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(417) 福祉における 費用 対 効果

   # 417 福祉における 費用 対 効果 

  物事は 放置しておくと進行せず、“いじる”と その程度に応じて 進行する。今日は 「いじり」の程度を、「軽く」から「重く」まで観察してみて、その費用対効果の実態を見てみよう。

♣ まず 「16代 仁徳天皇 の‘かまど’物語」からスタートする。ある日、天皇が皇居の高台から遠くをご覧になると、人々の家からは煙が上がっていない ことに気付かれた。天皇は「民の窯( かまど )に煙がないのは、貧しくて炊くものがないからではないか」と仰せられ、三年間、税を免除された。これにより、宮殿は大いに荒れ果て、茅葦( かやぶき )屋根の隙間から星が見えるほどとなった。

三年がたって、天皇が同じ高台に出られて、遠くをご覧になると今度は、人々の家々から炊煙が盛んに立つのをご覧になり、「ワシの心は豊かになった;有難いことだ」とおっしゃった。→ 天皇が「慈悲」の気持ち で税を免除されたことが「コスト」(費用)に相当、その結果 民の窯から炊煙( すいえん )が立つようになったのを「効果」だと見よう。そもそも天皇の念頭には、「費用対効果」などの考慮はなかっただろうが、現在の分析法でいえば「慈悲のおかげで かなりの効果」が得られたと言えるだろう。それは福祉の心の萌芽( ほうが )だとも言える。

♣ 次の話題は ナイチンゲール。19世紀の半ば、ロシアは南下政策により トルコのクリミア半島に進出、これを嫌った英仏伊が軍隊を派遣して“クリミア戦争”が始まった。砲火による戦死者は20万人を、負傷者は100万人を越える史上最大の悲惨な状況となった。フローレンス・ナイチンゲールは 現地を訪れ、看護を宗教から分離させ、傷病者を近代的な看護で看る体制を確立したことで有名である。

彼女は 最初は「単なるボランティア」の気分であったろう。しかし、彼女の活動は私的な経済範囲のものではなく、また、現場では「兵士の死亡率55%を5%にまで低下させた」という巨大な成績があった。この活動を「費用対効果」の目で見ることは 適当ではなかろうが、もし見るとすれば 「単なるボランティア」に過ぎなかった彼女の福祉の気分が 巨大な救命効果を産んだ、と言うことができよう。費用対効果で言えば、申し分のない福祉活動であった。

♣ 三番目の例には マーガレット・サッチャー元イギリス首相を挙げる。イギリスはなにせ 19世紀から世界の海を支配し、多数の植民地から上がる「富」で潤っていた。しかし 19世紀半ばのナイチンゲール以後 20世紀半ばまでの百年間 イギリスは大戦に巻き込まれ 国民はヘトヘトになった。そこに現れた労働党の政策「揺りかごから墓場まで」を国民は大歓迎し、人々は 政府に 「おんぶに 抱っこ」 を当たり前とし、働かなくなった。当然、国の財政は左前になり「英国病」と呼ばれる病に罹り、このままではイギリスは再起不能となる。

サッチャーは 色々の政策で対応策を練ったが、その一つが「透析の60歳定年制」である ―― 60歳を越えると保険で透析ができなくなる。これによりイギリスは毎年3兆円に相当する国費の節約ができ、国は再起することができた。同じ問題で悩んでいたドイツも これに倣った。サッチャーの業績は と言うと、「費用」は透析遂行のための3兆円 ――「効果」は その3兆円を国費に取り戻した、ということか ―― もちろん、透析を受けられなくなった数十万人の透析患者は死んで しまった。日本ならこんな荒療治は出来ないだろう。サッチャーも この業績を「福祉の費用対効果」とは呼ばなかった。

♣ 四番目の例は おなじみ スエーデンの動向である。今世紀の初頭、スエーデンは 2015年に「国の社会保障から全面撤退する」と アメリカの有力週刊誌 “NEWS- WEEK” がすっぱ抜き、誰もが「そんな ガセネタを ! 」と相手にしなかった。ところが 今年 報じられたニュース ! スエーデンは性風俗が乱れ、離婚も増え 一人親の子供が過半数となった;貧困で可哀そうな若い男性イスラム(回教徒)を大量移民させ、国は家族沢山になった(妻・親子・親戚をアラビアから呼び寄せ、今や全人口の1割弱を占める)

―― 小学校教育さえ不十分で犯罪が多数なイスラム、毎週のように学校放火が発生する)。これらの 制御困難な社会不安の結果、後30年ほどでスエーデンはイスラムに乗っ取られ、国が滅亡すると予想されている(スエーデンの悲劇);その次に乗っ取られるのはオランダだという。スエーデンは優しい福祉の心で 貧困にあえぐ可哀そうな人々に“救いの道”を提供したが、「軒先を貸し 母屋( おもや )を取られ」、自国の滅亡に繋がる 恐ろしい結末となった(掛けた経費の逆の マイナス効果)。

