(306) 目の レンズ と 年齢

(306) 目のレンズと年齢   

皆さん方は目がよく見えますか? 3メートル離れた松の葉先が二本に分かれているのが見えますか? 三日月の端が鋭くとがっているのが見えますか?北斗七星の端から2番目の星が二重星であるとがわかりますか?(ミザールとアルコルが分かれば 視力は1.0 )。

私どもの視力は歳とともに低下しますが、視力の一番優れている年齢はいつかご存知ですか? 答え:それは12歳です。なぜなら目のレンズがもっとも透明だからです。また、あなたは (ひとみ)の直径を意識することがありますか?(瞳が大きいと 可愛くみえますね)。瞳は12歳のとき直径が7ミリで最大です —— 小6の子が一番 可愛い ですよね。でも、その半径は 20年ごとに1ミリずつ減ってきます。

歳をとってくると、レンズはにごり、瞳の直径は小さくなります(パールの入所者の平均直径は1.5ミリ程度、平均年齢90歳)。カメラでいうと、「絞り」は小さく、レンズは汚れてくることに相当し、目の性能は著しく低下しています。でも、それが お年寄りにとっては「正常」なのです。

♣「見える」ということと、「見えたものの意味が分かる」ということは 別物 です。たとえば、新聞紙を逆さに見せられても、あなたは きちんと見えますが、中の意味は分かりにくくなります。人は、12歳になると「見え、かつ、分かったことが言える」ようになります。 「見える」のは目の機能「分かる」のは脳の機能 ですね。

♣ レンズ細胞には他の組織のような再生機能がありません。したがって、私どもは12歳のときのレンズを一生大事に保有します。レンズには栄養血管がなく、その栄養は 周辺からの酸素などをにじみ取るだけです(関節軟骨と同じ)。

40歳になると、さしものレンズも、にごり始めます(白内障の始まり;その理由は“細胞再生ができない”から)。65歳を越えると、約半数の方々に白内障がみられます。白内障の特徴は、モノが「黄色~茶褐色」に見え、像がボヤけることです。また、その発症年齢・進行の早さには 著しい個人差がありますが、糖尿病はこれを促進します。

昔は、老眼や白内障をどうすることもできず、老人は半盲となりました。17世紀頃から「めがね」が助けとなりました。近頃では「人工レンズの埋め換え」も利用できます。とても良い効果が期待できますが、ちゃんとアフターケアをする必要があります。

♣ 歳を取る とは“視力が低下する”と同義語です。実は、あなたが見えるほど、お年よりは見えていない のです。目だけでなく、脳の機能も衰えてきます。

人間の遺伝子は 更年期程度まで 体の機能を守りますが、繁殖機能を失った その後の老体を まじめに守らなくなります。そこで 最期に 私たち介護者の心得は:お年よりの日常品は、目で確認しなくても キチンと分かるように ご本人の決めた 定位置に 置きましょう。

  一部 参考:Ralf Dahm : Dying to See. Scientific American 11: 12~19, 2006.

職員の声

声1: 私は 三日月の端がボヤけて見えます、気にしなくても良いのですか?(係り:年齢相応なら 気にしても しょうがありません;眼鏡の調整と車の運転時に注意をしてください)。

声2: 視力のピークは12歳なのですか? でも 見えたものの意味が分かるのは 中年になってもOKですね(係り:視力の低下を、脳機能の発達が補って余りあると思います)。

声3: 瞳の直径は20年ごとに1ミリ減る のですか、私は50歳で 5ミリ、実際とよく合う ! (係り:その分だけ 目に入る光が少なくて 暗く見えます;望遠鏡で見ても暗い視野となります)。

声4: 加齢による その落差に驚くばかりです(係り:網膜に当たる光の量は 直径の二乗に反比例する ので、ずいぶん暗くなります)。

声5: あなたが見えているほどには お年寄りは見えていない」 とはドキリです;ケアに入っていて このことを実感します。

声6: 私は「見える」と「分かる」をごちゃ混ぜに解釈していました係り:お年の方では、見えていても分からないことがあるのです——逆も真です;つまり 見えていなくても “見える”のが 人の知恵でもあります)。

声7: 白内障の予防法がありますか?(係り:白髪の予防法と同じで、これは 加齢に伴う天然現象 です;しかし 糖尿病を防ぐ、紫外線を予防する知恵を持ってください)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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