(344) 蛸壷 (たこつぼ)文化 と 介護

 (344) 蛸壺 (たこつぼ) 文化 と 介護    

 蛸壺 (たこつぼ) って知ってますか?

タコは体を保護する固い殻などを持っておらず、身を守るため ふつう、海底の岩場の中に潜み、潮が変わると あわてて住処に戻ろうとします。隠れる場所の少ない砂地に「壷」を置いておくと、タコはこれ幸いと入ってきます。壷は 縄で十個程度 つながれて海底に沈められます。海底から蛸壺を引き上げる際も、危険を察知して壺から逃げるタコは滅多におらず 壺の中でじっとしています。これが蛸壺漁の原理です。

♣ 半世紀ほど前、文化学者の丸山真男は 日本文化を「蛸壺文化」と「ササラ文化」に分けて そのルーツを検討しました。「蛸壺文化」とは、壷の中に入っている蛸同士(= 文化とみる)は相互に無連絡であって、相互の存在出自を意識することは少ないと考えます。「ササラ」とは、細長く裂いた竹を 手元で束ねたタワシのようなもので、焦げついた油汚れを洗うのに役立ちます —— 出自(竹)が単一であって 分かれた先が強力に役立つモノ(例:社会科学など). . . そんなモノの例に使われる用語です。ここから「ササラ文化」とは、一つの根っこから出た文化で、相互に影響・扶助し合い、かつ 枝分かれした先端の専門が強力な活動をしている文化を言い表します。

♣ 日本は 他人に過干渉せず(蛸壺)、さりとて 戦後は他人とも協力して(ササラ)、繁栄を築き上げてきました。いま、バブル崩壊後 20年に亙る閉塞感の「蛸壺文化」のが反省 されています。一例:ある赤字計上をした大会社、見直しが必要でも「不要な部分を切らず」という伝統経営にこだわり、管理職は 「壷の数も質も」いじれない、と嘆き 消えて行きました。

♣ 一般に、日本企業(という名の蛸壺)は現場の自律性が高く、労働者がよく働きます。こうした日本人の勤勉性は、相互独立性の高い蛸壺の生活は得意でしたが、それを組み合わせて調整する戦略やフィードバックが弱い。だからと言って、カリスマ性の強いリーダーが現れ 調整しようとすると 嫌われます。フーン !! そうなのかナ? と思いませんか?

♣ 日本の指導者はカッコよがるだけでは勤めが果たせません——全体を良い方向に導いて頂きたい。たとえば、「東電・通産省・東大教授」がからむ原発問題で、国の命運の“責任回避”は目に余ります。年金問題なども、「決められない政治」「責任感と正義感の薄い人たち」が社会を指導しようとしています。なんとなく無難のまま済ます、こんな蛸壺文化は もう終わりにしましょう。“根っこが共通で、伸縮自在・相互扶助のできる”「ササラの科学」を見直したいと思います。

♣ 同じことが「介護の世界」でも言えるのではないでしょうか?「胃瘻延命」は ひどく叩かれたので 1) いま一服していますが、「世代会計」という考えでは 2, 3) 、引退組と現役組で 引退組の「較差」が、お一人 1億円を上回る現状と判明し、介護の将来像が見えて来ません。日本の社会福祉は毎年1兆円の支出増加 ! 「蛸壺文化」を続ける限り 衰亡あるのみ の命運です。

♣ 今日は「蛸壺」という考えをご紹介しました。今後、「要介護の人口」は ますます増えて行くので、福祉は「蛸壺思考」だけではやって行けません。どうすれば良いのか、みんなの考えを述べてください。

  参考: パールの安全管理  1)  # 291 : 週刊文春 — 胃瘻長屋。 2) # 301 : 若者と老人の役割分担。3) # 302 : 世代会計。

職員の声

声1: 蛸壺ねー ! つい自分の安住する壷にはまって 周辺と相互作用を怠り、気がついたら 大事なことを外国に乗っ取られるって あり得るよ !(係り:尖閣と竹島に象徴されている ! )。

声2: 活動の根っこが一つで、枝分かれした先端部分が有機的に助け合う「ササラ文化」は「蛸壺」に比べて優れた文化だ;ケアもササラ方式で やりたい。

声3: 日本って、「井の中の蛙」が好きなのか?

声4: 蛸同士は 無連絡でお互いを意識せず、 没落企業だって 自己の危機さえも察知しない、愚かなことだ;ケアにおいても 蛸壺になることなく、ササラのように みんなが伸縮自在・相互扶助の精神で、力を合わせ より良いモノを築いて行きたい。

声5: 今 政治が揉めている:こんな時、若者が将来の夢や希望を語る雰囲気が乏しくなる;蛸壺のおかげで他人との距離もつかめないで 閉塞状態係り:古代ギリシャでも カリスマ性君主・ペリクレスがアテネを指導していた時は繁栄の頂点にあった:ペリクレス亡き後、ギリシャは「俺も 俺も」と 愚かなドングリたちが跋扈 ( ばっこ ) し、衆愚政治で滅んで しまった)。

声6: NHK大河ドラマで「平清盛」が放映されている:清盛のカリスマ性で京の都は隆盛・日宋貿易の振興で富が増えた;しかし彼の子孫は 争いと驕り(おごり)壇ノ浦で滅亡 !;これは今の我々が教訓とすべき日本史ではないのか?)。

声7: 最近の閉塞感は巨大だ ! その原因は 高齢者が増えすぎた ことではないか?;年寄りが少なかった頃は 長生きが褒められたが 今は違う ! 今の原理は:-どんなに高齢であっても その人が「ケアを実行するボランティア側」にいるのなら Welcome !  しかし、「その高齢者が ケアをされる消費者側に立つ」のなら、社会資源は枯渇し、結局 人の心は 閉塞 してしまうよ。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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