♣ 最期に「日本の現状」を考えて見よう。日本は「建前( たてまえ )の国」だ ―― 2000年の介護保険以来、老人は「オンブに抱っこ、乳母車」を建前とする。お金が たっぷり あったバブルの時代ならいざ知らず、多老少子の今の日本病を「建前本位の政治家たち」は 本音で“いじる”のを嫌がる。もし 本当に サッチャーのような 本音でいじる政治家が出て来ない限り 日本はスエーデンと同じ運命をたどるだろう。

♣ <サマリー> 仁徳天皇は「慈悲の心」で大きい福祉結果を獲得された。/ ナイチンゲールは「ボランティアの気持ち」でスタートしたが、多数の命を救って 多大な福祉結果をもたらした。/ サッチャーは透析60歳定年を実施し、多数の患者を失ったが 「イギリス病」を救い 福祉にも貢献した。/ スエーデンは イスラム人の救済に国の命運を賭けたものの、結果的に福祉は得られず、却って 自国を滅亡させる 帰趨( きすう )にある。/ 日本の福祉は何を目指すのか?「尊い命の老人」を コスト無視の姿勢で もてなし、多老少子の社会矛盾の中で 人々は疲弊( ひへい )して行くのか? そして老人は尊敬されるのだろうか?

♣ 私は「費用と効果」のバランスの点では、ナイチンゲールとサッチャーの中間点くらいの福祉が良い のではないか、と思う ―― 高福祉とか中福祉とか 無意味な事を言わない;要するに やり過ぎの福祉は 良い結果を生まないのだ。それは なぜか? 福祉の受益者たちは 所詮 「自分の損得」が問題だからだろう( = して貰わにゃ 損々)。その結果、正義と恩義を忘れ 弱肉強食の世相が生まれ、社会が荒廃・破滅してしまう。

♣ 福祉は「軽くいじるより 重くいじるほう」が いじり甲斐があるかも知れないが、やはり「費用対効果」のバランス点をよく考え、上の例なら ナイチンゲール ~ サッチャーの中間くらいの福祉で手を打つ のがベストではないか。 「スエーデンの悲劇」は いじり過ぎによる、と私は考える。

 参考:ようこそ現実のスエーデンへ(ネット:Yuuyuuさん) 実業の世界:13.8.31

職員の声

声1: 費用対効果のバランス点をよく考えるべきだ;透析定年を60歳としたサッチャーのバランス点は「なるほど」と思う(係り:大抵の男たちは“過去に貢献したから、今 遇してくれ”などと言うが、生命とは そんな甘いものではない。社会の役に立たなくなれば 身を引いて貰う のが原理原則である)―― 先祖が殿様だったから、ワシも殿様待遇にしてくれ、と聞けば あなたは反発するだろ?

声2: スエーデンが地図から消えて行くと聞き、ショックだ;アラブの大量移民も、受け入れて貰ったのなら 移住先の国に恩返しする気持ちは無いのか? これでは移民の受け入れが怖くなる。

声3: スエーデンはイメージの良い国だと思っていたが、いずれイスラムに乗っ取られるのか?ほど良い深さの福祉は出来なかったのだろうか?(係り:欧州の福祉国家とは そんなにヤワなものだろうか?スエーデンの後 オランダが乗っ取られるなんて信じ難いことだ)。

声4: 費用対効果の意義は 福祉や医療において 解釈が難しい係り:その通りだ、銀行勘定のようには行かない:だからこそ「仁徳天皇やナイチンゲール」のように、「費用・効果・福祉」などの用語が存在しなかった昔の例を挙げた ―― 命は尊いとか 病気は別格だ と特別扱いをしていると 結局 「建前と本音」の方向音痴になって判断を誤ることになる ―― 日本だけ だよ、建前と本音が泣き分かれているのは)。

声5: 福祉のバランスは「ナイチンゲールとサッチャーの中間くらいが良い」と言うが、それを実行できる政治家が日本にはいないではないか?(係り日本の政治家で最悪な点は「足の引っ張り合い」と「建前で威張り合う」ことだ;英国でもサッチャーだからこそ反対派を抑えることができたのだ)。

声6: サッチャーのように 本音が言える政治家が もっとソフトな対応をすることが 本当に望まれる。

声7: 仁徳天皇・ナイチンゲールの話は初めて聞くので楽しかった;現代の日本は“いじり過ぎの福祉”なのか? 係り意識がなく 寝たきりの婆さまに胃瘻を付け、その上“身体障害者一級”の申請をして 一切を無料とする ―― そんな家族が最近パールの在宅で発生した:あなたは これをどう思う?)。

声8: 福祉は、やり過ぎて行為者の損、やりな過ぎて相手が損、何事も「適度」が一番だ(係り:これを “ルー(Roux)の法則”と呼ぶ:昔“筋トレ”で言い慣わされた言葉だ ―― いじり過ぎを禁じている)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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