(328) 象さん 足

 (328) 象さん足

 ご利用者の中で「象さん足」の方はありませんか? 「象さん足」の特徴 は:- 膝下半分くらいから「むくみ」があり、それは足背(そくはい)(足の甲)に一番強い; 見た感じでは、皮膚が輝くように光っている; 指で押しても「へこみ」が少ない。

♣ 「むくみ」は細胞と細胞の間にある「細胞間組織」に余分な水分が存在する状態を指し、主に 二種類の原因があります:

 ① 浸透圧性:  浸透圧 (しんとうあつ) とは「水分が滲み透って行く力」のことで、その説明に「青菜に塩」を思い出しましょう。青菜に塩を振り掛けると 青菜から水分がにじみ出てきますね。これは、青菜の細胞内から 塩を掛けられた外側のほうへ向かって「浸透圧が高くなり」、水分が滲み出るからです。同じことが人の体でも起きます。たとえば、栄養低下の場合 血液の浸透圧が低くなって、細胞の中の水分が細胞の外に引き出されます。この「浮腫」の特徴は、指で押すと その場所が「へっこむ」ことです。原因は「心・腎・肝・貧血などの病気」が多いです。

② 重力性: 言葉通り、重力に引かれて水分が体の下側に溜まり、心臓に向かって戻りにくくなる浮腫です。健康な人でも、飛行機や新幹線などで 長く座ると 見られます。立ち仕事の人にも あります* )。

「象さん足」の特徴 は: ポッテリとした外観を示し、太い柱(はしら) です(よって、象さん足という名前);触って「冷たい」;体動の少ない高齢者 に多く、利尿剤が効かない。

♣ そこで、重力と血圧の関係を見ます。血圧は「 . . . ミリ」で表しますが、「ミリ」とは「水銀柱」(すいぎんちゅう)の高さです。血液の比重は「水」とほぼ同じ、他方 水銀は「水の13.6倍」の重さ があります。

♣ ここで頭の体操です。 「血圧 100ミリ」と言えば、水銀柱で100ミリ、すなわち 水柱に換算すれば 100ミリ×13.6倍 = 1360ミリ、これは = 136センチですね。水と血液の重さは ほぼ同じだから、「血圧100ミリ水銀柱」は「136センチ水柱」と同じ圧力です。たいていのご婦人の心臓は 立位で 床から136センチくらいの高さにあるでしょう。つまり、立っているだけで 人の足底の血圧は「立位の血圧 = 100ミリ水銀柱 プラス 心臓から発生する血圧(たとえば 100ミリ水銀柱)の合算(100ミリ + 100ミリ = )200ミリ水銀柱となります ( たまげるでしょう?

♣ つまり、立っているだけで 人の足の血圧は 心臓が出す血圧の2倍近くになる のです。このため 水分が 血管から足の組織のほうへ押し出されて、足に「むくみ」が出やすくなります。足には「静脈弁」という装置が付いていて、足に溜まる血液を心臓のほうへ押し戻しますが、この弁が働くためには、歩くとか走るとかの足の運動をする必要があります。

高齢者は一般に動きが少なく、座ったままの生活が多いですね。若い人でも 飛行機や新幹線に乗って 何時間か居眠りしていると、さっき履いた靴が足に入らなくなります。まして、高齢者は ① 貧血などで 血液の「浸透圧」が低い、② 座ったままのため 「重力性の原因」が多い: ①と②の両方で「象さん足」が起こりやすいのです。

どうすれば良い のか?:- A : 歩く——なかなか歩いて頂けませんね; B : マッサージする——毎日 1時間はかかるでしょう; C : 寝てもらう——寝たきりになります; D : 利尿剤を使う——循環血液量が減って 脳貧血を起こします。

♣ つまり、「根本対策」は、 A B C D をうまく組み合わせた生活を工夫すること、プラス、介護者のあなたが「象さん足の成り立ちを理解すること、に尽きます。

    参考:パールの安全管理 *) # 178 : 弾性ストッキング。

職員の声  

声1:氷枕を 縦にぶら下げると下側が膨らむ;足に浮腫が来やすいのは、同じ原理による」との説明;とても分かりやすかったです。

声2: 厨房で働く私 は、帰る頃には 靴がきつくなり、“象さん足”になりかけます(係り:場合により、弾性ストッキンッグ で防止します)。

声3: 足を高くして寝れば良いと聞きますが(係り:理屈から言って「その通り」ですね)。

声4: “象さん足”、とてもよく分かりました;若者でも同じ;栄養・塩・重力の関与が面白かったです。

声5:お金持ちの年寄り にも多いとは、ビックリです(係り:古風なお年よりは「お粥に梅干」という古風な節約に励み 、栄養失調になるからです)。

声6: “象さん足”には「浸透圧と重力」の両方が関係するのですね(係り:高齢の場合、重力性が主ですが、浸透圧(栄養)も無視できません)。

声7: 腰掛けているとき、「足を組む」のは関係ありますか?(係り:大有りです、リンパの流れが改善されます;腰掛の上で“正座”するのも役立ちます)。

声7: 私は30代半ばで足がむくむようになりました(係り:浮腫が続けば、必ず 尿のたん白を調べておきましょう)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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