(427) 格安延寿は重要だ

(427) 格安延寿 (L.C.L.)の重要性

 格安延寿とは、Low Cost Life 1) をイメージするもので、つまり贅沢延寿の真逆の状態を念頭に置くと分かり易い。格安延寿は 昨年 日本で始まった格安航空(L.C.C.)をもじった造語であり、実質は延寿であるものの、それに必要な経費が格安 であることを特徴とする。

♣ 日本人の平均寿命は たかだか50歳であったが、現在女性は86歳±10歳の延寿を達成した。が、しかし、ここに至って 我々は 三つの大きな問題 に直面している。

♣ ① 一つは「長命が当然と思う国民性」によって 果てしない延寿が要求されていること(例:胃瘻など);② 社会で長生きの老人比率が著増したこと;③ 上記 ① ② によって、福祉経費が毎年1兆円ずつ増えて行く経済事情だ。

♣ これへの対応は、(A) 「介護対象者数を増やさない」、(B) 「介護給付を減らす」しかないだろう。(A) は倫理的に困難だから、(B) の「給付」に手を加えるのが自然であろう ―― つまり贅沢延寿は中止、格安延寿に方向舵を切る。「生活保護」の類例で言えば、酒・煙草・パチンコ・競馬付きの保護レベルではなく、ごく普通の生活保護をイメージすれば良い。

♣ ここで「寿命を再考」する――女性の平均寿命は “健康寿命73.6年 + 要介護寿命を12.7年、計86.2年”ある。同じ86.2年でも、要介護寿命が短ければ その分 健康寿命が長くなる計算だ ―― だが もし要介護期間がなくなれば 介護保険は不要ということになり、それは実務上 あり得ない。

だからこそ 格安延寿が解決策となる だろう。要介護度が 3 → 4 → 5 と自然進行するにつれ 贅沢介護を行えば、納税者は痩せ、社会は疲弊する;その負担を回避するために格安延寿の逃げ道がある。丁度 格安航空が“旅行”という目的を達成するために、付加的な贅沢を切り詰めて安価にする のと似たアイディアを 介護に応用しようと言う訳だ。一例を挙げると 格安延寿では 納税者の重い負担を避けるために「老人透析や延命胃瘻」は行なわない(3~4兆円の節約)。

♣ このところ、「延寿」の考え方が変わってきた:延寿とは高齢に高齢を重ねることではない ! がんらい 人は 汗水流して働き、子孫を残すことで社会に貢献してきた;つまり「人の天寿とは = 働き、子孫を残し、社会貢献ができる限りの期間である」;この世は「働いている人が報われる」という社会が‘まっとう’ではなかろうか?もし高齢や病弱で社会貢献ができない事態なら 介護保険で助けて貰うけれど、あくまで「質素で つましい余生」を送ってこそ 人々の温かい視線 が得られる。老人が長生きさせて貰うために、格安延寿は、納税者に対する「礼儀 ではなかろうか? それを悪乗りして贅沢延寿(胃瘻)なんて とんでもないこと だ。だって現実の福祉経費は 一人当たりの老人は すでに 現役層の “5.2倍” も掛かっているのだ2)

♣ アメリカの前大統領レーガンは「認知症」を患い、肺炎で死亡したが(93歳)、贅沢延寿を行わなかった。イギリスの前サッチャー首相も「認知症」で治療を受けたが 脳卒中で死亡(87歳)、輸血も透析も行わず 普通の逝去であった;それどころか 彼女は「透析60歳定年」をイギリス国策に採用した大物人物でもある。

♣ 欧米と日本では お年寄りへの姿勢がはっきり違う:あちらは“年寄りもワシらも みんな同じ仲間”、日本では“年寄りはワシらの上にそびえ立つ偉大な存在”なのである。結論:お年寄りがワシらに何か良い事を施して下さるのなら「贅沢延寿」で遇することもやむを得ない;だが何もして下さらないのなら 素直に「格安延寿」で いかがであろうか ―― 前者は社会の「疲弊」をもたらし、後者は それを防ぐものである。

 参考: 1) 安全管理 # 395 格安延寿(L.C.L.)とは? 2) 安全管理 # 302 : 世代会計

  職員の声 

 声1: 胃瘻や透析の話題で 私はお金のことを考えたことがなかった;パールに勤めて 初めて年500万円ものお金が掛かることを知った係り:普通の人の給料では払えない大金だ ―― 税金で支払われている)。

声2: 触れると暖かい体、食べられなくて死んでもらってはは当然イヤだ ! でも私費500万円掛かるとなると、ご家族が胃瘻の希望を述べるかしら? (係り:声をかけても返答のない 要介護5の老人に胃瘻を付けるのは虐待だ . . . しかし負担金がないのなら胃瘻を希望するご家族は有る ! ―― 人の褌( ふんどし )で相撲を取る“贅沢延寿だ)。

声3: 日本では 死ぬ直前までの平均12.7年は 介護寿命か? . . . みんな ずいぶん人様のケアを当てにするのだなー ! それを短縮できない理由があるのか?係り:自然界の動物は“弱り目にたたり目”で すぐ捕食されてしまって 要介護寿命はナイ;人間はね、ご存知のように 用意周到な介護で延寿生活を長く生きるのが常だ)。

声4: 欧米では個人に立脚した人権が尊ばれる;日本では儒教忠・孝・仁・義・礼 . . . )が尊ばれ、面子にかけても“贅沢延寿”に走る係り:今 儒教のないオランダが揉めている ―― 同国では格安延寿を実行しているが、それでも介護の累積赤字が耐えきれず増えて行く―― 国民は介護の質を決して落とすな、と強硬である ―― しかしお金はない ―― やむを得ず 無料のボランティアを活用するのだそうだが、うまく機能するか? 世界が注視している)。

声5: 痒い所に手が届くほど全てを介護して差し上げる日本型の介護 ―― 過剰サービスの贅沢延寿でなくても残存機能を引き出す格安延寿 なら お金を節約しながら介護ができる と思うけど。

声6: 日本では、死に対する教育がないから、生に対する知恵もない;過剰介護 → 依存 → 給付金の増加 → どうせタダなんだから 介護サービスは使わにゃ損々 . . . 格安介護はいろんな問題の解決に役立つと思う。

声7: 私は“格安延寿”の思想に大賛成だ;胃瘻を付けるって 老人を大切にするどころか 虐待でしょう? その上 介護会計を著しい危機に追い込む ―― 上記のような オランダの知恵から学ぶべきだ。

声8: 長生きするのも お金が掛かる;質素でつましい生活をしようではないか ! (係り:私費だけで生きて行くのなら 贅沢・格安 いずれも OK ! しかし“年金”には若者からの税金がたっぷり含まれている ―― キリギリスの身分で威張ってはいけない ! )。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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