(378) 胃瘻 : 20 の私見を 紹介 その II

  (378) 胃瘻:20の私見を紹介 その II

 皆さん方、「七常」 ( なな じょう) という言葉をあまり聞きませんよね。これは東洋の伝統的な思想であって「忠 孝 仁 義 礼 智 信」を指します。このうち「」は民主主義の世相と共にすたれましたが、「」は 今 一番 問題になっています。「孝」とは、親を大切にし その心に従って よく仕えることです

♣ 私たちは誰に教えてもらうこともなく「孝行」の習慣を持ち、戦後 三世帯家族が 二世帯家族に移って行った世情の中でも、「親孝行」の心を失っていませんでした。でも世界を眺めると、たとえばイギリスでは、年老いた親の世話をするのは子の責任ではない、という考えが すでに19世紀には定着しているそうです。年老いて病んでいる親を 子が助けないからといって責められる ことはないといいます —— 老人のケアは社会全体がするという合意なのでしょう。

♣ でも、日本は違います。“孝行をしたい時分 (じぶん) に親はなし”という川柳 (せんりゅう) はあるけれども、現代の親は100歳近くまで長生きしますので、いつまでも 「親は有る」のです。また、福祉政策が「有料措置」を減らしたので、子の親孝行心は目覚めているように 見受けられます。そこで今回は「パートII」のご紹介を続けます

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(11):胃瘻があっても 口から食べたい (#162) = 食べる喜びは胃瘻では得られませんね;他方、人間、喉や食道の筋肉は 胃瘻設置とともに廃用萎縮を起こし、「口から食べさせてあげたい !」と思うご家族が 何かを食べさせると、誤嚥によるムセを誘発。この対処法は 介護職員の 近年の技術向上のおかげで、大量の誤嚥食物を気管支から吸引します。しかし誤嚥性肺炎は避けられず、BMIは12に向かって低下の一途、ご家族の善意に基づく延命胃瘻さえ 老人拷問と化します。 (12) :医療の進歩が老人を苦しめる (#173) = 人間は知恵によって 道具を発明しました:戦争では 弓矢→鉄砲→原爆; 医療では 包帯→麻酔・手術→胃瘻。利点あれば欠点もあり:会話もできないほど衰弱したお年寄りは、ひたすら進歩した善意の医療拷問を受けながら苦しんで逝かれ、子は それを「親孝行」と信じて います。 (13):ケアの2012年問題 (#243) = 老人ケアの流れを四つ。(i)長男の嫁:バブル崩壊で終わりました。(ii)老々介護:(i)の代わりに やむを得ず。そこで、介護保険が2000年に発足;でも65歳で介護保険に頼られたら国は崩壊する。(iii)老人の自立と社会貢献を:QOLを保ちながら社会に甘えず 生き甲斐を見つける;2011年、厚労省も「延命胃瘻は好ましからず」と言明。これしかない でしょう?(iv)長命維持のための「新機軸の発見」を ! → 今の「高コスト敬老」は社会を衰退させます。 (14):天然介護 (#260)= 天然介護の反対語は「医療介護・日本式介護」です。(例)誤嚥性肺炎のため ある病院にお預けした高齢者;「胃瘻を付けなければ 退院はムリ」と言われ、家族の反対を折伏 (しゃくぶく) されました。善意と称する 医療延命が多すぎます。スエーデンは天然介護を旨としますが、私たちが 胸に手を置いて すなおに受け入れられるような介護、それが「天然介護」ではないでしょうか? (15):介護と T.P.P. (#264) = 環太平洋連携協定(T.P.P.)が検討され始めます。早く「介護支援ロボット」の国内需要を確立しておかないと 先を越されます。また「胃瘻やIVH」、「ラパマイシン」などの延寿法で 国際的に負けないよう、日本人の姿勢を決めておく必要があります。

(16):私の願いとコスト (#281) = 65年前の戦後、イギリスは「揺りかごから墓場まで」を保証する福祉政策を打ち出し 世界をビックリさせましたが、いまや、60歳以上の透析は(実質的に)禁止;胃瘻は BMI > 18.5 と厳しいです。あの筆頭福祉国家のスエーデンは2015年に社会福祉から全面撤退すると発表、理由は国が福祉で崩壊するからだそうです。つまり「アルマータ宣言」の骨子の一つ:“負担可能な費用の範囲内に基づく医療・福祉”、この原理は 日本では存続していますが、欧州で崩壊したのです。日本では 今 透析(約30万人、年間2兆円)と胃瘻(約26万人、年間2兆円)で、私の願いだけでは どうにもならないコストのようです。 (17):五箇条のご誓文と胃瘻 (#290) = 明治元年、維新の「ご誓文 (せいもん) 」の第四条は:「旧来の陋習 (ろうしゅう) を破り、天地 (あめつち) の公道に基づくべし」。日本では、老衰死に対する責任を負いたくない医師は 家族に胃瘻を勧め、家族も 同じく親の天寿を受容できず 胃瘻に同意します;それは愚かなエゴの共犯関係です。明治の人が考えてさえ、胃瘻の選択が 天地 (あめつち) の公道ではあるハズはありません。 (18): 今の福祉はご誓文に沿っているか? (#296)= 明治天皇は“閉じた世界の中で満足せず、知識を世界に広く求めなさい”とおっしゃいますが、現代の医師と家族には 馬の耳に念仏です ! 古い悪習は残り続け、前例主義が跋扈 (ばっこ ) しています。私たちは「退化の道」を歩んでいるのでしょうか、危ぶみます。 (19)蛸壺( たこつぼ )文化と介護 (#344) =「相互干渉をしない 無関心文化」を指します(丸山真男) 。年金問題は「決められない政治」「責任感と正義感の薄い人たち」が社会を指導しようとしています。介護の世界では「胃瘻延命」で、健全な一般日本人が意見を述べません。また「世代会計」では 、お一人の老人が 若者よりも1億円を上回る優遇をされている現状が隠されています。日本が「蛸壺文化」を続ける限り 国は衰亡してしまいます。なんとなく無難のままで済ます、こんな蛸壺文化は もう終わりにしましょう。 (20)今年の胃瘻風景 (#354) = 次の項目のサマリーを述べます:現状・費用・日本の風景・外国事情。最後に 日本の医療者・国民について = 従来は「延命せぬ医師の免責条項」がなかったのですが、今年、免責です(日経 12.3.23)。日本人は「徳の高い人種だから胃瘻に挑んでいる」のではありません ! 無料(福祉)だからするだけ;有料ならできません。その上 諸外国から「虐待か?」と蔑 (さげす) まれています。さらに「胃瘻」は 古い封建主義から新しい社会に蘇った「明治天皇のご誓文」に著しく違反しています。新しい時代に甦る (よみがえる) に当たって、「新しいぶどう酒は 新しい革袋に」入れたいですね。 Thank you !

「職員の声」は次回のブロッグでお伝えします。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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