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(229) 了 解 不 能

(229) 了 解 不 能

パールのデイサービスで、A.S.様(91歳 女性 老人性認知症 要介護4)は、パールに到着された午前中に 説明ができないような「変な」言動をされますが、午後になると にこやかな 普通の人に戻られます。精神科の嘱託医O 先生のご意見を伺いました。

♣ 普通の認知症では、午後3時ごろから「変な」症状が現れ、これを「夕暮れ症候群」と呼びます。「変な」とは、目つきが変わり、会話が通じず、帰宅願望が強く、徘徊を始める . . . などで、誰もが「変だな?」と感じます。その理由は明らかでありませんが、幼児と同じように 早々と「疲れてくる」のだろうと説明されます。

♣ しかし、この方の場合、午前中に症状が出て 午後 引っ込むのだから、認知症だけでは十分に説明できませんね。しかし、「認知症の症状は 何でもあり !! 」と考えるべきだから、本当の理由は決定できません。付け足しですが、朝の強い症状は「ウツ」の合併も考えます。ウツの一般的特徴は、寝起きや朝に強い症状が現れ、電車に飛び込む人は 圧倒的に朝が多いです。霞が関では 多くの人たちが自殺をしますが、ストレス+ウツ+朝 が鍵のようです。

♣ さて、ここで「了解不能」の問題に入ります。普通の会話では「理解不能」と言いますが、精神の問題になると「了解不能」という表現が出てきます。つまり、人間の病的行動のうち、「理性ある人が どんなに考えても説明不能な症状 」をこの言葉で言い表します。了解不能な行動を起こす病気の代表は「認知症」と「統合失調症」です。もしこれを、数字の「分母・分子」で表わすとすれば、両者に共通な分母は「了解不能」です

認知症の場合、その分子は「各種の脳機能の脱落症状」です。「まだらぼけ1) でお伝えしたように、脳細胞が徐々に消えて行くと、それに並行して 脳機能も脱落します。その結果、認知症を数式で表すと「了解不能 / 了解不能」となるでしょう。すなわち、症状の原因は“さっぱりワカラン”状態です。

♣ 他方、統合失調の場合の分子は 主に各種の「妄想」であり、この中には創造的な「芸術」も含まれます(ベートーベン、ショパン、ゴッホ、ヒットラーなどが有名)。数式で表すと「妄想 / 了解不能」となるでしょう。統合失調では、秀才・天才が輩出されますが、認知症で創造的な仕事をした人はゼロです。

このストーリー、どうでしたか? 私たちは 主に認知症の介護に取り組んでいますが、認知症って分かりにくいで病気ですよね。でも、統合失調と対比してみれば、どっちも「了解不能」が共通分母ではあるものの、分子の違いで なんとなく浮き彫りになるような気がしませんか?

  参考: パールの安全管理  1) # 224 : まだらボケ。

職員の声

声1: ウツと朝の通勤帯の飛びこみ自殺が「関係あり」とは思っていず、ビックリしました。

声2 :年間400人あまりの人々が霞が関周辺で自殺するのですか?信じられません(係り:私もお話しを伺っていてビックリです;それにしても、パールの山の手の環境は有難いですね)。

声3 :霞が関でそんなに死ぬのなら、日本全体ではどうなのでしょう?(係り:この10年以上、年間3万人前後で、死亡原因の第5位を続けています;その多くはウツが関与しています;東京の人口は日本人口の1割強、単純比例計算で3000人が東京で自殺となり、霞が関の400人は驚く数ではありません)。

声4 :ウツの医療や精神補助は進んでいないのですか?(係り:ウツの多くの方は「内科医」を訪れ、標準的な精神相談が遅れます。(詳しくは パールの安全管理「ウツの合言葉は“星ヨ ! ”」2) をご覧ください)。

声5 :認知症では「何でもあり ! 」と聞き、ますます危機意識をもってケアに当たります(係り:理屈でケアするのではなく、そのかたに“寄り添う”という気分がベスト;別な言葉では“ボディー・ランゲッジ3) が適当です)。

声6 :私は ケア歴が少なくないのに、「認知症の夕暮れ症候群」と「ウツの自殺は朝に多い」を初めて知りました;目が醒める思いです係り:O先生のお話は、いつも切れ味が良く、認知症と統合失調の違いを分かり易くお話しくださいます)。

  参考: パールの安全管理 2) # 195 : ウツの合言葉は「星ヨ ! 」。 3) # 205 : デジタルとアナログ。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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