結果、ここまでは生きる権利があるようになりました。しかし、自然淘汰の歴史の中で形成されたあなたの遺伝子中には、もう「子を産む要素が欠落」しております。たとえば「歯が抜ける、老眼になる、髪が薄くなる、更年期症状がでる、骨粗鬆症や認知症になる、使い過ぎた細胞の反乱で癌が発生する . . . など。

♣ つまりヒトは50歳を越えることはできますが、遺伝子は、子を産まないあなたの体を守ることに興味を失うようです1) 。飛行機の例で言えば、エンジンが止まり、自由滑空の状態です。操縦が下手なら すぐ墜落、操縦がうまければ 良い着地点まで35年間も滑空できます。医療と介護の発展により、この35年(→ 85歳)は50年(→ 100歳)に伸びつつあり、日本の厚労省は「泣き喜び」の毎年です。

③ ギネス寿命、122歳 :122歳は フランスの女性 ジャンヌ・カルマンさんで、ギネス・ブックの最高記録です(1997.8.4死亡)。百寿の人々は どこまで行くのか「はてな?寿命」です。日本では百歳寿の人数が今年4万人を越え、にぎやかになりました。さすがに百歳寿というのは、「家系と食習慣」が寿を支えているようです2) 。アメリカでは101歳の男性がキャデラックでハイウェイを疾走;老人ホームで 自分よりも30~40歳 若い認知症老人の送り迎えの仕事で「生き甲斐」を達成していました。「高齢、良きQOL、社会貢献」 この三つが揃った 良いお話しですね3) 。飛行機の例で言えば、「はてな寿命」の方は、もう滑走路に着陸し、一般には惰性走行している状態 です、前方の障害物を取り除いてあげねばなりませんね。

♣ さて、私は「三つの寿命」として「遺伝子・希望・ギネス 」の三つを挙げました。私たちは無限に生きることはできませんが、少なくとも 希望寿命には達したいですね。そのためには、50歳を越えたら、「もう遺伝子は私の体を守る仕事をし終えてしまった、自分自身の注意だけが私の健康の頼り綱なのだ」と理解しておくべきでは ないでしょうか?

 参考: 1) Richard Dawkins : The Selfish Gene, 1976: 利己的な遺伝子、紀伊国屋書店 1991. 2) Gary Taubes : Live Long and Prosper : Discover Anniversary Issue, 10: 80~88, 2010. 3) Dann Buettner : The Secrets of Long Life in National Geographic 11: 2~27, 2005.
 
職員の声

声1: 「生命」とは「生きて、増えること」ですか?「増えないヒトは生命ではないのですか?係り:思考定義は全体的傾向を論じます;だってムギだって、増えない個体は多数ありますが、その仲間が補い余る活動をして増えます。人はイエス様のころ1億人、今70億人;間違いなく ヒトは生きて増えていますよ)。

声2: 確かに 昭和20年までは「人生50年」でしたものね、「遺伝子寿命 50歳」で 人生はこと足りていました;ところが 平和と食糧のおかげで「希望寿命 85歳」も帝王の贅沢ではなくなりました;有難いことです(係り:人間と飼育動物以外は「飢饉と捕食」により「遺伝子寿命」 さえ ままなりません。

声3: 私は「ギネス寿命」まで生きていたい から、生活習慣に目を届かせています(係り:酒・煙草・肥満・怠惰 . . . これでは遺伝子寿命 50歳 以上は期待薄ですね)。

声4: その「腹八分」というのは案外難しいです(係り:天然の動物は すべて “軽く痩せて” います;彼らは“食べて太る前に 子を産んで数を増やす”戦略をとっています)。

声5: 私はパールで働くのが「生き甲斐」です;高齢ご利用者でも「生き甲斐」のため、お料理がご自宅でできるように援助を惜しみません。

声6: さっき紹介された101歳の男性はすごい ですね;普通は 若者が年寄りを助けますが、彼の場合、自分より30歳~40歳も若い人たちの介護をしている ! これも 彼の「生き甲斐」だし、また こうでなくっちゃ 介護制度に一本柱が通らないよ ! 高齢者は要介護度を付けてもらったからって、甘えないで欲しいな係り:全く同感 ! )。 
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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