(374) 自 己 責 任 病

 (274) 自 己 責 任 病

 医療・福祉の世界では「内因性」という言葉がしばしば出てきます。その意味はこの反対語 =「外因性」を知れば、およそ見当がつきますね。つまり「外因性」とは「体の外に原因がある」ことを意味します——():怪我・感染症など。これに対して「内因性」とは、「外因が見つからない」場合を指します —— (例):糖尿病・アルツハイマー・老衰など。

♣ 長寿社会の問題は「内なる疾患」に集約されます。厚生省は50年ほど前に「成人病」を、25年前には 新たに「生活習慣病」という言葉を作りました。悪い生活習慣は すべて個人の責任によって得た病気だから、それは自業自得 (じごうじとく) の「自己責任病1) です。例として、糖尿病・煙草の吸いすぎ肺疾患・悪性習慣病を放置した結果の脳卒中や癌 2) などがあります。

♣ 死因となる自己責任病を検討すると3) 1位の:これは怖い病気ですが、煙草を吸って癌、悪い生活習慣を続けて癌、50歳を過ぎた高齢で癌 . . .などを考えると「癌は内因性の要素が大きい」と言わざるを得ません。癌は85歳過ぎで少なくなる――だから癌は 単に年齢だけが原因ではなく、自作自演の「自己責任病だ ! 」という声が高まっています2)

2位の心疾患:心不全の原因である心筋梗塞・弁疾患は日本では2位になるほど多くはありません

3位の脳血管疾患は 発作後の死亡は20年後のこともあり、因果関係は ぼやけ、3位とは言い難いです

4位の肺炎は 新聞訃報 (ふほう) でも「脚光」を浴び、60歳以上の高齢者では すでに「一位」で、その主体は人生最期の「誤嚥による肺炎」です。これは 「老衰」と区別がつきにくい けれど、「介護」がしっかりすればするほど、誤嚥性肺炎と判明します。

♣ それゆえ、日本の本当の死亡順位 1位は85歳以上の「誤嚥性肺炎 、次の 2位は50~85歳の「初老の癌」 であり、ともに ほぼ「内因性疾患」だ2) と認識可能ですね。言い換えれば、1・2位の疾患ともに「天寿を全うした 自己責任の証 (あかし) 」であり、死亡の年齢に関わらず、「立派な生命の成就 (じょうじゅ) 」であったことを示します。命の終わりは、何らかの病名で括 (くく)るのが常だから 「病名は付く」けれど、もしそれが自己責任病であるのなら、その人は“被害者”ではありません。「これぞ 私が選んだ寿命 ! 」でしょう。

♣ 私たちが介護の仕事に従事していると、「介護延命の目標は何処にあるのか?」と戸惑うことがありますが、「寿命の終点とは自己責任病の最終点」だったのです。

自己責任病で逝く人への過剰な医療と介護は 恩恵ではなく しばしば「延命虐待」となります。それを避けるための最良な方法は、B.M.I. の 終末経過 = B.M.I. ≒ 12 )を参考にし、 穏やかな援助を行うことが 逝く人への最大の敬愛の表れであると信じます4)

参考:パールの安全管理  1) # 336 : 自己責任。 2) :# 323 : あなたの輪廻(りんね)。 3) # 185 : 百歳寿の死因。 4) # 33 : 天寿の終点はB.M.I.≒12.

職員の声

声1: 自己責任病とは、介護保険の理念とも一致します;つまり、自分でその病気を選んだのなら 自分で責任を負う、と云うことです(係り:自業自得病 とか 自作自演病 などの表現もあります——食い過ぎ糖尿病や煙草肺癌など)。

声2: 厚労省の言う生活習慣病 イクオル 自己責任病 . . . なるほど納得です(係り:自己責任病の場合、他人や社会を咎 (とが) めてはいけません自分を責めましょう —— でも、健康保険は差別せず 手を差し伸べてくれます)。

声3: 癌は遺伝するのだと聞きましたが、生活習慣や食生活を整えれば 予防できるのですか?係り:癌細胞は誰でも自分の体の中に 毎日五千個は発生し、免疫リンパ球がそれらを退治しています;生活態度の悪い人はその退治が不十分になるので 内因性で 癌が発生し易いとされます5) )。

声4: ストレス性の癌が最近増えているとのこと、ストレスも「自己責任」でしょうか?(係り:人生50年の昔には 癌は極めて少数でした:その主な理由は“癌年齢に達した人口が少ないから”:今一つの原因は 本人がストレスと感じる環境では 上記の免疫リンパ球が活性不全に陥るのです)。

声5: 癌は酒・煙草をやらなくてもなってしまう自己責任病と「ひとくくり」するのは可哀そうです係り:癌に関わる“年齢”はその人固有の資産であり、その人の自己責任の内でしょう;若者の癌は神様の賜物、50歳越えの癌は 自己責任である免疫リンパ球の活性不全に源を持つ病気とみる研究があります:もし癌が一定の頻度で起こる病気なら 癌と年齢は相関するでしょうが、85歳以後、癌死の頻度は低下です)。

声6: 自分の死なら”自己責任”の非を反省することができますが、小児癌などの死は どうでしょうか?(係り: 病気は三種類 に分類できます: ① 感染症 は外因性で 自己責任ではありません。 ② 変性疾患 は内因性で、白髪のように 年齢に基づくもの、子供には関係ありませんね。 ③ は腫瘍 で、自分で招き寄せるもの(内因)と天から降って来るもの(外因)とがあるでしょうが、免疫リンパ球の関与を考えると あながち外因だけとはみなせません —— 子供の癌は痛ましいです;遅まきの先天性疾患(内因)だと考える人もあります)。

係り: 要介護の「認定審査会」の検討経験では、色々の訴えが ほとんど「自己責任病」に由来することを知ります —— もちろん 医療や介護は必要ですが、人はいつかは逝きます;その前段階の 高齢に基づく不自由さは なんともし難いのでしょうか? 自己責任とは言うけれど、若くて元気な頃には それに気が付かない のですよね。

参考:パールの安全管理  5) # 322 : あなたの輪廻 (りんね)
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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