(272) 高齢者福祉 と 少子化

 (272) 高齢者福祉と少子化     

 少子高齢化という掛声にはウンザリ しますね。いつもの話では「高齢」に視線が当たるので、今回は「少子化」に注目しましょう。

♣ 子供の出生統計には「完結出生児数」という考えがあり、これは「結婚後、19年経過した夫婦の 平均的な子供の数」のことです。この数は1970年頃から以降、すっと 2.2人 で経過し、最近は徐々に低下して2010年の調査で、1.96人 と 初めて2.0を割り込みました。昔と違って、結婚して平均で二人の子供を産み育てることさえ できなくなったのです。

♣ 「高齢化」の原因は「介護と福祉の賜物」だから、理の当然で 説明を要しません。でも「少子化」はナゼ 起こるのですか? その原因は 大きく三つ あります。

平均初婚年齢は2010年度調査で男性30.4歳 女性28.6歳;過去の5年間で男女ともさらに 1歳 ほど晩婚化しました。このため、夫婦は すぐに「高齢不妊」に陥り、当然、少子化です—— 昔は 30歳 までに 2~3人の「健康な子供」が生まれていました。

第二の原因は、“妻たちの声” = “子育て・教育にお金がかかり過ぎて、昔のように沢山は産めないわ。私も楽(らく)したい”。政府は「育児費援助」の政策を取っていますが、「その位のお金」では 出産できません;このことは 先進諸国で実証されています。

 少子化の「真の原因」は、逆説的ですが、「介護保険の充実」にある、と近年 理解されるようになりました。「子育て」は、本来、自分の「老後の生活」が掛かっていました;一定数の子を産まなければ、昔の夫婦の老後は悲惨なものでした。ところが、この重大な問題を 介護保険が代理しますから、苦労の多い子育てをパスする夫婦が激増することになります—— 30年前から はやったダブル・インカム・ノー・キッズ(Double income, no kids.)のおかげで沢山の若者が 子作りを忘れ、人生を遊びました !

♣ また、「のんきな一人暮らし」を選ぶ若者の数は この15年で2倍に増えています。でも、 “Single life, no kids.” で、子や孫を生まない この人たちの老後の生活を 誰がサポートするのですか?

♣ 介護保険が展開するにつれ、人々の心は 親を看る気持ちが薄く なり、自分たちは楽(らく)を求め ます。社会に貢献する責任感は希薄化 します。政府のプランは、残念ながら視野が狭く、これが仇になって「少子化」は進み、その結果 世代間の相互扶養型の介護は崩壊 に直面しています。

♣ 一つのエピソードを挙げましょう:- サボテン放置しておくと 季節がくれば 自然に花を咲かせ、実を結び、繁栄します。しかし もし水と肥料を与え、手を加えると、サボテンは 実を結ばず 増えもしません。人間も同じです:老若男女とも 過保護 は人間の依存心を深めるだけ です。生活の保障も ほどほどに留めるべきであり、 将来展望に欠けた浅知恵政策では 人は横着になるだけ でしょう。

♣ 日本人の 社会保障というものは 本来の姿に戻って「身障児者や生活困難者など」の 本当に困った人々を対象に絞り込むべきではないしょうか? それなのに、格差を嫌う日本人は 福祉を国民の 全員に適用し、その結果、若者たちの 気楽な晩婚・未婚を許し、少子によって「楽な今」を追い求める ようになったのだと思います。つまり「介護保険の展開が 少子化を促進している」のです。

♣ 私たちは 介護の仕事に熱心であればあるほど「少子化が強まる」 という矛盾に なんだか割り切れない ものを感じます。あなた自身も 介護保険に守られる 自分の楽な老後を夢見ていませんか?—— 制度に甘えて安心するからこそ 晩婚・未婚・少子化が発生します。

♣ 現実は厳しいですよ。少子化が続く限り、年金も介護保険も 近い内に破綻すると、ささやかれています—— ギリシャ は先月( 2月)、実質的な 債務不履行借金を踏み倒す国)に陥ったのです (踏み倒し額の経過:50% → 53% →70% →80% →もうじき 100%?)。私たちは よくよく考え直してみましょう。

職員の声

声1: 「介護の仕事に熱心であればあるほど“少子化”が進む」とは 初めて聞きます係り:介護の技を磨き、専門性が深まるのは良いことですが、それが社会の少子化に繋がる危惧(きぐ)を理解しましょう)。

声2: 介護の充実が「少子化」と因果関係にある、とは意表を衝く考え で、聞いてショック !

声3: 核家族のため「子一人」で精一杯 です、私の老後のケアはロボットになるのですか?(係り:私は12人兄弟姉妹、その一人ずつにお子守りが付きました;それは数十年前の古い習慣です;今後は社会が進化して「ロボット」が立派に保育・介護をしてくれるでしょう)。

声4: 若者が晩婚になる理由は社会の不備にこそある;そこを分析して欲しいです(係り:不備を数えるなら いくらでもある:しかしよその国の人々は日本を「夢の竜宮城」と言います:だって あふれるほどの平和(兵役なし)・最高寿命・最高医療・最高介護・1~2位を争う国民所得・高い教育レベル . . . でも肝心の日本人は「不足病」に罹っています:ナゼ? それは世界のレベルを知らないからです)。

声5: 私は年金を信用できず、老後のために貯金をしています;今生まれた赤ちゃんが育った後、私を介護するなんて考えません(係り:昔は 還暦のころ 不安も少なく 静かに逝った今は予算40兆円を掛けているのに 不平・不満だらけ;この「ぬかるみ」から脱しなければいけない)。

声6: 私の解決案:① 婚外子を社会が認める;② 若い世代の「投票率」を上げる(係り:今のままだと、政治家は老人跋扈ばっこ)の政治しかしない;若者の投票を達成するためには—— W.チャーチル の主張だが、ここ一番という危機に際しては「民主主義を一日凍結」して、若者を投票所へ連れて行く若者の票が2倍になると 政治は変わる)。

声7: 後期高齢者という名称を「頑張り高齢者」とでも変更して欲しい;あの名前では「働く気が」起こらない係り:厚生省のお役人は 人の心理をくすぐって欲しいですね)。

声8: サボテンは「水よ ! 肥料よ ! 」と世話すればするほど「花も咲かず、数も増えない」とのこと:なるほどナと知った(係り:お年寄りには「天然介護、子供には「愛の誕生」が一番 望ましいですね)。

声9:独身で結婚予定のない私には、すべてが「耳の痛い話」でした(係り:ごめんなさい ! )。

  * 参考:パールの安全管理 # 260 : 天然介護。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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