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(390) 無料化 と モラル・ハザード

 (390) 無料化 と モラル・ハザード  
 さて、今日のお話の中で 「無料」とは 「対価を払わず モノを得ること」= 「タダ」 ということです。

♣ 人も動物も 何か欲しい物があれば、まず その物に近寄って「食べるか、所有」すればよいのですが、もし先客があれば 歴史的には 盗む」=「無料 から始め、それができなければ 「取引する」=「有料」 になります。人の本性 は、進化の真髄 、つまり「横着 (おうちゃく) で 楽(らく)すること」だから、 「タダ ! 」一声の誘惑に負ける のです。

♣ たぶん多くの人は「医療」のタダ を望むでしょう。我が国の厚生省は1973年、理想に燃えて 老人医療を無料化しました !! 私は うかつにも 病院の待合室が 突然 老人で込み合った様子を見て、「あっ ! 無料化になったんだ ! 」と気付いたのを覚えています(病院待合室の老人サロン化)。また、「社会的入院」と言って、手間ばかりかかるお年寄りを 無料の病院に永く預ける、などの風習も全国的に広がりました。

♣ 無料だから、風邪や軽傷でも大病院へ駆け込み、高度な治療が当然という風習も確立され、患者さんは「(さま) と呼ばれ始め、その 高い要求レベルから「モンスター」(化け物と言う名称も生まれました。当然 医療者不足に拍車(はくしゃ)が掛かる世相になりました。病院は入床単価が高くなるので、医療費は ウナギ登り となって医療予算を圧迫し、9年後に ついに「無料化は廃止」となったのです。「無料化の理想」は 付随する 強力な罠(わな)を持っていたのですね。

♣ このように、理想と現実との間にある 不都合な解離を「モラル・ハザード」と呼びます1~2) 。「モラル」とは“倫理”、「ハザード」とは“望ましくない事件”のことです。合わせて「モラル・ハザード」は“「倫理(欠如の)事件」のことで、がんらいは経済学の用語でした。例: 保険をかけておいて 火をつけ、保険金を請求する行為、これは犯罪です。これほどではなくても、保険をかければ、注意義務は低下し、結果として火事のリスクが高まるかも知れません。保険金詐欺や殺人の手口にも使われます。危ないですね。

♣ その根本原因は「社会全体の利益を考えずに、自分の利益だけを追求する人間の心」 にあります。人は「進化」によって“ 賢く なった”ハズですが、残念ながら 同時に“ずるくにもなった”ので、解決困難なトラブルが続きます。

♣ このように  「無料化とモラル・ハザード」は 互いに手と手を携えて進軍します。福祉での例を挙げると:―― 不適正な生活保護費の支給、 ドロップアウトを救うための「セイフティ・ネット」、子育ての無料化、老人介護の無料化、ニート・引き籠り手当て支給 などなど。一般に「人気取り政治」は 収入より支出に熱心でして、結局 莫大な借金を国民に 押しつけます

♣ あなたにとって、そして誰にも通用する 社会を愛する姿勢とは「入るを計って 出づるを制す」という「先を読む慎重な心」でしょう。たとえ 理屈と手続きを通したハズであっても「タダ ! の一声」に転んでしまえばモラル・ハザードの罠にはまる危険があることを知っておきましょう。1973年の タダの医療は その典型でした。でも、 2000年の 介護保険は まだ その轍(てつ)を踏んでいません。ただし、意識レベルの低下した高齢者への過剰医療は 少なからずみられ、胃瘻 (いろう) を主とする「老人虐待 (ぎゃくたい) 」は 日本独特と言われています3) 。これは 病院と家族が主導する モラル・ハザード であり、悲しむべき現象です。

   参考:パールの安全管理 1)  # 197 : モラル・ハザード。 2) # 220 : 借金とモラル・ハザード。 3) # 377~380 : 胃瘻について。

職員の声

声1: 現実には、「タダ」が当たり前、と権利を振り回すモンスターがいます、気をつけたいです(係り: 「タダ」は人の感覚を麻痺させ、その上、それが受けられないと「不満」の牙をむき出します)。

声2: サービスを受けて対価を払う ―― それは当たり前でしょう?まあ、未来を創る子供たち・子育ての親だけを例外としたい(係り:老人は例外にすべきではありません ―― 質素な生活が第一です)。

声3: 一般人は 税金や保険料を払うので息が切れ、モラルなんて見えなくなる でしょ?(係り:モラルが見えないって? “貧すりゃ鈍す”の態度は許せませんよ ! 太宰治の「走れ メロス ! 」をご存知ですか?困っていても、フェアな心なら 多くの人が支持します)。

声4: 政治家は簡単に「補助金や子育て等々」を言いますが、国の借金はウナギ登りが実情なのでしょう?先行きが危ぶまれます(係り: 「タダ」の口車に乗って 後の「高いツケ」で 悔む(くやむ)のは国民です)。

声5: 老人医療を「タダ」にした失敗 が介護保険に活かされていますか?(係り:少なくとも一割負担がそれでしょう;もしこれを「タダ」にすれば、少子高齢化はさらに促進され、施設の職員たちは 権利意識の塊になった家族から 高く 不当なレベルの要求を突き付けられ 精根 尽き果てるでしょう―― 「タダ」は人の心を「仏から鬼に」します !!

声6:タダほど怖いものはない”と良く聞きますが、「タダ」の裏には 何かしら罠(わな)があるハズでしょう?(係り:ありますとも !! なきゃ「タダ」になりません: 「タダ」は「思考停止の窃盗」 有料は「考える人の取引」です)。

声7: 人の本性は、進化の真髄 = 横着で楽(らく)すること なのですか. . . だから この社会にはモラル・ハザード(倫理欠如の事件)が多い のですね(係り:動物なら 自分の利益だけで動きます;人間は大脳の発達により「賢く」なり、また「ずるく」にもなりました ―― そのためか. . . 仏様とイエス様がお生まれになったのかも知れません)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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