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(36) プラセボのひみつ

 プラセボ(placebo、偽薬、ぎやく)は、外見は本物の薬のように見えますが、薬として効く成分は入っておらず、偽せ物の薬です(ラテン語で “I will please you.”のこと、つまり、私はあなたを喜ばせます)。成分としては、少量ではヒトに対してほとんど影響のないブドウ糖が よく使われます。そもそも薬といえば「効く」か「効かない」かが問題です。では何を基準に有効性を判断するのでしょうか?昔の基準は「製薬会社が効く宣伝するから」、「偉い教授殿が勧めるから」などでした。アメリカでも昔、刑務所に入っている囚人を使い、効果実験をし、実験に参加すれば、刑期を短縮してもらえました。

♣ しかしグローバルな世界化が進むにつれ、「世界的な効果が認められるから」でなければ薬として通用しにくくなり、1955年、アメリカでプラセボの研究が始まりました。1970年頃には「二重盲検」で合格しなければ、薬として認可されなくなり、日本で今、健康保険で使われている新薬は「二重盲検」で合格したモノばかりです。二重盲検とは、薬を処方する医師も、その薬を飲む患者さんも、薬の内容が分からない仕組みの実験です。薬って「効くぞ!」または「効かないかも!」と暗示をかけると、その効果は 激しく揺れ動く性質を持っています。

♣ たとえば、幼い子供なら暗示効果はないだろう、と思われますが、小児科医に尋ねると「お母さんの心に効かない薬は効果がない」と言います。不思議ですね。そこで、たとえば千人の患者さんを対象にし、半分の人に実薬を、残る半分の人に偽薬を使います。誰にどちらの薬を使ったか、はテスト終了時点まで 誰にも分からない仕組み、これが「二重盲検」です。こうして、最期に鍵を開けて、実薬を使った人だけに効果があれば、その薬は統計的に効いたとして、”公に承認”されます。

♣ プラセボ効果は薬だけに限りません。「鍼治療」や「病院受診」という行為そのもの、さらにブランド銘に頼る「香水・化粧品・健康食品」、イメージの影響による「ファッションや世界旅行. . . 」様々です。結局、私たち人間はプラセボに酔い、プラセボを愛している生きものとさえ言えます。仕組みを「知っちゃうと つまらなくなるから、本当のことを教えないで !! 」がベターかも知れませんね。

職員の声

係り:今回は発表原稿の2倍以上の「声」が寄せられました。そこで、まず次の事を述べておきたいと思います。裁判では まず「被告は無罪」という帰無仮設を立てます;裁判の進行により、その仮説を守り切れないほど罪状が重ければ、その帰無仮設は棄却され、有罪となります。薬も同じで、「この薬は効かない」という帰無仮設を立て、薬の効果をまず疑います。そのあと多数症例で二重盲検をし、もしそこで「効かないという帰無仮設」が棄却されれば、そこで晴れて「効く」と判定されるのです。

声1: 以前勤めていた施設では睡眠薬を頻繁に求める不眠の老人がいました;ご家族と相談し「ラムネ錠」を渡すと よく寝られました。このほか、ブドウ糖、ビタミンCなどの経験の声が多数ありました。これらは典型的なプラセボですね。

声2: お年寄りは一般に大量の薬をお使いです(係り:闇に鉄砲”という格言があります;数多く撃てば、どれかが当たるでしょう;でも、値段は老人保健でタダであったとしても、副作用は蓄積します;薬はないほうが良い、使っても3種類以下が望ましい)。

声3: そんな多種類の薬を処方なさるドクターは「効く」と思っているのかしら?真実はどこにあるのですか?(係り:人類の真実は「遺伝子寿命は50歳設定である」ということくらいでしょう;でも50歳寿命では受け入れ難いですね;そこで人々はプラセボに花を咲かせます)。

声4: 小児に効く薬とは、お母さんの目に叶うということなのですか?(係り:お母さんが効果を疑えば、なかなか効きにくいです)。

声5: DNZを内服している利用者のご家族は、ちょっとした日常の変化を「DNZのおかげだわ」と喜んでいます(係り:信ずる者は救われています)。

声6: なんだかペテンに掛かっているような気分です(係り:不条理なればこそ我信ず”という諺さえあるのです;人は脳が大きいので、一つの真理だけでは満足しないのかもね)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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