FC2ブログ

(263) 介護 と T.P.P.

(263) 介 護 とT. P. P.

平清盛たいらのきよもり)は 日・宋貿易を始めて 大儲け をしました。でも、やがて 貿易船が下関(しものせき)から瀬戸内海を通って難波(なにわ)に着くまでに 海賊船がはびこるようになり、清盛は盗賊退治に乗り出します。NHKの「大河ドラマ」は 今年の2月に入って その様子を画面で見せてくれます。弓矢と刀、それに男たちの腕力、700年前の熾烈な海の戦い . . . 現場は教科書と違った迫力がありますね。それほどまでに「貿易」というものは 昔から 大事な仕事でした。

♣ さて T.P.P. とは何か?介護に何か関係があるのか?まず その意味:- T はトランス(trans- 越えて、横切って)、次の Pはパシフィック(Pacific 太平洋の)、三番目の Pはパートナーシップ(Partnership 協力)つまり「環太平洋協力」です——文字面(もじづら)で理解すれば「太平洋に面する諸国が(貿易上の)協力をすること」です。でも これだけでは何だかさっぱり分かりません。日本はT.P.P.に参加することを決めましたが、政治家やマスコミの反応は いまいち 国民に伝わって来ません。そこで キーワードの「貿易」と「協力」を見直して見ます。

貿易とは 二つの地域が 物産を取り交わすことです。昔は「物々交換」だったでしょうが、現在では「ドル決済」が多いですね。しかし、貿易を相互の幸せに繋がせるためには、努力が必要です。たとえば、日本にとっての「お米」は150年前までは 大事な「通貨」だったし、お米の一粒一粒には「観音様が宿る」というほどに 大切にした歴史があり、単に 金銭面で 他国のお米と比較するのを許せません。だから、輸入米には 700%もの関税をかけて、日本農家を守っています。T.P.P.になったら、関税は0%になるかも知れませんが、それでは 農家も日本も困りますね。他方、大きな輸出品である家電製品や自動車は 相手国の低い関税を求めたいですね。今、日本のトータルとしての 「関税のあり方」が問われています。

♣ 160年前、アメリカのペリー提督が黒船に乗って江戸を訪ね、「腕づくで開国」を迫り、日本は「不平等条約」を結びました。以後だんだんと 不平等条約は解消されましたが、「貿易と儲けの心」は 平清盛の頃と本質は変わっていません:でも 物品によって 関税700%というような 不平等さでは 貿易する心を阻みますね。

♣ そこで この際 条約を結んで「いっさい お互いの関税を取っ払う」という「互恵協力」が提案されました。まあ 貿易する物品ごとに「損得の落差」がありましょうが 1) 、それを どのように解決するかは これからの交渉に懸かっています。臆病風に吹かれて、門を閉ざすこともできましょうが、我ら日本人は かって 明治の「黒船時代」を乗り越えて 世界と交流する路を選んだのです。「やるっきゃナイ ! 」と思いませんか?2, 3)  

♣ そこで本論、日本が攻め込まれて苦戦する領域は何? マスコミの声は“農林漁業”と“外国資本による 日本の国益持ち出し?”で一致します。私たちに関係する問題は、“サービス業、特に 医療・介護の世界です。どんな事態かを予想しましょう。① まず、アメリカがお得意の「特許」、特に医療・手術の特許に警戒すべきです。京大の山中先生は、iPS細胞製造法で国際特許を取得したそうです。遺伝子の特許も見習うべきです。

♣ ② 介護の世界では「介護支援ロボット4) の開発ならびに受け入れ——ロボットの国内需要を確立しておかないと 先を越されます。また先回 触れた「胃瘻やIVH」、「ラパマイシン」などの延寿法 5) を国際的にどう受け止めるか、日本人の態度を決めます。きっと“延寿”では 勝負に負けるでしょう。

♣ ③ T.P.P. の基本姿勢は「政府が国民を守る制度をやめ、参加国が自由に参入してビジネスに徹すること」です。そうなると、日本の公的医療介護の保険制度 が外国の参入障壁であるとして訴えられる可能性があります。つまり日本の医療費・介護費が高騰して、地域医療や介護は崩壊する危険をはらみます。試算ですが、抜歯一本、アメリカでは100万円もかかることが予想されています→「マイケル・ムーアの“シッコー”参照」6)

♣ 皆さん方も 自分の事として、T.P.P. の利害得失を考え、「介護に関する国際感覚」を磨きましょう。多国間の協議に 甘い“思いやり”を期待するなかれ !

   参考: 1) 鈴木宣弘:T.P.P.と国益、学士曾会報 2011-V p46~59。パールの安全管理 2) # 225 : 戦略と福祉。 3) # 251 : 三(さん)する。 4) # 206 : 介護支援ロボット。 5) # 257 : 延寿の騒動。 6) # 111 : 救急小史。

職員の声

声1: 日本が700%もの関税を掛けて 外国米の輸入を阻止していた、とは知らなかった;何十年か掛けて改正するのですか?(係り:もしTPP参加なら、関税はすぐ撤廃されるかもしれません)。

声2: 参加の国々の顔ぶれを見ると 実質的には日本とアメリカの勝負ではないか?アメリカとは戦争をして日本が負けた ことを忘れてはならない;TPPを警戒すべきです。

声3: 日本の医療・介護がアメリカ式になったら「万事休す ! 」ですよ !

声4: マイケル・ムーアの映画のように、日本の先人(せんじん)方が努力して立ち上げた賜物である介護保険に TPPなとど言ってアメリカあたりが入りこんで利益収奪するなんて 許せない。

声5: 日本人の優しい性格のまま国際的な場での有利な交渉が可能でしょうか?心配です;参加する以上、日本の国益を忘れてはならないし、TPPに限らず、「収支を見て」 行動することを忘れてはならない(係り:総理大臣殿は“国益を守る~損をしない”と明言しておられます)。

声6: 生活や医療・介護に関することは もともと文化や死生観が違う ので TPP参加はうまく行くのかな?と疑問に思う:そもそも 理想のスエーデンは遠い国です、なぜ 近いアジア諸国の介護の話題が出ないのだろう?(係り:介護とは 愛情のほかに 「ヒト・モノ・カネ の塊」です;アジアの実情は言い語れないほどに悲しいらしいです——お金持ちは別のようですが)。

声7: 日本の農業はTPP反対(不利益)、輸出業者は賛成(儲かる);やはり儲けが出るように工夫しなければなりません。

声8: 今のままの政府は国民の福祉を守れるでしょうか?日本は 周辺諸国の脅威を抑えて自立すべきです;国を開いて 自分の地位・実力・能力の向上などの戦いを通し、TPP参加の「荒波」を一つ一つ乗り越えるべきでしょう —— 明治維新で黒船を乗り越えたように;そうしてこそ 明るい福祉の未来が開けると思います。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR