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(439) 各 国 寿 命 : 5 つ の ハ テ ナ ?

 (439) 各 国 寿 命 : 5 つ の ハ テ ナ ?

各国の寿命 : 五つのハテナ

  私は パールの安全管理「最大寿命と平均寿命1) で述べたことだが、「主要先進国における平均寿命の推移」の図 2) 上 を眺めていると、疑問がふつふつと湧いてくる。そこで今日は上記の図を再び出して 私が感じた「5つのはてな?」を提示する。

♣ この「はてな?」に対する答えは まだ決まっていないが、図を読めば その人なりの答えが出るハズである。みんなで考える その答えを共有・周知することで 老人介護の意義が深まる のではないかと思う。想像をたくましゅうするのでよいから、職員各位が自分の想像する解答を聞かせて欲しい。

ハテナ ①: すぐ気付く男女差であるが、図で 女グループは男グループより 平均6年ほど長命であり、これは国によらず普遍的である。ナゼだろう? 男については「戦争・危険職業・酒・煙草. . . 」などが原因と言われているが、この60年間 世界大戦は起きていず、酒煙草などは 各国とも“どんぐりの背比べ”だ。妊娠・出産・体力の相違・男優位の社会構造などは むしろ 女こそ短命であるはずなのに 実際は女が長命だ。ナゼこうなるのか?

ハテナ ②: 図を見ると、これら10ヶ国の寿命の推移は 1950年以降 全部 右肩上がりである。それはナゼだろう? 第二次大戦後の短い期間に限って、社会が安定し衣食住の充足が寿命の延長をもたらした、という説明なら分かる。けれど、それが60年の長きに亙って続くものだろうか?この図には出ていないが、ロシアの場合、女70歳代・男 60歳代で平均寿命は停止し、その推移は水平 もしくは右肩下がりなのだ ! アフリカ諸国も水平だ。つまり右肩上がりは“当然の増加”ではない。何が関与しているのか?

ハテナ ③: 日本の曲線を見て欲しい(黒い太線)。戦後10年ほどは急峻に上向きで立ち上がり(10年間で+6歳)、戦後の社会復興の様子が見て取れる。それ以後は 男女とも ほぼ10年ごとに3歳の割で延寿が認められる。これに対してヨーロッパ勢は10年に2歳の割で延びたに過ぎず、傾斜の角度が明らかに異なる ―― 日本はヨーロッパ勢に下から上へ追いつき追い越したのである。その理由は 戦後 日本婦人の家庭労働が楽になったから?日本女性に特有な DNAが有効に働いたから? それとも?

ハテナ ④: 経験的に、平和で福祉政策が充実すれば 国民は長命になると信じられてきた。そこで また 日本人のカーブを見て欲しい。介護保険が実施され、その恩恵により 寿命の延びが急峻になるハズだが、2000年の介護保険の実施以降 寿命が 急峻に延びた事を示す所見はない のだ ! つまり介護保険の開始で“延寿効果”は無かった、と判定される。え? 毎年2.5兆円もの大金を投じても延寿はないの? ナゼだ?分からない !

ハテナ ⑤: 同じく日本女性のカーブを見る。2006年以降 7年に亙って 平均寿命は86歳レベルで停滞している1) 。従来の成績を延長すれば 「88歳」になる予定なのだ ! (2011年の落ち込みは東日本大震災の影響であろう、とも言われる)。これに反して 男性のカーブは 78歳から80歳へと 順調に延びている。つまり、86歳という特別な絶対年齢が関係しているのではないだろうか?

♣ 今ここで「延寿」と言う言葉を使っているが、数学レベルの延寿なら無限延寿にする計算も可能だ。しかし生物レベルならば無限延寿なんて あるハズがない ―― ちょうど身長の「S字曲線」が18歳以前で停止するように やがて停止の現象が 必ずあるはずだ。数学者なら、人間の平均寿命は やがて90歳~100歳~120歳になると予想する人もあるが、生物学者なら そんな無責任な推定はしない

