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(304) 重力と転倒の脅威

(304) 重力 と 転倒 の 脅威     

 人間は「重力」の脅威にさらされて生き続けています。報告によると、60歳以上のアメリカ人の 1/3以上が生涯のうちまた「転倒」の経験を持つということです1)

♣ また、最近の報告によると、青梅・KY病院では、一年間に 10% の入居者が「転倒骨折」を経験しました(平均年齢87歳、745床のうち76件)2) 。同病院では危機管理を強めることで良い成績に転じましたが、それでも、年間 5% の入居者が骨折するそうです。

♣ 私たち人類の祖先は400万年前、二足歩行を始めました。二足歩行の利点は、頭が高い位置にあるので「遠くにある餌や危険」を早めに察知できることです。しかも「手」が歩行から解放され、器用な手仕事ができるようになり、脳の発達が促進された、と言われます。現在の人類の原型は約3万年まえに確定されたものです。サルは手を使いますが、よく観察してみてください、彼らは移動するとき、手を歩行に用いる“4手足歩行”が原則で、転倒しません。

♣ さて、ギリシャ神話によると、スフインクスという怪物が現れ、街道を行く旅人に謎をかけ、それに答えられないと、その旅人を食べてしまったそうです。その謎とは:- 幼いころ4足歩行をし、続いて2足歩行、最後に3足歩行をする動物とは何か?」というものでした。たくさんの旅人が答えられず、犠牲になりましたが、ある若者が「それはヒトだ ! 」と正解し、以後、スフインクスは消えてなくなった、と言います。現在での謎ならば、3足歩行(足と杖)に続いて「0足歩行」を追加せねばなりませんね(手足を使わず 車椅子)。

♣ ご存知、ヒトの「遺伝子」寿命は50歳ですね(閉経期)。でも、ヒトは知恵によって生きていますから、平均寿命は90歳に近づきつつあります。ただし3足歩行が増えます。その年齢を超えると「0足歩行」のヒトも増えてきます。

♣ つまり 人間は、動物の中でムリな二足歩行を選択した生きものですが、それが有効な結果に繋がるのは、遺伝子寿命(50歳)の範囲まで のようです。その歳をはるかに越えた90歳になれば、転倒・骨折の衝撃は「ただ」ではすみません。特に、ご高齢の女性の骨は「陶器のようなもの」、こけたら 割れます ! 3)

♣ では ヒトのご先祖たちも転倒したでしょうか? たぶん、“した”でしょう。でもね、昔のヒトは90歳まで生きなかった のです。今の人間でも、遺伝子が体を守る範囲の50歳までなら、転倒しても “ 絶対に ” 骨折には至らないでしょう。問題は だから、「延寿と骨粗鬆症」にあり、しかも これは避けらそうに ありませんね。

♣ つまり、ヒトに課せられた脅威とは、「地球の重力による骨折」に他なりません。しかし、重力のない「宇宙旅行」でも、一ヶ月に1%ずつ、骨と肉が減るし、お年寄りの 「無活動や寝たきり」も一種の“生理的な無重力” である とも言われています。だから ヒトの進化過程で得られた二足歩行のメリットは、近年 大幅に変更されたことを認識せざるを得ません。

♣ そこで教訓:―― 地球の重力とは“強力なものだ”という意識を常に念頭に置き、その脅威から骨を守るためには「転倒防止 以外の名案はないのだ」(脅威を注意に置き換える)、と再認識いたしましょう4)

  参考: 1) Fall (Vital Sign) : Discover 8:28, 2006. 2) 桑田美代子:療養型病床における医療事故、老年精神医学雑誌 6: 925, 2006. 3) パールの安全管理 # 209 : 転倒(10-10)に備えて。 4) # 50 : 六つの「べからず」。

職員の声

声1: 60歳以上のアメリカ人の1/3が転倒を経験するとはオドロキです(係り:KY病院の90歳代は一年に10%もの人が骨折する、も ビックリですね;ヒトの進化は二足歩行と共に始まったのですが、まさか“最近の超高齢化”は予定に入っていなかったのでしょう)。

声2: 高齢女性の骨粗しょう症の実態を聞き、脅威を乗り越えるべく、「六つのべからず4) を参考にします。

声3: 病院に行くと、いっぱいの車椅子の数に圧倒されます;JR駅のプラットホーム風景とまったく違います(係り:私の若かったころ 病院エレベーター前のホールは 駅のプラットホームのように 人で賑わっていましたが、今は 準備された車椅子でぎっしりです;隔世の感があります)。

声4: 歳をとると 動かない → 筋肉が減る → 骨が減る → 重力に負けて骨折 . . . この悪循環を克服するためには、体を動かして 重力をコントロールし続ける必要を痛感します。

声5: 宇宙旅行で筋肉が減る とは驚きました(係り:私たちは、単に腰掛けているだけでも 地球の重力に抵抗しており、「抵抗筋」は 寝ても起きても活動しています;宇宙に行くと、その「抵抗筋」は無活動となり、地球に戻ったとき、私たちは自分の重さで クラゲのように潰れてしまいます)。

声6: つまり、転んでも骨折を起こさないためには、いつも筋肉を使い 骨に刺激を与えておく必要があるのですね(係り:Yes, yes ! )。

声7:寝たきり」は一種の無重力ですか . . .でも「床擦れ」が起こるのは重力性ですよね;無活動が そんなに脅威をもたらすとは !(係り:今頃は、入院しても「歩け 動かせ ! 」の一色 です;スキー骨折やお産であっても ベットの上で寝たきりは許されません:まして お年寄りの「寝たきり」は 要注意で、今、私たちは“人生50年時代”には無かった 重力の脅威に直面し続けています)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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