(392) エンバーミング (芳香樹脂 保存)

 (392) エンバーミング (芳香樹脂 保存)

 に至った身体は、免疫による制御を受けない ので、直ちに体内で様々な病原菌が繁殖 し始めます。

♣ したがって、身体から漏出する血液等の体液・胃液・排泄物等は、感染源として衛生的に取り扱う必要があります。また、亡くなった方を前にし、その死を受け入れ、悲しみから立ち上がって頂くためには、ご遺体としっかりお別れすることも大切です。こうした、感染源としての ご遺体を衛生的な状態に保全し、かつ 悲嘆のプロセスを尊重しながら ご遺体を大事に取り扱う思想と技術を「エンバーミング」と言います。

♣ エンバームとは「バーム」(芳香樹脂)で ご遺体を保存する、という意味で、遠くは 古代エジプトに始まるミイラ作成の技術に端を発しています。したがって、エンバーミングを意訳すると「防腐保存」とか「遺体衛生保存」と言うこともありますが、「保存・防腐」は 結果的にそうなるのであって、“きれいに手当てした”というイメージの点で“芳香保存”と言うほうが実態をよく表します。

♣ でも エンバーミングって、耳新しい言葉ですね。昔、ご遺体は すぐ腐敗し始めました。たとえば、お魚やお肉を 布で包み 室温で放置すれば どうなるか想像できます;季節によって違うでしょうが、冬で2~3日、夏なら翌日には もう火葬・土葬などを急がねば危ないでしょう。だから 山で亡くなった場合は その地で「荼毘(だび) 」に付し、船上で亡くなれば「水葬」にしました。しかし、お葬式までに 半月程度 時間の猶予が必要な場合もあります —— 国が広いとき、知名度の高い人、お葬式の日程、または遠くの地で死亡し自国にご遺体を運びたい場合など。そんな場合エンバーミングが有用です。国によって習慣は違いますが、これを利用する頻度はアメリカで9割欧州 7割など;日本でも 1~2% の利用があります。近年、日本のエンバーミングは都市で増えつつあると言われます。

有名人の例として:―― レーニン(ソ連)、スターリン(ソ連)、 ホー・チ・ミン(ベトナム)、 毛沢東、 金日成、 金正日、マリリン・モンロー、 マイケル・ジャクソン 、松本友里(松平健の妻) など。

♣ 具体的にはどうするか。多くの場合、足の付け根にある「大腿動脈」から、昔は「芳香樹脂液」を、今は「ホルマリンなど」を注入します。これで全身が安定して固定され、腐敗などによって起こる黄疸、水泡、異臭や腹水を防止できます。また、各種の感染症にかかって亡くなった方の場合、ご遺族などへの感染を防ぐ効果があります。顔などの復元処理とお化粧を行い、ご遺体の美しい表情を取り戻すこともできます —— あたかも「眠れる森の美女」であるかのよう、ハッとするほどの出来栄えになるのを見ます。日本でも これに関心を持つ人が増え、「エンバーミング」のサービスを行う葬儀社も現れました —— 経費は15万円から だそうです。

♣ パールは都市型の施設であり、ほとんどの場合は「ドライアイス」による冷凍法で間に合います。また 遠方のご家族への対応は「冷凍室」の利用で時間を稼ぐ場合もあります。

♣ しかし 近年、葬儀に宗教色がなくなり、祭壇が簡素化されるようになりました。また、亡くなった方と しっかりお別れをする「ご遺体中心」の葬儀が増えてくるにつれ、「美しい ご遺体の佇まい (たたずまい) 」は エンバーミングの独断場として評価されて来るでしょう。

職員の声

声1: この言葉を初めて聞きます;死体からの感染リスクが高いと聞き、驚きです(係り:肺炎、ウイルス性肝炎、結核、敗血症など 体液接触者の10% 程度が掛かり得る と報告されます、気をつけましょう)。

声2: エンバーミングの無かった昔は、どうしていたのですか?(係り:腐敗する前に 火葬・土葬を急ぎました;首だけ なら「塩漬け」もあったようですが、大量の塩が必要な上、塩の脱水作用により 皮膚が「干からびて」見え、美的ではなかったようです)。

声3: 火葬国のシンガポールでエンバーミングの普及率が70%とは驚きです(係り:死者への礼が篤い国;ほとんど赤道直下の季候などが影響するのでしょうか)。

声4: 外国の要人の葬儀が、死後 長くたっても行われるのを見聞しますが、それはエンバーミングで可能になるのですね(係り:Yes ; 上記の通りで、最高度な技術の結晶だと思います)。

声5: 日本ではご遺体に「濃厚接触」することが多く、今後 ウイルスや結核などの感染症を防ぐためにエンバーミングが見直されるでしょう。

声6: “病原菌があるから触ってはいけない”といわれても、今まで接してきた人なのに . . . と思うと せつない ! エンバーミングをすれば これが解決できるのですね(係り:ご遺体に手を加えることに遠慮した時代もありますが、エンバーミングは、もう 100年以上も親しまれた方法です;目を開きましょう)。

係り: パールでは、杏林大学:法医学教授の佐藤喜宣さん、ご息女で ご遺体化粧師の佐藤琴子さんにご出張をお願いして、職員全員が エンバーミングとエンゼルメイクのご指導を受けました。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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