(287) 日本の 天然人口

  (287) 日本の 天然人口  
  
 今日は 皆さん方が あまり考えたことのない日本社会の基礎 = 「人口」の事を考えてみます。

♣ 日本の人口は五つの時期に分けて考えられます。① 縄文期:今から三千年以上まえ、狩猟採集の時代、その早期の人口は2万人ほどと推定されています。② 稲の時代:紀元前3世紀の頃、南方から「稲」が伝わりました。稲作業で定住することにより 爆発的に人口が増え、500万人程度になり、奈良・京都の都が成り立つ基礎ができました。③ 江戸時代になって、戦乱の時代が過ぎたので 人口は 6倍に増え 三千万人で安定します。

♣ ④ 明治維新とともに 人口は爆発です。日本が欧米の植民地にされないためには、「富国強兵 ! 」、「産めよ ! 殖やせよ ! 」の号令のもとに 人口は増え続けました。その後、第二次大戦・原爆被爆などの悲惨な時代があったのに、まるで何の影響も受けず、1.2億人と、鋭い上昇は見事なものです。

♣ ⑤ ところが何と言うことでしょう ! わずか8年前の2004年(平成16年) 、人口増はピタッと止まり、その上、鋭い下降に転じたのです !! その年、日本の新生児誕生は107万人、死亡総数は108万人;死亡数が誕生数を上回った と新聞は大々的に報じ、危機感をあおりました。なーに、死亡数の大部分は 「昔 人生50年だった人々が 人生90年まで長生きした後 死んだだけの結果」だから、別段 怪しい現象ではありません。以後は、コンスタントに 生まれる数の減少ぶんだけ 人口は減っていきます。その減少の度合いは 「増えた勢いを逆転したように激しい」ですね。

♣ それはナゼか? いくつかの理由があります:- 理由 Ⓐ : いま、未婚の人が増えつつあります;特に「男性 ! 」。これはどうしたことか? 江戸時代に人口が増えた理由の一つは「有配偶者率」が高まったことでした。つまり、「男が結婚からあぶれると」人口が減るのか? 理由 Ⓑ :社会が安定すると 女性の職場進出は当然となり、裕福な夫婦は子供の数を二人程度に絞ります。現実には産まない人もいるので、人口は減ります。また、子を産まなかった老人に対しても 福祉は人並みに保証され、ゆえに若い時代のダブルインカム・ノーキッズは優雅です。理由 Ⓒ紀元10年 ローマ帝国は強勢でしたが、裕福な市民の間で 子供の数が極端に減り、オクタビアーヌス帝は対策を練ったのですが、むなしく紀元395年「ローマは滅亡」です。日本に限らず、米国を除く先進国は軒並みに「滅亡」への道を歩んでいます。「婦人がゼロになる年」は 日本・中国・ドイツなどで 1500年後、婦人がゼロになる最後の国のブラジルで3000年後だそうです1)

理由 Ⓓ 遺伝子説= 人間は生き物であり、その生存は「遺伝子」によって制御されています。生き物は 遺伝子の命令によって世代交代をし、「繁殖を終えると死にます」2) 。ところが、人間は50歳で 少ない繁殖を終え、死ぬことなく その2倍 生きます。つまり人類は、知恵のゆえに増え、また 知恵のゆえに減り、若者にオンブされて破滅への道を歩んでいるようです。

そのほか、Ⓔ:人間が他の動物と 最も違っている点は、「乳幼児の泣き叫び」です。他の動物の乳幼児は小さな声でお母さんと会話します。もし「泣き叫べば」敵に発見され、攻撃を受けます。だから泣いてはいけないハズなのに、人間の赤ちゃんは大声で泣く。つまり、人間は「普通の生き物とは異なった遺伝形式を持つ」と断じられます。その故、繁殖する50年と、繁殖しない50年のサイクルの両方を持つのでしょうか? しかも、後半の50年には「癌・心臓病・脳卒中・認知症」が優勢だけれど、我々は医療や介護で救済しています。

日本の人口は どこに落ち着けば天然と言えるのでしょうか?我々は 果たして 「天然の生き物」なのでしょうか? あなたは それを不思議に思いませんか?

参考: 1) The end of the history and the last woman : The Economist (England), 2011.8.22号. 2) パールの安全管理: # 245 : 介護の将来像。

職員の声

声1: あと百年もしないうちに、日本人口は半分になる のですか . . . その頃の社会問題は?(係り:数人の老人につき 赤ちゃんが一人という 「多々多々老・少子の街」を想像しましょう... 半世紀まえまでは 「稀老・多々多々子」でした)。

声2: 人間以外の動物は「成長し 恋をし 赤ちゃんを育て 子別れし 世代交代 を営みます;しかし、人間はどの段階にも 手をかけすぎ、天然とは程遠い生き物となりました(係り:我らのご先祖は“良かれ”と念じて諸操作を加えたハズですが . . . )。

声3: 今後 赤ちゃんを産みやすい環境を作らねば(係り:皮肉なことに“貧乏人の子沢山”という格言があります;裕福な日本では難しいなー)。

声4: お金もちのローマも 赤ちゃん不足で滅亡しました;日本では「保育所」を整備拡充すべきです(係り:現政権は老人の票で成り立っているから 老人を大事にします若者が大事にされたいのなら、キチンと投票所へ行くべき です)。

声5: 「老人は若者にオンブされて 破滅への道を歩んでいる」—— この描写は怖いことです;子供を産まなかった自分は責任を感じます

声6: 人口減少を赤ちゃんの泣き声から考察する意見を初めて聞きました —— 生まれたら すぐ大声で泣く赤ちゃん、敵に襲われたらひとたまりも無いよ;そんな変な遺伝子を持つ人間が 食物連鎖の頂点に立つとは 全く不思議千万 !

声7: 私が見るところ、将来の福祉は国の予算だけでは厳しく、結婚も不足、自立は困難になるでしょう(係り:スエーデンは2015年に現今の福祉をやめると宣言しました3) 人間は自分の遺伝子が50歳用にセットされている天与の条件を 見つめ直さねばなりません)。

声8: 私は、ダーウインの“種(しゅ)の起源”を見ると、人類はいずれ滅亡すると感じます;恐竜などは外的因子で滅亡しましたが、人類には「内的な業ごう)」がある —— つまり天井知らずの 欲望を持った者の終末を感じるのです(係り:イソップの寓話(ぐうわ)の中に“ガチョウと金の卵“というのがありますね:欲張り男が大きな効果を得ようとし、かえってその効果を生み出す資源を失ってしまう —— 別な言葉で言えば “身から出た錆さび)”。福祉の過干渉部分を整理する スエーデンの帰趨(きすう)を よく見つめましょう)。

参考:パールの安全管理 3) # 272 : 高齢者福祉と少子化。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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