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(291) 歯 の 不 思 議

(291) 歯 の 不 思 議    

赤ちゃんが10ヶ月頃になると上下の乳歯が生えてきます。可愛いですね。年とともに歯の数は増え、物を噛むことができるようになります。しかし、その歯も 8歳頃 の訪れとともに欠け落ち、永久歯と入れ替わります。この歯の入れ替わりは、本人の希望や意思と無関係です。何が乳歯を永久歯に替えさせるのでしょう?

♣ それは遺伝子の命令なのですね。遺伝子は歯を次々に入れ替えさせ、最後には上下左右8本ずつ、計32本の歯を完成させます。驚くことに、この歯並びは、人類の先祖・ネアンデルタール人でも同じ 1) 、それどころか チンパンジー・ゴリラ・オランウータンなどの猿でも同じです。つまり、遺伝子の歯に対する命令は、非常に原始的・基礎的なもの であり、私たちの歯の数・生える位置に例外を認めません。

♣ 皆さん方は「親知らず」をお持ちですか? 「親知らず」は遺伝子が命令する最期の歯であり、上下左右の一番 奥にある第三大臼歯です。この歯は思春期(15歳前後)に生えてきます。昔の人たちは、この最後の歯が生えてくる頃、もう親は死んでいることが多く 2) 、そこで この歯のニックネームを「親知らず」と呼んだのです。近年、1/3くらいの人で「親知らず」が生えて来ないこともあり、また、生えてもすぐ虫歯になり、抜歯されることが多いようです。ナゼでしょう?

♣ 人類学の研究によれば、この千年間、人の顎骨は、短くなる一方だそうです。その理由の主なものは「柔らかい食事」にあります。ガリガリ硬いものを噛む必要が減ったために、顎骨の負担が減り、顎骨は短くなる(後天的な原因)。他方、歯の数は遺伝子の命令通り32本が 真面目に生える(先天的要素)。つまり、狭くなった顎の場所に規定通りの大きさの歯32本が押し込まれるので、歯並びは悪くなり、最後に生える「親知らず」は犠牲になってしまうのです。顎骨が小さくなると、顔の輪郭が下細り になります。他方、人類の特徴である頭蓋骨は大きくなります。そこで学者たちの予想する「近未来の人の顔」は、頭でっかちで、顎のエラが引っ込み、「逆さお結び」のような顔になるそうです。

♣ 近年は人間50歳を越えても、残りの人生は さらに50年ほど延長されています。ところが人間の遺伝子は人体の使用期間を「50年用」と規定しているらしく、歯は50年間だけ良く働いてくれます。人間の繁殖期間も50歳前後だから、歯と生殖器官の寿命はよく一致していますね。でも、もっと先を生きると、歯の寿命は尽き、人は壊れた歯のままで 命を維持せねばなりません。猿は歯を失うと、命も失います。でも 人間は知恵あるゆえに 生き延びられます

♣ 私は、「歯ブラシ」がなく 歯を磨く習慣がなかった昔の人はどうしていたのだろう?と想像することがあります。400年前の 戦国時代、織田信長は(49歳✝)たぶん 歯のトラブル以前の死でした。しかし、豊臣秀吉(61歳✝)や徳川家康(73歳✝)は きっと 部分的に歯なし爺さんだったろうと想像します。ある歯科医師の話から柘植つげ)の木は硬いので 昔は「柘植の入れ歯」を使ったらしい」と聞きました。でも その硬い柘植の木を歯茎に固定する技術があったのでしょうか? 私はアメリカのジョージ・ワシントン博物館でワシントン(67歳✝)の入れ歯を興味深く見つめたことがあります。それは「象牙」でできており、針金で歯茎に固定するように見えました。300年まえの工夫は有効だったでしょうか?

♣ パールの特養(平均年齢91歳)では 総入れ歯が花盛り、近代の歯科医療の発達の成果をもろに享受しています。それでも、総入れ歯の人たちが何十人も一緒に生活するとなると、いろんなお笑い事故が発生します。だって、“はずした入れ歯”に名前は付けられません もの。

♣ 近年、「遺伝子操作」が盛んです。クローン人間などは、とんでもありませんが、私は、閉経期の50歳で「第二永久歯」が生えるような操作を、遺伝子学会の先生方に 熱烈に お願いしたいと思います。人生後期のお年よりたちへ おそらく 最大のプレゼントになるでしょう。

参考: パールの安全管理 1) # 215 : 曽祖父の進化。 2) Rachel Caspari : The Evolution of Grandparents. Scientific American 8:24~29, 2011.

職員の声

声1: とても面白い話題を楽しみました。

声2: 私は「親知らず」の名前の由来を初めて知りました;つまり昔の人の寿命は短くて、その歯は 親が死んだあと生えてくるのですね(係り:ねえや は十五で嫁に行き 里の便りも絶え果てた——夕焼け小焼けのアカトンボ . . .」;昔の人は早く結婚したようです;同時に早く死にました —— 孫の顔を見る前に死んだ そうです2) ——だから、老人介護なんて存在しなかった ! ——「大人用の紙オムツ」が世に出まわってから、実は "まだ18年" なのです(1994年売り出し) !

声3: 私は「親知らず」= 「不要な歯」と考えていましたが、実は「生えたくても生える場所がなくて困っている歯」だったのですね;人間の進化は ただ今も進行中 ! と実感します。

声4: ところが、私の「親知らず」は4本とも全部生えており「今時珍しい ! 」と歯医者さんに言われました;おかげで私の顎のエラが張り出し、若い頃に比べて 顔が大きくなりました

声5: 50歳で「第二世代の永久歯が生える夢」は大事にしたい と思います;歯が丈夫ならば、特養の高齢者方は どんなにか幸せでしょう !

声6: 遺伝子の問題なのでしょうか、私はある人の卵巣のレントゲン写真で 人の歯が キチンと32本写っているのを見せてもらいました(係り: つまり、遺伝子操作により 将来 きっと 50歳代で第二世代の歯列を顎に埋めて貰える日が来るでしょう)。

声7: 長生きする方は、一般に歯が丈夫です;幸せな健康は顎の歯から 訪れると信じます !!
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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