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(308) 血 の 巡り (めぐり)

 (308) 血 の 巡 り (めぐり)  

 歳をとったせいか、このころ「血の巡りが悪くなって . . . 」という言葉をよく聞きます。おっとっと、「その通り」 なのです。

♣ ここで言う「血の巡り」とは ①「物事を理解する力、頭の働きの意味ですね。たとえば「巡りが悪くて 理解が遅い」などと表現されます。あまり良い言葉ではありませんが、「ウスノロ」の人かも知れず、また 同じ人でも、歳と共に「巡りが悪くなった」のかも知れません。でも、元来の意味は ②「血が血管の中を回ること、血の循環」のこと ではありませんか? たとえば「巡りを良くする薬」なんて聞いたことはありませんか?① の意味なら「神経活動」を表すし、② の意味なら「心臓活動」を問題にしています。病院に行くと① の神経活動は測定困難ですが、② なら 簡単に測れます。

♣ 一番 簡単に ② を知る方法は「薬物の静脈内注射」です。静脈注射されると、ビタミンB1の一種である“アリナミン”は、血流に乗って「肺」にたどり着き、すぐに呼気に移って 独特の“にんにく”の匂いとして感じられます。時計で 所要時間を測定し、これがアリナミン時間です。これは「腕~肺の循環時間」で、約2秒 です。次に“デコリン”という「苦味剤」を静脈注射します。デコリンの流れは 腕から右側の心臓~肺~左の心臓~顔(舌)のように 長い距離を通過しますから、約5秒 掛かります。

♣ アリナミン時間やデコリン時間は「本人の感覚」に頼る方法であるため、感度がにぶい欠点 があります。しかし 近年では色素(ジアグノグリーン)を用いて光検出器で循環時間を正確に求める方法が応用されています。この方法によると、「循環時間」だけでなく、 「心拍出量」 1へ2) まで調べられます。こんなことをして、何の役に立つのですか?

♣ 「循環時間」(= 血の巡り)は 年齢と密接な関係があり、10歳代で一番早く、以後は年齢が進むにつれ 直線的に遅く なります。「ワシは血の巡りに関しては どの若者にもヒケを取らぬぞ ! 」と言う元気なお年寄り;それは違います。巡り時間は 15歳から80歳で 2倍に伸びる(遅くなる)のが現実です !

♣ それは どうして?その主な理由は 「心拍出量」が激減するから です。ティーンネイジャーの心臓は毎分6~7リットル程度の血液を送り出していますが、80歳になると半減します(≒ 3リットル)。でも、それは どうして? 人の健康に関する質問は2回か3回ほどで、もう答えに窮します。ここで、ムリに答えを出すとすれば「歳をとると 体が古び、活性(基礎代謝量)が低下するから」くらいの答えになります。

♣ もうちょっとマシな答えを出すとすれば、「それはヒトの遺伝子が そのように定めているから」に尽きるでしょう。遺伝子って、そんなに不親切なものでしょうか?いいえ、決して不親切ではありません。ちょっと難しい言葉で言い替えれば、「体のエネルギー需要を少なくして 命を長くしているのだ」と考えられます。

♣ 以前に語ったことがありますが、人の一生は「ろうそく」にたとえられます。ろうそくの芯(しん)を掻き立てると、炎の光は強くなりますが、ろうそくの寿命 は早く訪れます3) 。つまり、代謝需要を少なくすることで、お年寄りは もっと幸せな長寿を享受できるのです。しかも驚いたことに、緩い (ゆるい) 血の巡りにもかかわらず、能率の良い思考・精神活動ができ、国会や社会のいたるところで 「年寄り、少しは 引っこめ !!!」 という声が聞かれるほど、お年よりは元気ですね

♣ 血の巡りが遅くなっても、ヒトはへこたれません。お年寄りの脳の活性は それを補って余りあるから です。有り難い事ですね。

  参考: 1) 心拍出量 (しん はくしゅつりょう) :心臓が毎分送り出す血液の量; 正常な大人で 毎分 4~6リットル。 2) 図説 色素希釈法 ― 心機能のみかた、新谷冨士雄 ISBN 4-525-24451-8、1986、南山堂  3) パールの安全管理 # 11 : 入浴時の洗い方。

職員の声

声1:循環時間」など、ふだん聞かない言葉を勉強しました、血の巡りが遅くなった 長命なお年寄りに、改めて「すごいな ! 」と感じました。

声2: 人の一生を 「ろうそく」 にたとえておられ、それが印象的でした(係り:体の洗い方 3) でも説明しましたが、ヒトの寿命は 急いで使えば 速く終わるのです;ゆっくり使いましょう)。

声3: 歳とともに遅くなる血の巡り、私はそれを実感 します(係り:あなたはまだ 還暦まえ、 「実感だ」なんて ご謙遜 でしょう?)。

声4: お年寄りの血の巡りは遅くなって行くのでしょうが、お年寄りの「一言・存在感」には尊敬すべき感性が含まれています(係り:同感です ! )。

声5: お年よりは、エネルギーの需要を減らして寿命を延ばしているとは、オドロキ です(係り:過激な体力消耗型の生活パターンを送る方は 長命な方が少ないですよ —— 周りを見て、実感しませか?)。

声6: 少ない栄養(腹八分)で能率の良い精神活動をする年配者が 私の周りに多数おられ、尊敬しています。

声7: 私は50歳を越えましたが、もっと血の巡りを良くしたい のです;今からではもう遅いですか?(係り:そういう薬はあります----神経活動・心臓活動を強めます;しかし、今から 巡りをよくしようとすると、終わりも早く来ますよ——今のままをお勧めします)。

声8: 低血圧の場合、巡りは遅くなりますか?(係り:不思議なことに、本態性低血圧(≒ 神経質)の場合、血の巡りは「速くなる」人が多い です;水道の「低水圧」とは全く逆です)。

声9:冷え性」の場合は?(係り:それは年齢次第です;一般に不定愁訴の多い人は ナゼか 血流が盛んです ~ 寿命の心配無用という意味でしょうね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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