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(380) 胃瘻 : 高齢者への造設

 (380) 胃瘻 : 高齢者への造設  

 胃瘻に関するブロッグ #377~#378 の「職員の声」を このブロッグでお伝えします。
まず、最近 在宅から入所された 94歳女性の事例 を述べます。

♣ 数年まえから進行した認知症で、右大腿骨骨頭骨折・右肩関節骨折もあって ほぼ寝たきりに近い状態。要介護「5で、熱心な在宅介護を受けておられました。しかし食事介助でも 食が進まなくなり、経過中、誤嚥性肺炎で入院、勧められて「胃瘻造設」を受けました。退院後 家庭での胃瘻管理が困難となり、ショート・ステイを経て「特養」に本入所となりました。

♣ 入所時、手足はほとんど動かず、会話もできない廃用萎縮」状態でした。熱心な ご家族は 胃瘻であっても口から食べさせたくて、「ゼリー」などの介食をされますが、その都度 誤嚥騒動 ! 吸引にて食品を気管支からどっさり引き抜きます。説明を重ねても、ご家族は 誤嚥の原理を受け入れることができず、職員一同は苦労を重ねています。

♣ 胃瘻造設に関しては ご本人やご家族の問題がありますが、その他に:—— 胃瘻にかかるお金は お一人当たり:年間医療費 100万円・介護費用が400万円(計500万円)。介護施設での高齢者胃瘻患者数は、2000年度:1%、2011年度:9.2%と、10年で10倍に増え、国の年間負担額は今や2兆円に及びます。命の値段は老若男女 変わるものではありませんが、国家の税収40兆円を念頭におくと、2兆円を「廃用萎縮状態」の方々の延命胃瘻経費に充てるのは やはり見直しの対象になるようです。なお、諸外国では 高齢者の延命胃瘻は行いません

♣ ご家族は 大事な父母の命を「一分でも一秒でも永く延ばしたい」とおっしゃいますが、延命胃瘻前の大多数の方の意識レベルは 30~100 前後 1)近 無覚醒)です。どうか 胃瘻造設が老人虐待に繋がらないよう に、ご本人の心地よい気分を重視した介護であるように、職員一同は希望し続ける次第です。

  参考:パールの安全管理 1) #9 : 言語化と数量化(意識レベルの呼び方)。

職員の声

悩む——

声1: 延命胃瘻って日本だけ なのですか?(係り:その通り . . . 欧州では「透析」でさえ、60歳が定年ですよ —— 国連のアルマータ宣言2) に従うのです)。

声2: 胃瘻造設の問題はいつも悩ましい —— 自分の親なら一分でも一秒でも長生きして欲しいと望むのが自然でしょう?係り: 他人の親だって そうであって欲しいでしょう?でも、胃瘻によって天寿は延びません。おまけに造設後の親が “幸せ” になるのなら話は別;大部分の延命胃瘻の方々は“蛇の生殺し状態”で呼吸を繋いでおられます3) )。

賛成——

声3: 我が祖母は家庭の胃瘻介護で5年間を過ごし、先月亡くなりました;5年間の思い出と共に我が家族は祖母の胃瘻を後悔していません

声4: 食べられなくなったという理由で親を死なすのは残念だ、子であれば なお悔しい;胃瘻は当たり前の判断だと思う(係り:BMIが12近く になり、意思疎通はなく 天寿が終わって 衰えた老人の様子あなたは実地に観察してみて下さい。もし胃瘻によって「不死」が得られるのであれば、世の中に激増する このような胃瘻老人を 物心共に誰が支えれば良いのでしょうか? )。

反対——

声5: 天寿を終え、嚥下困難になって痩せ衰えた高齢者を胃瘻で延命するって 残酷 ざんこく )だろうが ! (係り:胃瘻にすれば 人工生命で「生死の境目」は曖昧になり、親孝行した気分で安堵するの は「のんきな家族」、この世の苦しみを味わう のは「哀れな親」です→ お釈迦様は どちらを選ばれるでしょうか?)。

声6: 人は 時がきたら“その人らしく死ぬ”のが理想だと思います(係り:そうらしいですね、ここで“合成の錯誤( さくご )4) という概念をご紹介しましょう:—— 一つの提案が どんなに正しくても、皆で実行すると過ちになること、これが合成の錯誤です—— 例: 年寄りは元気で長生きすべき  この一言は正しいでしょうが、もし みんなが元気で 122歳 5) になったら日本は大混乱になりますね —— 天寿に従って ほどよく逝くことが真実ではありませんか?

参考:パールの安全管理  2) # 95 : アルマータ宣言と日本。 3) # 290 : 五箇条のご誓文と胃瘻(週刊文春:胃瘻長屋)。 4) #381 : 合成の錯誤。 5) ギネス・ブックの最長寿者:ジャンヌ・カルマン さんは フランス人女性、122歳で 1999年没。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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