(373) 老老介護 の 行方 (ゆくえ)

 (373) 老々介護の行方 (ゆくえ) 

  老々介護 (ろうろう かいご) とは、家庭の事情などにより、高齢者自身(65歳以上)が 他の高齢者介護をせざるをえない状況のことを指し、日本のような先進国社会では普通にみられるケースです。

♣ 現在の日本では、在宅介護のうち 約半数が「老々介護」だと言われています。これにより 高齢で介護する人が 過労と不健康で、将来への絶望感、終わりの見えない介護支援を見つめ、殺人・無理心中などの事件が後を絶ちません 1~3) この問題を解決する効果的な方法があるのでしょうか?パールの精神科嘱託医・O先生のご意見を伺いました。

♣ < O先生 > :効果的な方法は “ ない !! ”

♣ 子を育てる努力なら、一般動物の行動を見れば分かるように、遺伝子に組み込まれている;しかし 「老親を介護する遺伝子なんて 存在しない ! 」 4) 。親の介護は、実に「人間の大脳」が考え出した知恵による。また、戦前の介護なら 短期間で済んだ が、今は高齢社会となったため、老父母の介護は何十年にも及び、親の介護は「重いストレス」となっている。介護でなくても、人間というものは 単純な仕事を 無期限に強制されると、自尊心が壊されてしまう —— 介護の場合なら、親を敬う気持ちが無くなる。厚労省は「親の介護は自宅で看てくれ」と勧めるが、これは全く解決にならない。

人間が「親の介護」を創始したのは、大脳の知恵によった ものであり、遺伝子の力によってではない。だから、老々介護を効果的に解決する対策は、やはり「人間の大脳」が 工夫して考え出すべきであろう。外国の事情などを参考にして、日本としての「親の介護」の位置付けをどうするか、を考えてみよう。

参考:パールの安全管理 1) # 247 : スエーデンの福祉は優雅か? 2) # 248 : 介護の将来像。3)  # : 249 : ご夫婦で物忘れ。4) # 100 : 赤の他人の介護。

職員の声

声1: 確かに、鳥や動物を見ると、彼らの熱心な「子育て」には感心させられますが、いったん子が育つと「子別れ」「親別れ」も厳然 としています;でも「親孝行」は別事情のようで、人間に近い「サル」でさえも、介護どころか 親の世話さえしません —— 人間は いつ頃の昔から「サルとは違った生きもの」になったのでしょうか?(係り:証拠はありませんが、言語の発達と深い関係があるようです)。

声2: 「遺伝子の支配」って怖いものですね;女性の初経や閉経も、本人の思いや願いに無関係で 遺伝子の仕業 (しわざ) ですね(係り:遺伝子は強力 ! 全動物の「子育て」も規定しますが、 「親の介護」に関する遺伝子は存在しません —— だって生命は 過去ではなく未来に向かって進展するから 当然のことです)。

声3: 日本って「親離れも 子離れも悪い」、感情的に濡れた関係が続くので、世界に誇れる「介護体系」が創出できるかなあ?(係り:決意の問題です;あなたが今後 親孝行を50年 程度続けられればね)。

声4: 私の祖父は祖母の介護 をしていました;まだ世間の偏見が多かった時代だから できたと思います;今ならムリです、何らかの悲劇が起こります。

声5: 90歳代の親を70歳の子が介護する —— これが 在宅介護で見る現実です -- 「90歳も 70歳も 昔で言えば 死んだ人」です;我が事として思うと 心細いです(係り:長寿の安楽を保証するため、日本で 老人医療が 有料から無料 ! に変わった1973 年老人の死に場所家庭 病院の比率が 7:1、ところが無料になった結果、2000年の比率は 1:7 、つまり 老人はほとんど家庭で死ななくなり5) 家族は楽になりました。でも、これが 結果として 的 (まと) 外れになり 老人問題の火種 を巻き起こしました)。

声6: 「三世代家族」は稀、 夫婦は共稼ぎの時代、どうすれば 老父母を看る暇があるのですか? まして、“気兼ねがないという理由で”独居高齢者は ますます増えるご時勢、親孝行の解決法は 遠のくばかりです(係り:イギリスとスエーデンでは この問題の解決法として、2012年、「老親と子の援助関係を“法律的に無効とする”案が可決されたと聞きます;先進国であっても 親の長生き」と「子の親孝行」は 矛盾 します —— こんな矛盾を「遺伝子」の中に取り込み 解決する工夫は、iPSの山中伸弥先生でも不可能でしょう)。

声7: 一昔前まで“私は百歳・二百歳まで生きる”という元気のよい言葉が聞かれていましましたが . . .(係り:今、この言葉は稀です——なぜなら、ご本人はともかく、周辺が大変だ ということが判明したからです——70歳から100歳になるための30年間の予算 は 毎月20万円×12ヵ月×30年 = 7,200万円+医療・介護費 ≒ 1億円馬齢
(ばれい)  の身にとってムリです)6)

声8: 在宅介護の半数は「老々介護」なのですね;ナゼ国は福祉を軽視するのでしょうか?(係り:軽視していないと思いますよ;振る袖がないだけです —— 日本国の歳入は約45兆円、今は、高齢者が増えたため 福祉費支出も ほぼ同額で、国は「福祉倒れ」に陥っている現状です . . . 北欧のように税金を増やす決心ができない)。

==> 係り: かって福祉標語の花形は 「元気で長生きでしたが、その蓋を開けてみれば、「病気で長生き、子は不幸」 という現実が明らかになりました —— O先生が“解決法はない ! ”と言われた理由遺伝子に書いてない内容 (親孝行) をあたかも書いてあるかのごとく 間違って妄想したこと、 親と子のいずれかを取る、となれば、人生50年の頃なら「親を」、人生100年の今なら「子を」取らなければ 社会は崩壊する、という事実 そのうえ私たちの境遇が貧乏になった現実です。他の先進国は ① ② を受け入れています。③ は “もっと働け ! ”に尽きます。 

現時点での対応:-  
  ① 世のお父さん・お母さんがた、もっともっと働きましょう。 
  ② 余裕が生まれたら あなたがたの父母の延寿を勧めることができます。
  ③ この道理をわきまえないのなら、老若男女 伴連れの破滅です。

参考:パールの安全管理 5) # 361 : 在宅死の希望。 6) # 353 : 在宅亭主は馬齢 (ばれい) か?
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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