(247) スエーデンの認知症は優雅か?

 (247) スエーデンの認知症は優雅か?  

 多くの皆さん方は 進行する「認知症への対応」で、困り果てておられます。そこで私は福祉先進国の事情を思い出しました。

♣ スエーデンでは、前世紀の初頭から老人福祉の先駆的な対応を実行しています。その手始めに「施設介護」を始めました。しかし、大人数の老人を一箇所に集めて介護するのは良くない という結論に達し、グループ・ホームに転換しました。仲間の顔や名前を覚えて付き合うためには、数人程度のグループ介護が適当である、との信念によります。近年では、それがさらに進み、要介護者には独立した 小さな一軒家を与え、ワーカーの 頻繁な訪問介護が主流になった、と聞きます。「個人の尊重」が その理由だそうです。家族の関与は ほぼなくなっています

♣ これを実現するためには、莫大な予算が必要ですが、まず市民から税金を多く取ります。その上、北欧4国はいずれも、国民所得が世界のベスト10に入っていて 財政的に安定しているのです。つまり、このスエーデンの福祉対策は「優雅」と言えるでしょう。

♣ 他方、老人の認知症の症状はどうでしょうか? “おさらい”になりますが、認知症は、まず短期記憶の喪失で始まります。続いて失見当識しつけんとうしき)が現れます。つまり「時・所・人」の観念が この順に無くなり、立派な認知症の出来上がりになります1~3) 。私はスエーデンの実情を観察してきましたが 4, 5) 、「大声で叫ぶ、どこでも徘徊・放尿、むせて誤嚥」など、その症状は万国共通でした。スエーデンだからと言って、症状はちっとも「優雅」ではありませんでした

♣ そこで提言:- 認知症への対応は大変かもしれませんが、ケアにおけるパールの三理念(= 人権の尊重、 個人の尊重、 伝え合うぬくもり)は、やはり全世界に共通だろうと思うのです。困難を前にして「めげそう」なこともあるでしょうが、それはスエーデンでも同じ ことです。迷うことなく、前進して行きましょう。

参考: パールの安全管理  1) # 30 : 時、所、人。 2)  # 120 : 長寿は嬉しい。 3) # 145 : 親切な蛙。 4) #63 : 介護と政府のサイズ。5) # 84 : ミスのひみつ。

職員の声

声1: 介護で抱えている問題は 世界中どこでも同じと知りホッとしました;くじけず前進したい。

声2: スエーデンでも「挑戦・失敗・反省」があったのですね(係り:いまでも模索しているようですよ)。

声3: 施設介護ではなく 在宅介護を中心とする姿勢が教訓的でした(係り:日本でも「在宅介護をもっと進めたい」と政府は言ってますが、それは「今の在宅で、家族の手も借りて、安上がりにしたい」ためです;スエーデンは違います;お年寄りを高齢者に適した専用の一軒家に移してケアする ため、多くのお金をかけます)。

声4: 家族の関与がほぼ無くなっていると聞き、驚きました(係り:介護は「プロの仕事」と認識しているのでしょう;スエーデンには儒教(じゅきょう)の教えもありませんし、義務も相続権もありません)。

声5: それって、優雅といえるのでしょうか?(係り:その制度は優雅に見えますが、認知症の身体症状は 万国共通です)。

声6: 自分が認知症であることを認知できない人は、幸ですか? 不幸ですか?(係り:幸でも不幸でもありません;「ボケ勝ち」だと思います6) )。

声7: 日本の福祉の現状は優雅ではないのですか?(係り:これは根本的な質問ですね。 「優雅や満足」は かなり相対的な感覚です。介護保険は「幸せ」を運ぶはずでしたが、ご利用者の権利意識の高揚 で「不幸せ」を感じる方もあります。「高齢化」が さらに進むにつれ 拍車がかかっています)。

声8: 税金は高く、「弱者へしわ寄せ」なのではありませんか?(係り: 「しわ」は、お年よりにではなく、若い納税者に掛かっている のが実態です ! 今も昔も お年寄りは「元気で長生き」が合言葉です;でも 昔は長生きでさえ困難でした;今「元気」は叶わずとも、せめて「世界一 長生き」という現状に添うような ケアを致しましょう;そうすれば、日本もスエーデンと同格 だと思います)。

参考: パールの安全管理 6) # 31 : ボケ勝ち。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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