(408) どもまで生きるの? 日本人

(408) どこまで生きるの?日本人 

  まず、ご挨拶を申し上げる。著者のうち冨士雄は 4月に胃腸をこわし入院・手術を受けた。回復に時間がかかり、8月下旬に職場復帰;この小欄ブロッグに目を通しておられた読者方には深甚なるご迷惑をお掛けして申し訳なかった。今後、また ブロッグを再開するのでご愛読をお願いする。

♣ 今日は「主な諸外国の平均寿命の年次推移」について考える。

♣ 図 1) は「日本と欧米各国」の 平均寿命の年次推移を示す(―― 図は細かいのでブロッグで表示しない;図がなくても言葉で分かるようにしてある)。一見して読み取れることを順次 述べる。① まず平均寿命の男女差は歴然とし、日本や各国とも6歳程度存在する:「女が長生き」とは、日本に限らなかった。② 日本の平均寿命は 戦後の1950年では 諸国の中で最低値;しかし30年後(1980年)には 諸国の値を抜き上げた―― 日本はバブルに酔っていた時期でもあった。

♣ ③ 図の各国とも 平均寿命は「右肩上がり」で、10年毎に平均2歳の増加を示す。各国共通に見られる この傾向はナゼか? 少子高齢化が その根底にあり、それは 日本だけに限らないようだ。④ 日本では 2000年に介護保険が導入された ―― 年間2.5兆円の資源が高齢者の「長生き」のために投入された。ところが図で見られるように、2000年以後の日本の平均寿命の伸びは 従来の伸びとは変わっていない! つまり2.5兆円を投入したけれど それが寿命の伸びに貢献したとは言えない。それどころか、記録の終わり4点は 男女共に「伸びの停止」である! これは何としたことか? 介護制度をつくり お金を掛けてみたけれど、寿命の伸びは「頭打ち」になったということだ !

♣ 解釈として考えられることは、「介護保険によって寿命は伸びなかったが、生活の質は向上した;老人は わびしい生活から 快適な人生を送られるようになった」とも考えられる。「介護保険の目的は そもそも“延命ではなく、尊厳と自立”にあるから、このことは不思議ではない」とも解釈されよう。

♣ でも私は別な事を考える。そもそも人間は 好ましいことをしてあげれば 寿命が延びた。たとえば 日本人の平均寿命は「明治元年(1868年)で30歳、大正元年(1912年)で40歳、戦後5年(1950年)で50歳であり、現在ならば(2013年)平均寿命は86歳;明治に比べれば一人の人間が3人分の人生を送っている ことになる!このまま行けば、やがて100歳、150歳も夢ではなくなるのか?

♣ 私はこの図の寿命の様子から見て、人の平均寿命には 身近な「天井」があると感じる。現在、小児科医療の発達により、2歳になった子はほとんど20歳に育ち、人が20歳になったら、以後 死ぬ理由がほとんど無いのだ! もちろん、水・陸・空の事故で命を終える人は少なくないが、それを「天寿が尽きた」とは言わないだろう。そこで日本人はどこまで生きるのか?

♣ 20歳を越えて死ぬ原因は 大きく「二つ ある」。一つは「生活習慣病」である。過食・肥満・糖尿病・高血圧・深酒・喫煙と喘息・過労とストレスなどの要素が重なって 50歳から70歳にかけて 不節制の残滓(ざんし)が人の命を短くする ―― つまり この時期に、ガン・心臓病・脳卒中などで 多くの人たちは命を落とす ―― でも、言って見れば「自業自得」の因果関係で死ぬのだから 他人が介入して延命させることは困難である。そもそも 人の遺伝子には 生活習慣病に打ち勝つパワーを持っていないだ。

♣ 二番目の死ぬ原因は「損耗・廃用萎縮」である。ほんらい人間の遺伝子は 25歳で子を産み終え、50歳で子を育て終え、50歳以後には ご用がないように仕組まれている。だから人間の遺伝子寿命は50歳とも言える。しかし人間は「賢さ」を学び取り、50歳以後の人生を勝ち取った。ところが延長された人生のうち 文明社会では70歳頃までに 生活習慣病で落伍者が多数発生、生き残った人々も、日々 細胞数の減少による不自由さにさらされる。60兆個あった身体の細胞数は30兆個にも減り、全身機能は日々 落ち、「損耗・廃用萎縮」が進み、長生きしても「誤嚥性肺炎」で終止符を打つ。

♣ 上記二つの死の原因が除かれれば、人は「不老不死」となるだろう。原因を除くためには「遺伝子改変」が必要となるだろうが、それはムリ。「どこまで生きるの?」と言う問いに対しての答えは、平均寿命86歳;それに加わる平均余命を考慮しても106歳程度であろう。

♣ 介護保険の目標としては「尊厳・自立」が掲げられている。見ていると「自立」はムリ。「尊厳」なら平均寿命 = 86歳で達成されて行くように見える。

 参考 1) 主要諸外国の平均寿命の年次推移。(資料)厚生労働省「完全生命表」OECD Health Data 2012. (頭記標題でパソコンで入手できる――図は細かいのでブロッグに表示せず)。

職員の声
声1
:日本人は先進諸国を抑えてナゼ一番長寿なのか?(係り:たぶん生活全般が賢いから、そして医療の配分が優れているからだろう;でも無限には生きられず、事実 86歳で“頭打ち“のようだ)。

声2天寿を全うすることの意味は?(係り平均寿命が86歳をもって天寿といえるかどうか? 昔は もっと若くして“惜しまれて”死んだ;今は長生きするのに“まだ足らない”で逝く)。

声3他人に迷惑を掛けず 楽しく暮らせば良いのか?(係り:人生のQOL = 充実感を増やしながら生きることが大事だろう;しかし長命とは たいていの場合{他人迷惑+本人不満}で成り立つ;何歳なら満足と言える寿命はないからだ)。

声4:「元気で長生き」と言うが、医療援助はどこまでが適当か?(係り:治る病気を治療し、単なる延命はしないことと言われるが、医療者は“治らぬから治療しない”と言えない;欧米では「効率医療」と言うが、我が国では それは禁句である)。

声5:長命を望む人数と それを支持する人数がアンバランスだ(係り:前者は毎年増え、後者は毎年減る:これを解決する一法は「格安延寿」である 2) )。

声6:軽い要介護度(要支援 1, 2 )は介護保険からはずされるのか?(係り:老人が増え過ぎ、今 増税の可否が問われている)。

声7多老少子のため世の中は困り果てていると言うが . . . (係り:政府は無策、庶民は能天気、その上 老人延命は花盛り、若者は命を削る → バカかよ ! → そのエネルギーを「育児に向けるべき」ではないか?)。

声8長生きして「幸せ」なら長生き賛成 !係り:長生きして認知症が進めば、 「時」の観念が消失し自分が将来死ぬ なんて理解できず 不安はなくなる。ついでながら述べると、人間は平均85歳で半数が認知症に、110歳になると 全員が認知症になる 3) そこまで長生きすれば 「死も幸せ」と言えるナ)。

参考 2) パールの安全管理 # 395格安延寿(L.C.L.)とは。 3) Brutal Truths about the Aging Brain : Robert Epstein in Discover 10: 48~76, 2012.
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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