FC2ブログ

(232) 死 生 観

(232) 死 生 観   

お年寄りの介護に携わっていると、しばしば 死生観とは何だろう?と考える時があります。死生観とは「死 や 生死 に対する考え方」のことです。

♣ 中央アジアで、今から何万年も前の「人と花粉の化石」が発掘されました1) 。その頃、すでに「あの世」という考えがあったことを示し、死生観の歴史は文化の歴史より古い ことが示唆されています。有史時代になってからも、宗教や哲学となって、死生観は生き続けました。現在でも、15歳前後の若者は、少なくとも一時期、「意味のある人生とは何か? 」などの死生観を仲間たちの間で論じます。

♣ 「日本は無宗教国家か? 」と外国人は尋ねます。それほど 日本人は日常生活の中で、宗教または人生を語らないようです。日本は明治時代、「廃仏毀釈」(はいぶつきしゃく)の政策により、仏教の力が衰えました。また、敗戦により、神道の考えも衰退 してきました。その上、1960年から1990年ころまでのバブル期に、経済の発展と歩調を合わせて、日本人の寿命はぐんぐん伸び、「人は死なない」という感覚が社会に蔓延(まんえん)しました。以前は、親の看取りは「家庭で」が主流であり、人の死は生(赤ちゃんの誕生)とともに「身近なもの」でした。

♣ しかし、人の所得が増え、病院が整備され、三世帯家族が親子だけの二世帯家族に分かれるにつれ、親の看取り の場所は「家庭で」が70%であったものが20%に減り、 「病院で」が70%に逆転しました(1977年)。つまり、人の死を自分の手で看取った経験のない人が国民の多数派になったのです。そこで日本人は「死」というものを、「拒否・隠蔽」いんぺい)することに慣れてきました。「不死観」の下では、「キュアとケア」が二項対立してしまい、死は「悪」となりがちです。

ハムレットは「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ ! 」と憤慨しましたが 2) 、なにせ、ハムレットは若かったのです。今の高齢者福祉は、全く事情が違います。老人介護の本来の姿は、「根治できない老人集団をサポートすること」です。ふだん死を考えていなかった人の人生観というものは、死の困難に対面すると 驚くほど優柔不断、かつ浅薄な狼狽ろうばい)を露呈し、驚かされます。

♣ 前回の「安全管理」では「三つの寿命」の話題を提供し、「遺伝子寿命、希望寿命、ギネス寿命」について考察しました 3) あなたの死生観 は いっぺんに獲得されるものではなく、あなたが仕事を通して経験し、ご家族や仲間と話し合う中で徐々に形成されて行くものです。そこで今回は今一度、あなたの「死生観」に思いを馳せ、あなたの考えを述べて頂きたいと思います。

参考: パールの安全管理 1) # 23 : シャニダールと福祉。 2) シェークスピア作:デンマーク王子ハムレットの悲劇、ca A.D.1600. 3) パールの安全管理 # 328 : 三つの寿命。

職員の声

声1: 「死生観」とは「奥深い言葉」です、感動しました;パールの三理念 4) と相通じる言葉だからです。

声2:死を考えない人生というものは、どうしても心が浅くなる」とのお言葉が印象に残りました。

声3: 死を悼む気持ちは人間の文化よりも古く、何万年も前の「骨と花粉の化石」発掘で「あの世を人々が理解していた、とは感慨深いものがあります。

声4:良く死ぬことは、良く生きることだ」というお言葉があり、パールのご利用者が 満足のいく 生涯の最後でありますように、努力を重ねたいです。

声5: ご利用者が「死にたい」とおっしゃった時、自分の死生観が甘かった ことを反省しました。

声6: 高齢者介護で教わったことは、「生きるべきか、死ぬべきか」ではなく、「生きている時は、“生きる”」という事です。

声7: 私は 今まで死を意識することはなかったのですが、パールに勤め、人の死を強く意識するようになりました;死ぬ方があるのは悲しいです;私は傍にいてあげたい

  参考: 4) パールの三理念 = 人間らしい生活、 その人らしい生き方、 お互いに伝えあうぬくもり。 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR