(387) 介護で言う 常識は 公明正大 か?

 (387) 介護で言う 常識は 公明正大 か? 

 今日は 人の常識が案外に「非常識」であることを見つめ、福祉行動の実態を眺め直してみます。

① ♣ 常識とは「社会の構成員が有していて「当たり前」と考える“価値観”のことです。ここで問題になるのは 「当たり前」と判断する 私たちの心の姿勢ですが、それは「公明正大」ではないでしょうか?この言葉はスポーツ選手がよく用いる言葉であり、英語で言う“フェア”(fair)に近い 立派な言葉 です。正しい事実を すなおに 受け止める、ということです。

② ♣ あなたの頭の中の常識を「健康保険が適応の病気」で照らし合わせてみましょう。 → 病気やケガではないのに自己都合の保険診療は No ! (例: 妊娠中絶、歯列矯正、美容整形;他に 自傷、喧嘩・泥酔の怪我など):これらは あなたの常識と一致しますね。次のものは どうでしょうか?:健康診断・予防接種・ピル・お産。=> これらは 直接の保険適用ではありません(半分 No ! )。交通事故(これは Yes ! )、難産(これも Yes ! )。性病(自分の責任で罹る病気だけれども 意外とYes ! )。ピルは、生理不順など治療を目的とする場合は Yes, 避妊を目的とする場合はNo ! つまり 健康保険の領域でも あなたの「常識」と一致しないものがありますね。

③ ♣ 次に あなたの常識を介護保険の領域で照らし合わせてみます。介護保険の趣旨は「高齢者の心身の不調を 家族内だけではなく 社会的にも対応すること」ですね。内容は法律が定めていますが、分かり易い言葉でいえば「敬老精神の発揮」でしょう。

♣ でも、たとえば、イギリスでは 年老いた親の世話をするのは子の責任ではない、老人のケアは社会全体がする、という考えで、すでに19世紀には定着し、 「年寄りは 丈夫で長生き」という敬老の常識はありません

♣ 日本でさえ厚労省のある介護保険の委員に 私は聞いたことがあります:“要介護5のお世話”と言っても「せいぜい15ヵ月」を限度として予算が組んである;なのに10年から20年も お世話するなんて「とんでもないことだ ! 」”。実際問題として 要介護5 二人を10年間のお世話といえば 一億円必要です。いくら日本が裕福で 敬老精神に富んでいても、これでは国が滅びます 1)  。

④ ♣ さて、常識の基になる「公明正大」や 「フェア」って感覚は いったい 何でしょうか?社会のある層が浮かんで 他の層が沈むことは フェアではありませんね。今の高齢者には 更なる優遇が求められていますが、今の敬老給付レベルでさえ若者層の生活が沈みます。日本のサラリーマンの年収は420万円、これに対して「胃瘻」は 年500万円かかります、信じられますか?「生活保護」にしても 213万人で年間3兆円 ! また、民主党が 実施を計画した 国民一人に月7万円の「最低生活保証金支給」は一年に107兆円 ! 国税の2年半分が消えます。給付を求める常識と実際の税収とは こんなにも解離があります。解離の根本原因は 「社会全体の利益を考慮せずに、自分の利益だけを追求する人間の心」です。後で述べる”モラル・ハザード1) としても知られていますね。

⑤ ♣ 私の今日の結論:―― 今の介護の常識は「高望みで 身の程知らずの人が一部にいること」です。キチンと経費の出納関係と効果とを把握した上で、現在の介護の常識が 果たして公明正大なものなのかを問うべき時が来た、と思います。

  参考:パールの安全管理 1) # 390 : 無料化とモラル・ハザード

職員の声

声1: 「常識」は自分の裕福・貧困の度合いに応じて変化するから 答えは一つ ではない でしょう(係り:スポーツの審判なら状況いかんに拘わらず フェアと呼ばれる一つの答え が出ます;結論が環境によってふらつくようななら、それはフェア以前の問題です -- この点、 フェア 宗教・政治・日常生活などにおける”信念・信条”とは ぜんぜん違います -- 試合の審判を もし”信念や信条”で セイフ・アウト をやられたら お客はついて来ない でしょう)。

声2: ご家族は「手厚い介護」を無限に求める方があります:たとえば90歳代でも歩行訓練を求める→当然 転倒の危険→怪我があれば 補償の要求は常識?非常識? 係り:介護が「善意の無料」なら 怪我の保証も「善意の完璧」が求められるでしょう —— もし50歳が天寿であれば (下の”声7参照”) 90歳での出来事は 遺伝子の保証期間の外です、神様に裁定して頂きましょう)。

声3: 資本主義の社会で「公明正大」なんてありえない係り:無産者は絞り取られる、という信念から の発言でしょうが、 「敬老精神」は ま反対 —— 生産者(若者)が 無産者(老人)に絞り取られるようです)。

声4: 社会貢献ができない不自由な人は 老若男女とも「身の程」をわきまえ、社会が与えてくれる処遇をすなおに受け入れて欲しい(係り:福祉は弱肉強食の原理を採らない し、原理主義者の言う アンフェアな施し(ほどこし)も採らない;生命の行動は そもそもエントロピーの原理では説明できません . . . 首尾不一致と言われようとも 妥協の中で second best を求めるしかない でしょう)。

声5: 目の前にはケアを必要とする老人がいます(係り: 「老後を過ごす」とは何か を考えましょう:長命に伴う長がーい老後の時代、本人たちは「蓄え」をほとんど持っていない → だから税金で その長命を支える2) 老人層は豊かな老後を過ごせるが 若者層は 逆に沈んでしまう → デフレから這いあがれない → これは まともな公明正大ではない でしょう?)。

声6: 健全な「老後」は「フェアな精神+受益者負担」で過ごすしかないと思います(係り:それでも政府は老人を支えるための借金を一千兆円近くまで増やしました;ギリシャ危機を越えそうです)。

声7: 老人への給付程度を減らすか、若者の税金を増やすか . . . どっちも難しいなー係り:そもそも この不安定な出発点は「蓄えることの大事さを説かずに高齢化を促進した社会の声に原因があるでしょう —— アリとキリギリスですね -- 「不自然な高齢化は間違いだ、人生は昔とおり50歳が適当」という声がチラホラ出て来るこの頃です 3) —— 公明正大であるためには、「高望みをせず、身の程をわきまえよ」ってことですか?)。

 参考:パールの安全管理 2) # 302 : 世代会計。3) 武田邦彦:ふたたび「天寿」と男性の健康について。2012.12.9 のYahoo-Blog.
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR