(386) 高齢 と 統合失調症

 (386) 高齢 と 統合失調症   

 多くの皆さん方は「分裂病」というネーミングのほうが分かり易いでしょうか?—— 10年まえ(2002年)に「分裂病」は「統合失調症」という名前に変更されました。その理由は、「精神分裂病」という名称が、精神全体が分裂していて治らない病気のような印象を与え、患者さんの人格の否定や差別や偏見を生み出しているのを是正するためです。

♣ 統合失調症は ありふれた病気であり、その最大の精神的な特徴は:- ① 意欲障害(根気がない)、② 行動障害 (同じ姿勢でうずくまり、ひとりごと)、③ 妄想、とくに「被害妄想」—— 電波で悪口が言いふらされる、です。もう一つの特徴は発病が「20~25歳」であること(若者の病気)。

♣ ところが、近年 日本が高齢社会になるにつれ、統合失調症は 中年~高年にまで見られる ようになり、古い知識の常識破りの現状です。今日も パールの精神科嘱託の O先生 にご指導を頂きました。

症例は T.R. 様(74F 病名はなし 要支援1)。在宅訪問をした時、上を向いて独り言をおっしゃっています。尋ねると「3階の人と電波交信」をしているとのこと —— これが最大の特徴です ! 無くし物を探すときにも電波交信だそうです。彼女がデイ・サービスに参加される時には 目だった異常行動はありません。

♣ < O先生 > 統合失調は人口100人につき1人の割で 古今東西 存在し、教育程度が高いグループほど その頻度は高く、学校のクラスに一人はいる、とさえ言われている。発症年齢は20歳前後で、遅くとも35歳で終わる。ところが、近年 高齢者発病が多くなった。今日の事例も統合失調とみられる。私は「85歳で発症」の経験例を持つ。経過の特徴は「幻覚→妄想→無気力→入院」のサイクルを繰り返し、続く。「電波交信」が診断の有力な鍵となる。老年期ウツなら「電波症状」は少ない。認知症の妄想なら「物盗られ妄想」が圧倒的であり、その上 痴呆症状も合併する。

♣ 細かい状況の説明は省くが、要するに「年寄りだから“認知症”」と決めつけない で、「電波交信」と「被害妄想」を鍵にして 不審な事例を拾い分ける試みをして頂きたい。認知症と統合失調では、治療方針が全然違うし、85歳でも統合失調があることを知って置くこと !

職員の声

声1: 私は 統合失調は青年期の病気と習ったので、高齢で発症する事例の発表を聞き、驚いています(係り:年寄りの妄想は“認知症”、と丸めこまないようにしましょう)。

声2: デイ・サービスでは「電波で交信する状況」は 時々見かける状況です;もっと注意して本人を観察します。

声3: 私も T. R. 様の在宅介護に従事していますが、まだ「交信状況」の遭遇していません;統合失調の知識があったなら 見つけられたかも知れません(係り20歳代の統合失調なら ひとこと ふたこと 声を交わすだけで それと分かります よね)。

声4: 私も その方のケアで訪問したとき「電波交信」をしておられました;それ以外の生活については、全くしっかりしておられ、笑顔も良かったです(係り:高齢者の統合失調は、意欲障害・行動障害の特徴が軽く、妄想だけが目立つ のです)。

声5: 私の在宅介護の担当ケースは50歳ころの発症です;もし100人に一人という頻度なら、日本に120万人の統合失調症がいるわけです(係り85歳になっても発症するのなら、私も あなたも統合失調になる可能性 があります、怖いな !)。

声6: 森の中で 周りの木々に白い布を張り巡らせ、宇宙からの電波を防ぐ . . . などの状況を聞いたのを思い出します;人間って奇人・変人は少なくないです !係り:パールの職員数からみると、統合失調症の人が1~2人いても不思議はないのですが、ただ今、該当者はありません)。

声7統合失調は 戦前 50歳までは 生存できなかった そうです(係り:それは —— 適当な薬もなく、変人とみなされて放置・不潔・感染・栄養失調などが原因でした —— 今、せっかく80歳を越えて 長生きできる時代になったのだから、私たちが 注意して 正しい診断と治療に結びつける姿勢を示したいですね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR