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(410) 「お年寄り」「老人」 vs 「高齢者」

 (410) 「お年より」「老人」 vs 「高齢者」   

皆さん方、覚えていますか?痴呆」という言葉が「認知症」へ変わったのが 2005年。当初は「認知欠損症」などの“程度”を表わす言葉を加えることが必要だ、などの批判もあり、受け止めに抵抗があったけれど、あれから8年、今では“滑らかに”認知症として通用している。反対する人もないようだ。

♣ 考えてみれば、「痴呆」の前に使われた言葉は「年寄りボケ」;さらに前には「きちがい」などと呼ばれていた――差別的な匂が濃厚だった。日本では上品な語感の「認知症」に変わったが、英語圏では 昔通り “dementia” (デメンシャ) のままだ。その意味は「精神機能が狂った」となる。日本語のほうが良い と思うだろう。

♣ そもそも お年寄りに関係する用語は時代と共に変遷する。がんらいの日本語なら 江戸時代から「お年寄り」が標準だっただろう。文章用語なら「老人」となるか。たとえば「老人保健法」:(1982年)。しかし これも5年前 (2008年)に改訂され、「後期高齢者(医療制度)」と改名された。つまり「老人・老年」という定番用語が消えた のである。「高齢」には「低齢」が対応するが、かかる用語はなく、片手落ちである ! また 英語には 高齢 = high-aged peopleのようなダサイ言葉はなく、単純に “the aged”または “the elderly”である。シーナイル(senile)を用いれば“医学用語”となる。

ナゼ「老人」を「高齢者」に変更する必要があったのか? 実は 元総理であった小泉純一郎氏が「後期高齢者 (保険制度)」を提唱し、2006年に国会論争で「高齢者」という用語をもぎ取った からである。後期高齢とは「75歳」、その時 75歳だった人は、「いずれワシらは末期高齢者と呼ばれるのか? 」と悲しんだものだ――まことに無粋な用語だった !!

♣ 日本人は新しい「名詞」を作成する名人だ。明治維新の時、日本語の名詞はトンデモなく少なく、欧州語を翻訳するにあたって非常に困った。そこで活躍したのが 福沢諭吉。彼は「美と勘と正確さ」を組み合わせて、徳川時代にはなかった翻訳新語を量産した。たとえば:会社・社会・株・予算・利益・学問・哲学・科学 . . などなど。

♣ 彼の後継者はその流儀を体得して 現在に至るも日本語の名詞は続々量産され、その多くは中国・韓国にも採用されている有様だ。介護の世界でも諭吉が活躍する:たとえば、認知症・要介護度・精神機能・保健・後期高齢者など。

♣ がんらい 年寄りとは「自分より年齢が上 . . . 」くらいの漠然とした意味を持つ。だから小学生にとってみれば、30歳の人も 40歳の人も 「見上げるほどの年寄り」である。昔 ローマでは40歳以上を 十分な分別を持つ元老院議員の資格とした。日本でも 40歳を老人の定義としたようで、老人保健法は40歳から始まっていた。40歳は「老眼鏡」の始まりでもあり、また 女性が子孫を残す年齢としてもギリギリである。

♣ 戦前は40歳を「老人」と心得る時代であった。それに比べて今はどうだ ! 私は英会話で60歳の女性を “an old lady of 60 years”としたら イギリス人教師に叱られた:60歳は “old” ではない、と言うのだ。現在の定義では40歳はまだヒヨコ、65歳にして やっと「お年寄り」(old, elder, senior)にしてもらえる。「高齢者」は法律用語として今時 よく用いられるが、それは行政職員の勘が悪い のだ。「老人」または「お年寄り」という 使い慣れた用語を大事にすべきだと思う。

英語圏の言葉は老人の自尊心をくすぐる が、日本のお役所は 人の嫌がる「後期高齢者」を使って平気だから あきれてしまう老人たちの心を尊重し、“高齢者”ではなく、昔からの用語 =「お年寄り」を復活したら 世の中が住みやすくなるのではないか?

 職員の声 

声1: 「後期高齢者」という呼称は いかにもヒドイ ! 取りやめにして欲しい(係り:すぐに自己責任 ! と叫ぶ小泉節、でも人々は無礼極まると思っている )。

声2: 確かに「高齢者」と呼ばれるのは 何歳であっても気持ちは良くない と思う(係り:大学生が幼稚園の子供たちに「オジチャン ! オバチャン ! 」と呼ばれて うろたえるのに似ている)。

声3: 私は「高齢者」などで括るのではなく、お一人ごと お名前を呼んで尊敬の念を表す。

声4: 私が子供の頃は「お爺ちゃん・お婆ちゃん」だった:それがいつのまにか「高齢者だって !」;それじゃ可哀そう !

声5: 半世紀前までは「人生50年」で終わったものだ;いまでは65歳でやっと高齢者になれる 有難いご時勢;でも もっと上品な呼称があるでしょうが ! お役人も 自分が65歳になったらイヤになるよ !

声6: 外国では老人と言われるのは何歳から?係り:65歳だ)、どう呼ばれるの?係り:文章語なら the aged, the elderly――呼びかける時は “gentleman, lady” などである;“ちょっと そこのお爺ちゃん”なんて呼ぶと 殴られる―― 一般に 人の年齢や体重などを訊くのは無作法だ ! )。

声7: 実年齢が高齢であっても 元気なお年よりはいっぱい ! (係り:実際に その方の心も元気なのだ;お爺ちゃん、今日も元気ですね . . . などと決して言うなかれ ! 山田さん、今日も元気ですね . . . と語りかけるのが礼儀正しい ! )。
 
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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