(295) 愛 と 輪廻 (りんね)

  (295) 愛と輪廻 (りんね)

 紀元 プラスマイナス500年の千年間に「仏教・キリスト教・回教」などの主要な宗教が起源を発しました。宗教は、もっと以前から存在したようですが、この時代での起源は「文字の発達と関係が深い」とも言われています —— 文字がないと 口頭伝承となり、そのうちに内容の鋭さが風化してしまいます。

♣ 一例を挙げれば、紀元前1200年の「古代ギリシャ 対 古代トロイの戦争」があります(トロイの木馬)。この種(しゅ)の戦争は、古代にはゴマンとあった ようですが、盲目の詩人「ホメロス」が雄大な詩を語り継ぎ、その話が、その頃に文字化され、現代に至り 正しく評価されるに至ったと聞きます。沢山の戦争のうち 特にトロイ戦争が有名になったのは、単に中身がチャーミングというだけでなく、ホメロスの語りがキチンと文字化されたゆえに 物語の内容が鮮明に伝えられたからでもありましょう。

お釈迦さま は 紀元前400年ころ、当時の世の有様を深く見つめ、「輪廻(りんね)という考えを説かれました。つまり、人も物も「巡りあわせ」であると述べ、物事について「悟り」を開くことの大切さを教えられます。後知恵ですけれども、私は時々、お釈迦さまが もう少し注意深く自然を観察なさっていたら、輪廻の前に進化論」のような考えもある、と気付かれたのではないでしょうか。「輪廻」は哲学的すぎて、唯我独尊(ゆいがどくそん)の匂いが強すぎませんか?

イエス・キリストは「人類愛」こそが 全てを支える基本であり、彼の有名な言葉として「金持ちが天国に行けるのは、ラクダが針の穴を通るよりも難しい」があります。驚くべき鋭い直感ですね。

♣ 古代の宗教は、今で言うアナログ時代に生まれました 1) 。アナログとは「手書きの絵画・思想・連続量」です。ディジタルと異なり、弟子が違えば 教えも変形します。そして、たいていの宗教は アナログであるゆえ「堕落と原理主義との往復」を経験します。

♣ 近代科学は「客観的ディジタル記述」から始まりました。アイザック・ニュートンは「リンゴの実が木の枝から落ちる」のを観察して、1685年 あの有名な「数学の原理」という本を出版し、現代物理学の基礎を確立しました。

♣ それから3世紀、(1965年ころ)、やっと 役に立つディジタルの時代が訪れました ( コンピューター = 0 と 1 の時代 )。そこでは、アナログとディジタルの優劣合戦が始まります。人や命や病気のことは、それまでは 宗教・哲学・畏怖(いふ)のアナログでしたが、遺伝子の解明・薬物の応用などが ディジタル量として社会の隅々まで行き渡り、 「お祈り」よりも「合理化」が追求されるようになってきました。そうなると、不老不死への願望 は当然の権利として社会全般に拡がり、それが 現在の少子高齢化社会の基礎となっているかの如くです 2)

♣ 「パールの安全管理」で、私は「人の寿命」について幾度かお話をしましたが  3)~5) 、介護福祉の仕事に従事していると、人のアナログ意識の歴史的な流れを垣間見る思いになります。100年前に比べ、日本人の平均寿命は47歳(2倍)増え、身長は18cmも伸び ました。あと、私たちは何を どれほど 望むのでしょうか?ディジタルでのデータを競って無限の目標を追い求めて疲れるより、アナログの「お祈り」で ほどほどの幸せを感じ、巡り回る 「輪廻と愛」へ、心の充足を求めては如何でしょうか?

参考: パールの安全管理  1) # 205 : デジタル と アナログ。  2)  # 272 : 高齢者福祉と少子化。 3) # 74 : 介護の不足と過剰。 4) # 254 : 人生を三期に分ける。 5) # 293 : 高齢者が社会を救う?

職員の声

声1: 人間は がんらい アナログ的な存在です;デジタルは便利だけれど、人の基本的なアナログの喜び に沿うような利用法が大切です。

声2: ケアの実務はアナログ、しかし保険請求はデジタル、私たちは「両方」をこなさねばなりません。

声3: 人間ですからデジタルで測れない事も沢山あると思います;要はバランスでしょう。

声4: もし地球全体のことを考えると「日本の少子化」は good ! 、同じ理由でデジタルよりアナログのほうが「感覚的に」betterアナログ情報から来る幸せは 本当の幸せ だと思います。

声5: 戦後、身長は18cm、寿命は47歳(2倍)も伸びたのですね、デジタル量として まだ伸びるのでしょうか?(係り:これらの変化は“平和・栄養・衛生”の結果である、と言われます;まだ伸びる余地はありますが、身長も寿命も 伸びすぎると“ 維持費 = コスト ”のことをも考慮せねばならない時代になりました)。

声6: デジタルの分析により「体格指数(B.M.I.)と寿命の推定」が行なわれるようになり 6) 、介護の世界で デジタル分析の勝利 が示されました(係り:各々のご利用者について、経過と予後(よご)の頼り甲斐ある指標として B.M.I は今や 欠くことができません)。

声7: デジタルの数値を見て「不老不死への権利意識が蔓延した」との報告には抵抗を感じます;人の命は「頂きもの」です;愛は横着(おうちゃく)の中から生まれません;「感謝とお祈り」の気持ちを忘れてはいけないと思います。

  参考:パールの安全管理 6) # 33 : 天寿の終点は B.M.I ≒ 12。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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