(244)  器質性 せん妄

 (244) 器質性せん妄  

 やにわに 「器質性( きしつせい)」 という難しい言葉が出てきて ごめんなさい。昨年の暮れ、デイサービスをご利用のI.S.様(77M 要介3)の情報提供書に この病名があったのでビックリしました。そこで元精神科嘱託医のO先生に解説をお願いしました。以下はO先生のお話です:-

病気の名前を付ける時、二種類の形容詞をつけると便利である(つまり、“器質性”と“機能性”)。「器質性」とは、“あらかじめ はっきりした病変がある場合”を指し、この例のように「器質性せん妄」であれば、基礎疾患として「脳梗塞・脳腫瘍・脳外傷. . .」などが存在し、それに付属する症状として「せん妄」がある、とみる。もし「機能性せん妄」なら、基礎疾患がない、または“酒の飲み過ぎ”などにみられる“せん妄”を指す。クモ膜下血腫の頭痛は“器質性”、心配ごとがあっての頭痛は“機能性”のように使い分ける。

次に「せん妄」とは何か?実は、一般の人に限らず、医師であっても専門外の医師なら、 「せん妄」の定義を理解することは困難である。精神科医のみが、その「匂い」を直観的に感じ取る。その特徴は「軽度の意識混濁と精神的な興奮が混ざった状態」であり、不安・幻覚もあり、見当識も障害されている。外界との接触が多少保たれていることもあるが、すぐ失われてしまう。被害妄想・暴力もあり得るのに 本人は「せん妄」時の記憶がない。「せん妄」の分かり易い判別法を教えよう:「トンチンカンな返事・繰り返し会話」があれば、せん妄を疑う。

普通の人でも「機能性せん妄」になり得る ! それは「酒に酔った時」及び「睡眠剤を飲んで まだ寝入る前の時間帯」だ。したがって、大酒家の“酔いどれ”、および睡眠剤の助けを借りる老人の“眠前トンチンカン”には要注意である。酒を飲んだ上、睡眠剤を飲めば、“手が付けられない”状態に陥る。悪いことに、これらの場合 自分の発言や行為を“まったく”覚えていない事が多い !! そこで、酒の醒めた翌日“もめ事”に至る場合がある。

せん妄から醒めた状態の人でも、精神科医であれば、長年の経験と勘によって その人の「せん妄歴」を“嗅ぎ当てる”ことができる。:- 

♣ 以上、提示した症例 I.S.様は 脳梗塞による“器質性せん妄”でした。現在は薬物でうまくコントロールされていて、デイサービスの提供には差し障りがありませんでした。

♣ 職員の皆さま方も、理解できない「情報提供書の病名」があったら、遠慮なく相談してください。ご利用者の基礎状態は、内科・精神科・整形外科の範囲なら すぐさまに、それ以外の場合であっても 病院受診などによって すぐ分かりますので、ご活用願います。

職員の声

声1: I.S.様はお話の受け答えが滑らかでなく、こだわりの多い方です。

声2: 私は「器質性せん妄」という情報提供書の病名を見てビックリしましたが、O先生の解説を聞き、とても良い勉強をしました。

声3: 病気には「器質性」と「機能性」という分け方があることを知りました;なるほど合理的な分類です(係り:この方の場合、“器質性”と分かったので、対応の道筋が見えてきます)。

声4:
お年寄りが増えてきたし、若者でも酒飲みの睡眠剤が世にはびこっていると聞きます;いずれの場合も「せん妄」の病歴に注意せねばならない事を知りました(係り:新聞・テレビでみる犯罪のかなりの部分が「酒 + 睡眠剤」です;近寄るのは危険です)。

声5: 私は かなりの酒飲みですが、「沢山の虫」の幻視が出てくる“アルコール性せん妄”は怖いです(係り:それはアルコール依存症に典型的な幻視ですね、人生を誤ります —— そこまで行かなくても、学生や若年成人が「飲み会」で酒を飲み、勧められて 見知らぬ「薬」をやると、将来の人生に禍根が残るかもね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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