♣ 以上、寿命のハテナ?を5つ述べたが、なかなか良い答えが得られない。5年先、10年先に新しく加わるデータを待ちながら、これらのハテナ?の答えを探したいと思う。ここで  「平均寿命」の意味を振り返ると、それはゼロ歳児から超高齢者までの寿命の平均値であり、介護に従事する我々の老人観とは 数値が少々異なる。本当の年寄りが どれほど生きるか、ならば「平均余命」を加味したデータが役立つだろう。それによると、65歳の平均余命は 65+23.8=88.8歳、90歳ならば90+5.47=95.5歳である。数が散って複雑になるばかりで「大筋」が見えにくくなる欠点がある。 

結論:  延寿の普遍性・延寿率の各国差介護保険の影響・絶対年齢86歳の意味を考察し、職員各位の意見を尋ねた;良いヒントが得られるだろうか?

  参考: 1) 安全管理 # 434: 最大寿命と平均寿命。 2) 恐れ入りますが 次の資料をネットで引き出してください : 厚生労働省「完全生命表」2012年。
    
職員の声

 声1: 子供を育て上げるまで 女は死ねない ―― だから女は長生きなのだろう(係り:女は昔 15歳で第一子を産み、30歳の手前で死んだ ―― 子は15歳に育っている ―― ところが 女は今、90歳でも死なない ―― 何事が発生したのか?)。

声2: 女が男より長生きなのは「体力と社交性」に関係が深いからだと思う;男は世間話に弱いが、女は付き合いや趣味などの生命力に溢れている(係り:70歳以上の300例の一人暮らしを5年間追跡した結果、男は全員死亡・女は全員生存という結果が報告された2) 。また俗説かも知れないが、妻を失った夫の平均余命は2年、夫を失った妻の平均余命は17年と言われる――だからこそ “Merry Widow” (陽気な後家さん) 3) という現象があるのだろう)。

声3:美人薄命」という格言があるのに、女のほうがナゼ長生きなのか?(係り竹久夢二の絵画を見ると 確かに薄命な美人が想像されるが、実際は「美人を見ると、見る人のほうが命を吸い取られて薄命になる」のかも知れない)。

声4: 右肩上がりの延寿と言うが、私の解釈は悲観的だ;これから先、ピーク年齢は80歳→70歳に下がるかもしれない係り:日本は病気寿命も世界一長い ―― つまり寝たきり期間が異常に長いから平均寿命も長く見えるだけだ . . . 日本は平均寿命86歳で威張っているが、健康寿命だけで言えば 単に73歳に過ぎないのだよ)。

声5: 介護に力を入れても、寿命の上限には限りがあるのか?(係り:土地代や国家予算は天井知らずに大きくなるが、生命現象のトレンドを 図表の「外挿法」で推定するのは間違いだ)。

声6: 86歳で延寿は停止 . . . これの説明は生物的な‘限界年齢に達した’とみるのが一番スッキリしている。

声7: 平均寿命の表を見ると、この60年間に 男女ともに20歳以上 延びている;あと50年で私が後期高齢者になる年頃には 86歳+50歳=136歳になるのだろうか? 係り:ならない ! 生物には( しゅ )特有の寿命上限があり、たとえば 犬が50歳という現象は決してナイ ! ヒトの上限は最大寿命として116歳があるが、正規分布の考えから 全部のヒトが最大寿命になることは決してない)。

声8: 寝たきりの寿命では長生きの意味はない ! (係り寝たきり10年で約5,000万円の社会経費が掛かる ―― 豊かな政府はそのお金を掛けるが、結局 納税者に振り返ってくる ―― そのぶん 若者の活動が鈍くなる)。

声9: 毎年 2.5兆円もの大金を介護に注ぎ込んでも、寿命は86歳で行き止まりだ、むなしいことだ ! (係り:人間の細胞には「ヘイフリックの分裂回数の限界」というのがあって、細胞分裂は一生の間 60回程度で終わる という ―― 個人差はあるが、ヒトで言えば それが86歳相当なのかも知れない ―― これに不満な人は中山伸弥先生にお願いして、iPS細胞で遺伝子レベルの変更を求めるか? ―― ひょっとして 200歳の酒呑童子( しゅてん どうじ )にしてもらえるかも)。

  参考:3) 安全管理 # 418 : 男女と後家楽(ごけらく)。

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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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