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(339) 救急 と トリアージ

 (389) 救急 と トリアージ    

 東京都は 5年まえから、救急車の運用にあたって、トリアージを採用し始めました。トリアージとは・・・一般的には、災害時に治療や搬送の優先順位を決定することです 1) 。「救急搬送トリアージ」とは、平常時における個別の傷病者に対する緊急度、重症度を評価し、消防救急による搬送要否を含め、評価結果に応じた搬送体制を提供すること を意味しています。

♣ パールで 先月 経験した症例は91歳の男性(神経性膀胱 逆流性食道炎 要介護1 1) )、半年の間にご家庭からの救急車搬送が20回に及びました。「苦しい、痛い、トイレが近い . . . 」が主訴でした。ご家族がほとほと疲れ、ショートステイのご利用でご家族の疲労回復が目的でしたが、入所時 同伴のご家族が帰宅された直後から、同じ訴えを5分おき;私たちは 心配のあまり ご家族に病状を携帯でお伝えしたら「すぐ連れて帰ります」とのお返事;私たちはご家族のご心労を推察し、適切な病院をご紹介申し上げ ました。

♣ 救急車は私たちの 心強い味方 ですが、その利用実態を伺うと、関係者のご苦労が偲ばれます。救急職員は119番の通報受信とともに現場に赴きます。そこで緊急性が認められれば緊急搬送で医療機関に繋ぎますが、緊急性が認められなければ「自力受診をお願い」します。お願いに「同意が得られなかったら」、やはり緊急搬送にせざるを得ません。かくして 半年に20回もの救急車発動もあり得るし、「運ぶのも、診るのも」修羅場のスリルを経験します。ちなみに、出動費用は、本人は「無料」ですが、運営費は1回 4万5千円 掛かります。上記の方なら運搬だけで 90万円掛かっていますし、医療・介護に掛る経費の腹構えとは ズンとこたるものですね。

♣ 日本は救急車のみでなく、「ドクター・ヘリ」もなかなか進んでおり、2012年6月現在、全国35ヵ所の拠点で飛んでいます2) 。こちらは国際的にも豪華判で、職員は「パイロット・整備士、ドクター(医師)、フライトナース(看護師)」の4人が乗り組んで出動します。心配な費用をみると、ヘリ1拠点あたり年間予算は2億1千万円で、年間2人が死を免れる、との報告;つまり「お一人様 1億円」ですか、救急活動は こちらもズンとこたえます ね。上記の症例を、ヘリで運ぶとすると 20億円? まさか それはないでしょう !! かくして、日本は欧米に負けず劣らず 「大ヘリ救急」です。
 
♣ さて、救急に関する「トリアージ」って何でしょう?これはフランス語で、 「トリ」とは「選別する」 、 「アージ」は「方法」 ;あわせて (救急患者の)「選別法」 という意味です。多数の患者が同時発生する現場の場合、選別された被災者には「色タグ」を付けます。「黒タグ」は死亡;「赤タグ」は生命に関わる重篤な状態で、救命の可能性のあるもの;「黄タグ」は、生命の危篤ではないが、搬送が必要なもの、「緑タグ」は軽症なものです。搬送や救急処置の優先順位は 赤 → 黄 → 緑です。交通信号の色と似ています ね。

♣ 大事な救急も運営予算の点で頭痛もあります。東京都では「良い救急車利用」をPRしていますが、その目的として「タクシー代わりの利用ではないか? 詐病(さびょう)ではないか?」を見極めます。ですが、上記の「救急20回の例」でお示ししたように、現場の緊急重症感の修羅場の中で、職員の悩みも大きく、調査によっても   「不搬送」(緑タグ)は10% 程度 に留まっています。

♣ パールでは、入所時の救急搬送はありませんが、急変者の救急搬送は案外にあり、トリアージでいえば 全例「赤タグ」であって、すべて正しい利用法でした。119番の救急連絡後、ほぼ7~9分で救急関係者が到着、施設側は適切な病院との交渉を平行して進行、ほぼ文句のないコラボレーションを達成しています。

介護施設といえども、深く救急制度と関係がある ことを感じている次第です。

   参考:パールの安全管理  1) # 144 : 津波とトリアージ。  2) 西川渉 : 航空の現代、Aviation Now, (ネット)、ドクターヘリ Q&A : 2012.7.6

職員の声

声1: トリアージって 戦場や災害時で用いるものだと思っていましたが、救急一般にも使うとは、初めて聞きます(係り: 病気の救急でも トリアージは必須です)。

声2: 私にとって有名なトリアージ は 2005年の「JR 福知山線の脱線事故」と2011年の「東日本大震災」の二つです;今年の暴風雨の大災害でも適用があるのでしょうか?(係り:気象災害の場合は いきなり「黒タグ」が多く報道され、悲しいことです)。

声3: 生命を救うための優先順位;理屈では分かりますが、私は「すべての命」を救ってあげたい係り:あなたは優しい心の持ち主です;でも、イエス様 はおっしゃいました:百匹のおとなしい羊よりも、私は “一匹の迷える子羊” を救う、と。つまり、災害救急時の命は平等ではないのです:まして 今日紹介した 半年で20回救急の例 に どう対応すれば良いのか、現実を考えて みませんか?)。

声4: 救急車を呼んだ人が 自分の思った色タグに合わない こともあるでしょう?「逆切れ」する人はないでしょうか?(係り:あります !!! どうしても納得しない人は お運びする そうです)。

声5: 私の個人的な質問です:私は39.3℃、ふらついて壁伝いに歩きながら通院しました;この場合、救急車を呼んで良かったのでしょうか?(係り:あなたの年齢からみて 赤タグはムリとしても黄タグは付くでしょう:お呼びください)。

声6: 救急車をタクシー代わりに使っても、病院側はキチンと対応して欲しいです(係り:-- 来たる人を拒まず-- ’、素敵ですね、でも これは大きい問題 を含みます -- 夜中に "水虫の薬”を求めて来る救急もあるのです -- キチンと対応すれば、深夜の救急外来が 昼間と同じになり、そのために必要な人材・経費の確保も急務となり、 ‘社会の同意’が求められます)。

声7: 救急車は、昔、珍しかったけれど、今は慣れっこ、しっかり見つめています(係り:1986年に消防法が改正されて以後26年、今のような救急車活動です;それ以前はすべて患者さん側の ご自分の甲斐性 でした 3) 電話一本で実現する 現在の医療・介護の進歩は ごくごく最近の幸福 なのです)。
 
 参考 :パールの安全管理  3) # 111 : 救急少史。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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