(317) 老後 の 支え

  (317) 老後 の 支え  

 今から 丁度20年前(1992年)一卵性双子の「キンさん ギンさん」が 元気で満100歳を迎えられました。その愛嬌ある しぐさがテレビで全国に報道され 国民的アイドルとなりました。あるアナウンサーが尋ねます:テレビの出演料を何の目的に使いますか? 二人 揃って答えます:―「老後のためにとっておくよ !! 」。これを見ていた全国民は 大笑い、拍手喝采でした。

♣ 私たちは 老後といえば、なんとなく「定年退職後」などを思い浮かべます。でも 百歳まで生きれば、「百歳老人の老後」があるのですね。さて そこで 「老後の支え」とは 何でしょう?

♣ パールの特養では、最高齢で108歳のY.M. さん;お子さん方は逝かれ、お孫さん方(60歳代)が お見舞い においででした。「箱根の山は天下の険 . . . 」を一緒に歌ってご機嫌の日々でした。紀元2000年、幸運にも介護保険が始まり、彼女は 生活面での安泰が確保され、この方の「老後の支え」は 生活保障ではなく、お孫さん方と「楽しい会話をすること」と判明しました。

♣ きのう 相談に来られた 別のご家族夫婦は 別な問題をお持ちです。母親は93歳、40年このかた「心臓病」を患い、半年前から 在宅で 何度も「危篤」でした。他事業所の ケアは毎朝入っていますが、娘さん ご夫婦は 精神的な疲労のため 死にそう、とおっしゃいます。ところが 当の93歳の母親、なかなかタフで「わたしゃー いつ死んでも良いんだよでも酸素や点滴・胃瘻はイヤだね . . . 」と のんきです。この93歳の女性の場合、「老後の支え」として 生活面での安泰は確保されていますが、ご家族が 自宅でのお看取りで“死ぬほどの疲労困憊 (ひろうこんぱい) を助けて”という「新しいタイプの支え」が必要となりました(ケアのスタッフは間に合っているけれど、心が不安)。

♣ 「老後の支え」と一口に言うけれど、いったい どの範囲までが「支えるべき老後」なのでしょうか? 社会が 豊かになり「してあげられる事」が増えました。これは「豊かさによる悩み」とでも言うべきでしょうか?

♣ ここで 私は古い諺を思い出します。それは:―― 身体 (しんたい) 髪膚 (はっぷ)  これを父母 に受く: あえて毀傷 (きしょう) せざるは 孝の始めなり(意味 = 自分の身体を傷つけないようにするのが孝行の始めである)。

♣ ところが、今の親はたいへん長生き です。昔は人生50年だから、親孝行の期間は5年ほど;今は人生100年で、親孝行の期間は50年ですこれでは、子は「疲労困憊」に陥ります。子は「親孝行の苦行をするために生みつけられた」のと同然ですね 1)

♣ 「新しい葡萄酒は 新しい皮袋に入れよ ! 」という諺もあります。昔の皮袋は5年用でした。今は 50年ほどは長持ちする新しい皮袋(= 老後の支え)を用意すべき時代となりました。

♣ あなたは この「老後の支えとなる新しい皮袋」とは いったい何だろう と考えますか?自分なりの考えを述べてください。

  参考: 1) パールの安全管理 # 100 : 赤の他人の介護。

職員の声

声1: 私は お年寄りの老後をよく理解し 学びたいです(係り:あなたはまだ20歳、それでいて100歳の心の世界に入る試みをするのだから 偉い ! )。

声2: お年寄りの老後を考えることは大事、でも同時に 介護する側の子供を支えことも大事なのでは?(係り:確かに、昔5年 今 50年の介護 だものね——こういう川柳 (せんりゅう) がありました——“親孝行 したいときには 親はなし”—— 今は この川柳をギャグにして—— 親孝行 したくはないのに 親はいる ! )。

声3: 今は社会保障が行き届いて 50年程度の親孝行です、これでは子はクタクタになります(係り:今年6月の新聞記事に、イギリス・スエーデンは親を扶養する義務を正式に廃止する、と報じていました——長命の親を支える「新しい皮袋」の問題は諸外国でも同じようですよ)。

声4: 老々介護はますます増えます;お年寄りの幸せとは何ですか?(係り:昔は長男夫婦の支えが老後の幸せ でした1) 今は「介護保険」がそれに代わりつつあります)。

声5:少子高齢化」が問題となっていますが、メリットもありますよ;つまり—— 親40歳で生んだ子は 親80歳で子40歳、子は頼りになります:昔風に親20歳で産んだ子なら 親80歳で子60歳、子は もう定年です(係り:すごい発想です ! つまり、 「晩婚・晩産」が今後の鍵となりますか?)。

声6: 老後の支えとして他に提案されたもの → 「貯金」、「家族」、「人との繋がり」、「本人ができる行動には“手助けしない ! ”」、「パールのように“三理念を持つ施設2) 」などがありました。

声7: 認定介護度に基づく介護を 個別に「手厚く」実施する、という制度は間違い だと思います3) ;介護予防は「自己責任」でしょう?;もし 落ちこぼれがあれば 最低の援助をします;困っている人でも「感謝と笑顔」を周りに振舞うべきです;「社会貢献4) は 程度の差こそあれ 世の人々に必須であり 老後の支えとなる新しい皮袋 は「高齢者本人の自立」だと考えます(係り:私は大賛成;だって日本国民には すべて「勤労の義務」があるのです(憲法27条5) 保護されるのが当然の権利だ、と唱える人は、勤労の義務をも果たしてください;それでこそバランスが取れるのです)。

  参考: パールの安全管理  2) # 247 : スエーデンの介護は優雅か?。3)  # 216 : 介護保険制度の動向。 4) # 302 : 世代会計。 5) # 266 : 年金と介護の行方。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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