(399) 向上 は 変化 から

 (399) 向上 は 変化 から  

 イギリスの名宰相・ウィンストン・チャーチルは ウイットのある人で、こんな逸話 (いつわ) を残しました:彼はイタリアへ旅行した時、英国船ではなくイタリア船を予約しました;驚いた英国人達が、「首相ともあろう方が なぜ我が国の船に乗らないのか」と詰問すると、チャーチルは答えました:「イタリアの船は食い物がうまい;その上 救命ボート利用で 『女・年寄りを先に乗せる』 という馬鹿げた(建前)ルールが無いんだ」。うまーく「溺死の憂き目から逃れること」を達成したものだと 私は感心しました。

♣ チャーチルは、別の意味深い 「本音」の名言も残しています( = 向 上 は 変 化 か ら )。その原文は= To improve is to change; to be perfect is to change often. = つまり、「向上」のためには「変化」を行え;また「完璧」に近づくためには 変化を「もっと頻繁に行え」、 と言います。「 (かず) 撃ちゃ 鉄砲も当たるわい、うまいことを言うなー 」ですね。

日本の介護保険は14年も続く立派な制度です。法改変は定期的に行われますが、一番大事な事とは この保険を「完璧に近づける努力」でしょう。つまりチャーチルが言うように、この介護保険が 「国民を どのように幸せにしたか、これからも このままで行くのか」を 問うことです。

♣ 介護保険は 介護の激務を 家庭から社会へ移すことによって 当の老人と家族の幸せに 大きい貢献をしました。しかし、中には辛口批判もあり、 老人の寿命を何年か 伸ばすのに 国家予算を何兆円も消耗し、問題解決(逝去)を先延ばしにしただけだ(xx新聞)の声も聞かれます。また 次世代を担う若者の肩へ重すぎる経済負担を投げかけた、 モラル・ハザード(社会全体の利益を考えずに、節度を失った自己利益追求の姿勢)1, 2) の問題という意見もあります。そこで私は 上記の辛口の批評 ① ② ③ を個別に検討してみます。

○A 老人の平均寿命 ➙ 暦年ごとの平均年齢の伸び は 先進10ヶ国で 男女とも10年毎に約2.3 年です3) ―-この伸び率は 各国ほぼ均等で、日本は介護保険の発足以降、特別に伸び率が大きくなった、なんて ありまません3) …むしろ 最近 5~6年の日本は 男女とも延命が足踏み状態です ! さらに、日本女性の平均寿命は、昨年 香港に抜かれ、世界一位から二位に転落です。

○B 次世代若者へ経済負担これは否めません。特に「世代会計」の面から見れば4) 高齢引退組は 未隠退組よりも一人一生平均で1億2千万円の余分恩恵を受け、また生涯受益率で見ると 日本+520%、ドイツ+92%、カナダ ± 0% などの分析もあり、日本は老人が 著しく過剰に優遇されています。

○Cモラル・ハザード ➙日本は 1973年に老人医療を無料化しましたが、モラル・ハザードの影響下で 9年後に廃止です。

♣ 前回 私が紹介した三つの言葉 5) を思いだします::マッカーサーの言葉:「日本人の精神年齢は 12歳 だ」;麻生太郎の言葉:「希望するのなら さっさと死ねるようにする」;橋本徹の言葉:「責任を取る覚悟の人と そうでなく情緒的な人では、意見の重みが おのずと異なる」。

♣ 「お年寄りは日本の宝です」、のような 建前の介護」ではなく、「今 社会が求めている介護とは何なのか」を洞察する「本音の介護」を考えましょう。そのために、チャーチルの名言:「向上は変化から」 を手掛かりとして あなたの 介護の将来について ご意見を聞かせて下さい。

  参考:パールの安全管理  1, 2) :# 197: モラル・ハザード。 # 390 : 無料化とモラル・ハザード。3) : 主要先進国における平均寿命の推移:厚生労働省の「完全生命表」2011年。4) :# 302 : 世代会計。 5) : # 398 : 親切な「本音と建前」。

職員の声

声1: チャーチルの救命ボートの発言、小気味よく「建前論」をくぐり抜けている ! そもそも「品質とコストの関係」を知っている人なら、介護とコストの関係は先験的 に知っているでしょう(係り:王様の介護 6) なら宮廷職員はコスト無視で働くでしょう;しかし時代が変わって 皆が王様の現代、コスト無視の介護を望んでも 原理からしてムリ ! )。

声2: 私は 弱者を増税で支えるのは当然だと思います、反面、弱者の老人が歴史的に増加した今、建前で対応すれば、社会は破綻してしまうのですか?(係り:老人は社会の宝、という建前を再検討すべき?)。

声3: 現在の「多老少子時代」にマッチした介護に変更せざるを得ないのですか?(係り:子孫数の確保に貢献しないまま、「ワシャ病気だけど 長生きしたいよ」って、そりゃ勝手すぎます ―― 昔の少老多子時代なら「馬齢」7) も可能でしたけど、皆が高齢者になる今、 「馬齢」はムリでしょ ! )。

声4: 社会が求める介護って何でしょうか?(係り:個人が求める介護なら「痒い所に手が届く介護」、しかし社会が求める介護なら 「並みコロの介護」 8) でしょうか?――もし完璧な介護が存在するなら、お年寄りは逝くこともできず、必要経費は無限大、国はデフォルトに陥ります)。

声5: 手始めに「要支援の給付」を中止すべきかな?(係り:ドイツでは、要支援なんてなく、介護 3-4-5 のみと聞きます;もし人に介護の必要性を訊けば、横着者が常に勝つ でしょうね。

声6: 麻生副総理が「希望者は さっさと死ねるように . . . 」と過激な発言をしましたが、その後 世論は それに反発していません;つまり「建前の介護」とはあくまで「建前」にすぎないのですか? 私は「楢山節 9) を思い出してしまいます( ―― 貧乏であっても 村の存続を望むなら 人は70歳で死ぬべし、という物語)(係り:世の繁栄を根絶するのは いとも簡単だが、困窮 (こんきゅう) を無くすることは 永遠に不可能なのだ、と 格言は言います:人間に限らず、生命の真理と本音は そんなものらしいですよ)。

声7: チャーチルが言うように、いろいろ考え、たくさん変えてみて、そこで初めて満足域の第一歩に到達するのでしょうね、分かるような気がするなー。

参考:パールの安全管理 6) # 3 : ソロモン大王の介護。 7) # 353 : 在宅亭主は馬齢(ばれい)か? 8) #396 : ホッチャレと並みコロ。 9) # 335 : 楢山節考。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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