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(335) 楢山節考 (ならやまぶし こう)

 (335) 楢山節考 (ならやまぶしこう)  

 私とは時代背景がすっかり違うからでしょうか、今の若い方々は「楢山節」をよく知らないよう です。いま、私たちは発展した介護保険の中に住んでいますが、日本の昔の事を「他人事のように無関心」ではすまされません1)

♣ 「楢山節考」は深沢七郎が1956年(S31年)に発表した小説です。当時、大きな反響があり、すぐに映画にもなったほどです。基本的には「命の大切さ」がよく分かる明るい物語ですが、姥捨て(うばすて)間引き(まびき) 、村八分(むらはちぶ) などの用語があるため、びっくりします。

その概要: 信州の山深い山村。いまだ元気に働く「おりん」は 楢山参り を迎えようとしていた。それは情が移らないように 70歳の冬に皆一律息子たちが親を楢山へ捨て置く というのが村の掟(おきて)「神様に召される」と喜ぶ「おりん」、70歳にもなるのに、歯が丈夫なのは世間体も悪いし 恥ずかしいこと;彼女は歯を石で殴って砕く。歯が悪くなれば、食事もできなくなるし、早く死ねる。楢山参りは冬の雪の降りそうな頃に行くのが良いとされる。楢山の頂上についたときに降雪があるのが最も「運が良い」。これは、寒さですぐ死ねるからだろう。しかし母親の「おりん」を背中に負ぶって山を登る息子の辰平は、村の掟とはいえ、気持ちの整理がつかない。

農業に頼って生活する場合、その地域に生存できる人数は決まってしまう。孫はよいとしても、「おりん」はひ孫をみるのは恥ずかしい限り。それゆえ、「ひ孫は 生まれたら すぐ捨てる」と辰平は口にしていたのを覚えている。もし、それをしないと「村八分」にされ、一家は生きて行けない . . . 。山の頂上に着いたらすぐ、雪が降ってきた。 「おりん」は大喜びで雪の山に入っていく。それを目で追う辰平——涙を流しながら、辰平は山を降りて行く。その帰り道、途中の谷で、近所の息子が老父を谷に突き落とすのを目撃する。山に登るのが大変だったら、この方法も良かったのだ . . . 。

こうした風習は、民謡となって今にも語り継がれています。「穀潰し(ごくつぶし)の老人は 棄老 (きろう)され、若者も30歳過ぎての晩婚が良いとされました。笑いの陰に涙あり。テーマは重いけれど、「おりん」の願いは叶い、ハッピーエンドとなります。

♣ 私が福祉事務所に働き始めたのは昭和30年、その翌年に発表された「楢山節考」、何が当時の世間を感動させたのでしょうか? 今の満ち足りた福祉事情から見れば、隔世の感を否めません。私どもは、近い過去に、こんな物語を持っていたのです。

今や世界一レベルにある日本の介護保険。でも、世には“更なる長寿の幸せを求める声”で キリがありません。私は「楢山節考」を思い出すたびに、「人の望みの大きさ」を ため息しながら感じ入ってしまう この頃です。

  参考:パールの安全管理 1)  # 6 : 地域球のひみつ。

職員の声

声 1: 私は「楢山節考」を初めて聞きました;農業本位の生活なら あり得た状況だと想像しました。

声2: 「間引き」「村八分」などの言葉は江戸時代以前の言葉かと思っていましたが、僕のお爺さん時代にはあったのだと知り、驚いています(係り:江戸時代は三千万人の人口しか養えなかった;今はその4倍の一億二千万人を越えています)。

声3: 「穀潰し」という言葉を初めて知りました:社会的な役割を終えた人々 ゴクツブシ と呼ばれて生きたのですか?(係り:今の日本の税収は40兆円でギリシャの何十倍、しかも そのすべてが福祉目的に使われます甲斐性のある国民性で、ありがたい御代です)。

声4: 「掟」の名の下に 人の命を 他者が左右していた時代 と比較して、現在は幸せな時代だと感じます;先人の努力によるものですね。

声5: 私が子供の頃は、 「老人ホーム」は「姥捨て山」と言われていましたが、現代では大人気です;まったく時代の巡りを感嘆 します(係り:介護保険は できてまだ14年目に過ぎません——まだまだ発展しますよ)。

声6: 時代によって「価値観」が変わる のですね、お年寄りの幸せ感も変わります。

声7: でも 今は今で、新しい問題が山積しています(係り:これは福祉に限ったことではありませんね;戦後 癌が増えた2) ——だって昔の人の寿命は癌年齢に達していなかったよ:人の寿命が伸びたら認知症が増えて不幸だ 2) ——だって昔の人で認知症年齢に達したのは僅かだった. . . などなど 人間は“贅沢極まりない欲望に翻弄 (ほんろう)されます。人類が「農耕」を始めた初期、祖父母は「孫の顔」を見ずして寿命が終わっていたのですよ 3) ——人は “分相応に‘こらえる’ことを学びましょう” )。

参考:パールの安全管理  2) # 254 : 人生を三期に分ける。3) # 215 : 曾祖父母の進化。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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