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(280) ゴミ 御殿

 (280) ゴミ 御殿(ごてん)

 デイ・サービスご利用のA.A.様(85M 老人性認知症 要支援1)は独居の方で、家の中は 足の踏み場もないほどゴミだらけです(= ゴミ御殿)。認知症の方でも、ゴミをゴミと認知させ捨てて頂く方法はあるのでしょうか? 今回も 精神科のO先生のご意見を頂きました。

♣ <O 先生 > 理論的には「不可能である」、なぜなら彼は「短期記憶」を喪失しているからである。前にも お話ししたように、「記憶」は感覚器(目や耳など)から人の脳に入り、まず「海馬」(かいば)という場所に接触する。記憶は海馬の中に保存されるが、そこは“一時預かり所”であって、預かり時間は数分からせいぜい一日程度。このあと、正常な人では 海馬の中に保存されている記憶を「前頭葉」(ぜんとうよう)が操作して、 脳の「側頭葉」(そくとうよう)等へ移し、そこで長く保存される —— 記憶保存の正体は これほど簡単ではなく、まだ不明な点が多い。

♣ 認知症では、記憶の第一関門である「海馬」の機能が衰える。つまり、記憶が脳に入っても、海馬で跳ね返されてしまう。このため、短期記憶が成り立たない。したがって、記憶は脳に定着できない。それゆえ、自宅の整理・整頓のような作業は不可能、もしできたとすれば「奇跡」と言える。同じ理由で「良い習慣づけ」も困難となる。

♣ また、ある程度、モノを溜め込むのは普通の人でも見られる——あなたの机の引き出しの中はどうだろう?。

♣ 病気のうち、「統合失調」の場合は「了解不能」(すること、なすことの意味が分からない)の状態であるから、ゴミを捨てることはできない。また「強迫性人格障害」では、モノへの執着が強く「こだわり」も強くなる —— ガス栓を締めたかどうか 何十回も確認する。またはエイズではないかと 何回も検査を求める。だから 彼の目の前でモノを整頓する(捨てる)と怒り興奮する。精神科では30歳女性であっても ゴミ御殿を経験する。

♣「整理・整頓は大事」ということは分かりきっているが、“こまめに整頓するのが 追いつかない”というのが人間一般の傾向である 1) 。これは小児に場合でも見られ、ひどければ「注意欠陥障害」(ADS)と呼ばれ、「オッチョコチョイ」の子に多いが、大人になると たいてい治る。

♣ 対策は 「人権を侵さない範囲」で、周りの人たちがゴミを整理して、ゴキブリ発生などの不衛生を防ぐ ことではないか。

参考:パールの安全管理 1) # 231 : ど忘れ。

職員の声

声1: 我が家は、私の漫画本であふれています、捨てられません係り:私も同じくで、特に「鉄腕アトム」は絶対 捨てられません)。

声2: 私は「捨てられない自分の服」で困っています;ご利用者は 新聞広告の全部、そのほか、鼻をかんだティッシュ一枚でさえ大事にしておられます。

声3: 「この本、捨てていいですか?」と問われれば、まともな人でも“ムッと”するかも知れません(係り:本人が自発的に処分するのが 波風立たず 一番良い のですが、認知症ぎみになると、人はモノを捨てられなくて 周りの人がホトホト困ります)。

声4: 私から見ればゴミ、しかしご本人にとっては「思い出」、辛い判断があります(係り:まあ、ある程度は“お互いさま”という心理でしょう)。

声5: 私は数々のゴミ御殿を経験していますが、「捨てないで ! 」と言っていた ご本人は、すぐ忘れてしまいます係り:その方の「海馬」の記憶時間が一分程度とみられますね——やはり、様子を見ながら 片付けましょう)。

声6: ゴミだけでなく、ネズミ・ゴキブリ・ヤモリもいます。

声7: 若いとき潔癖症だった人が 統合失調になると、ゴミにこだわらなくなるのでしょうか?(係り:統合失調は ふつう20歳代で発症し、高齢で 新たに発症しません;高齢で出てくるのは「認知症です)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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