(275) 千鶴・万亀 (せんつる・まんかめ)

 (275) 千鶴・万亀 (せんつる・まんかめ)

 私は こんな夢を見ました:- 助けた亀に連れられて訪れた竜宮城で 浦島太郎は あまりにおいしいご馳走だったので、勢いこんで食べていました。すると 傍の乙姫(おとひめ)様は言います:「そんなにツルツル飲み込んだのでは、遺伝子に害があって“千年しか”生きられません;よく噛んで召し上がれ、よく噛めば 遺伝子に優しく“万年”生きられます」。そこで、浦島太郎は家に帰ったあと 村人たちにこう伝えました:「鶴は千年、亀は万年 ! 」。

♣ さて、日本人の寿命がまだ短かった頃、明治時代の小説・不如帰(ほととぎす)で、浪子はこうつぶやきます:- 「あ あ あ、 生きたいわ ! 千年も万年も生きたいわ ! 死ぬならあなたと二人で一緒に !」1) 。彼女は結核に冒され、新婚の18歳で逝ってしまいました。日本で「鶴亀の寿」がもてはやされたのは そんな社会を背景にしていたからこそでしょうね。

♣ でも、介護保険が機能している 昨今のパールでも、1000歳寿・200歳寿の期待が 語られた時期もあります 2, 3) 。前者では“遺伝子は1000歳を禁じられてはいない”ことを述べ、後者は“200歳の世の中では 99歳まで「お産」があること”を話題にしていました。また 和方・漢方の世界では いまだに「不老長寿」という目標が生きています。それほど、長寿の魅力は人を捕らえ続けています。

♣ ところで、この1~2年、パールの「職員の声」の中で「あなたは どの程度 長生きしたいですか?」という質問に対して「千年・万年」なんて答える人は なくなりました。今の人たちは「草食系」だからなのでしょうか? いや、そうではない;今の人々は「社会の実態を良く理解している」からかも知れません。

♣ でも モノを買うとしたら あなたは何を買いますか? 庶民はモノを買うと、昔と違って 置き場所に困るのです。サービスを買うのなら置き場所に困りませんが、最大・最多のサービスは医療と介護ではありませんか?

♣ 介護の仕事に就いている我々からすると、次のような人々の実態 が見えてきます。一例ですが、年齢と認知症の相関です:- 全認知症は加齢とともに増加し、50歳代で5%、60歳代で12%、70歳代で30%となり、80歳代で50%を越える つまり半数以上が認知症 ! 90歳代ではほぼ75%に達し、そして100歳を越えると97%になります4) 。短い言葉で言えば「85歳で半分は認知症 ! 」ですね。これを知れば、 「豊かな老後、夢の長寿」が現実でない ことは明瞭ですね。

♣ つまり、私はこう思うのです:- 人は賢さによって、更年期の2倍の寿命を勝ち得ました。でも、後ろの50年は遺伝子の保障なくして生きているのです 5,6) 。上記の「浪子」のように 18歳で逝くのは早すぎる、織田信長がトントン(49歳)、キンさん・ギンさんは幻の人(107歳)と心得るのが適当ではないでしょうか?

♣ そして、おいしいものは ツル鶴食べずに カメ亀噛めば、鶴を越え亀に届く豊かな気持ちで 後半の50年を元気に生きて行けると思います。これはヒトの「遺伝子期」をまっとうに過ごし —— とても困難、—— 引き続く50歳以後の「老人期」を 病(やまい)少なく過ごす健全な方法 7) ではないでしょうか。
 
  参考 : パールの安全管理  1) # 83 : 不如帰(ほととぎす)。 2) # 53 :千歳時代の安全管理。 3) # 113 : 他人の二倍生きたい。 4) 認知症の頻度と原因:金子光雄、www.mkaneko.jp/taisaku/hindo1_genin.html. 5) パールの安全管理 # 55 : モノとイキモノ。 6) # 122 : 「死」と「不死」。 7) # 254 : 人生を三期に分ける。

職員の声

声1: 私は先月入社した新人です、初めて全体会議に出席しました;職員の心の啓蒙には、とても有効な「一般教養の講義」だった と思います。

声2: お話のように、長命と認知症は あい携えて増え、85歳で過半数が認知症になっていく現実に驚いています;私は「よく噛み」、元気で長生きして社会貢献を続けたいです(係り: 「よく噛む」とは 「遺伝子期」に酒・煙草などで 自分の遺伝子をいじめない生活をすることでしたよね)7)

声3: 私が高齢になったとき、社会貢献が可能な身体能力を保持していたいと思う(係り:立派な心掛けです:政府は65歳を「高齢者」と呼び、前総理の小泉さんは75歳を「末期高齢者」と言いました;あなたの念願は努力によって きっと達成できます)。

声4: 人生50年の時代を乗り越えてみると、そこで待っているのは認知症なのですか? 愕然(がくぜん)とします;昔のほうが良かった、という人は多くないですか?(係り:遺伝子をいじめるツル鶴でなくて、遺伝子を大事にするカメ亀なら状況は一変すると思いますよ)。

声5: 今までのデータを見ると、長生きすれば必ず痴呆が増える;しかしツルツル・カメカメの例の通り、健康管理をキチンとすれば、ボケずに歳を取ることができる;聖路加病院の日野原重明先生のように ご老体ながら日本中・世界中を飛び回って社会貢献なさる現実があります。

声6: テレビは言います:長寿が続けば「孤独死」も必ず増える、と(係り:気兼ねせず一人暮らしをしたい ≒ 孤独死。矛盾に見えますね、そして周りの人たちも悲しむかも知れません —— でも きっと千鶴・万亀なのでしょう、ご本人はご満足かも知れません . . . 一筋の涙で祝福してあげましょう)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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