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(443) 細胞の寿命 と 介護方針

  (443)  細 胞 の 寿 命と 介 護 方 針

  どの場所の細胞か:ヒトの体に寿命があるように 個々の細胞にも寿命があり、その寿命の長さは体の部位によって著しく異なる。

♣ たとえば、免疫を司る「リンパ球」は 骨髄の中で生まれ、そのままヒトの傷口に運ばれ バイ菌と戦って使命を終える ―― その場合は 寿命が“1時間足らずで終わる。逆にウイルス性疾患(例:痘瘡)の抗体リンパ球の命は一生長持ちする。

意外と思えるのは「胃腸の腺 ( せん ) 細胞」だ。そもそも、我々の糞便はどんな成分であるか? まず水分が6割、仕事を終えた胃腸の腺細胞の死骸( しがい )が2割、大腸菌が1.5割、そして最後に食物残滓( ざんし )が0.5割である ―― 腸細胞の死骸が2割もあるんだって? 糞便とは“食べかす”ではなかったのか?

♣ 実は 腸細胞の寿命は たった“1日なのである ! 腸の腺細胞は細胞の中側に‘消化液’の小胞( 小さな袋 )を発達させ、食品が腸内に達すると 自分の細胞膜を壊して その小胞内の消化液を、腸管の中に流し込む ―― その際に その腸細胞は破壊され寿命が終わる ―― つまり一日ポッキリでご用は終わる のだ ―― それくらいに栄養物を消化・吸収するのは大労働なのだ――汗が汗腺から染み出るのとはわけが違うのだ。

♣ 次に血液の赤い部分( 赤血球 )は“120日”ほど仕事をすると、脾臓・肝臓で壊され ‘胆汁’となって腸に流れ込む ―― これが糞便の‘黄色’をもたらす。

♣ 高齢者でトラブルの基になる「」はどうか?骨は「破骨細胞」の働きで毎日壊され、「造骨細胞」の働きで毎日造られ、現状の姿を保っている。一つの骨が全部 新品の骨で入れ替わるのは およそ7年”かかる。女性の更年期以後では 造骨細胞の力が弱まり カルシウムが減り、「骨粗鬆症~骨折」に陥ることはお聞きの通りだ。

♣ これらに対して 「神経と筋肉」はまるで違った態度 を示す ―― この二つの細胞の寿命は“人の一生そのものなのだ―― つまり‘入れ替わる’ことなく一生働き続ける。ヒトの寿命は がんらい子孫繁殖が可能な限度(=更年期まで)に設定され、神経・筋肉は頑丈だから、入れ替えは不要だった近年ヒトの寿命が100歳を越えるようになると、神経細胞も入れ替わって欲しくなったが、残念、脳神経は生まれた時のままの骨董品( こっとひん )で我慢し、認知症と付き合う他はない

 一般の細胞: 人の全身の細胞数は「60兆個」と言われる。毎日 その1%(= 6千万個)は ご用済みとして壊され、ほぼ同じ数だけが補充される 1) 。この補充には遺伝子のコピー機能が関与するから100万回に一回程度のミスコピーは避けられず、毎日5千個の不良細胞( ガン )が発生するが、そのガン細胞は 体の免疫機能で個別に処理される。もし 酒や過労などの体調不良で たったの一匹のガン細胞が未処理だと、15年後には立派なガンに育って人生を混乱に陥れる――つまり細胞再生は頻回なほど望ましいとは限らず、‘危険’をも伴うのだ。

♣ さて一般に細胞の再生個数は 千個につき一個ずつ減る ―― 千個でスタートしても 加齢で再生を繰り返すうちに500個~それ以下にまで減る。だから歳をとると体が小さくなる。皮膚を見ると、若い頃の厚い皮膚がサランラップのように薄くなる。細胞再生はヘイフリックの原理により、60回程度で終わる から、入浴であまりアカをこすり取ると皮膚は 早く薄くなって出血しやすくなる。

脳細胞は成人後、毎日10万個ずつ減る と言われる ―― 歳をとりゃ「年寄りボケ」になるのは当然かもしれない。心臓の細胞は数が減ってくると細長くなって 収縮力を保つ ― ―緩んだゴム紐と同じで、形を長くして(心拡大して)拍動するが、能率はうんと落ちる。骨は薄くなって骨折する ―― こんなことは 寿命が延びた近年だからこそ 強調される人生50年の時代には無視されていた。

生命の目標:  38億年前、生命が誕生した時の‘今後方針’は ① 一つの命が何億年も長持ちする事、または ② 子孫を産み 命をバトンタッチして 生命を長持ちさせる事であった。現実の解決は ②‘子孫を産み続ける’ことになった ―― つまり、我々は一人が延々と生きるのではなく、子孫を介して永遠に生きる のである。だから人には「限定寿命」がある。私らは長く生きたいと思うが、以上の説明のように、限られた寿命で一生を全うし 残りの仕事は子孫に託す事こそ‘生命の目標’に叶うことと悟る のである。

結論: 2,500年前の お釈迦様 は “科学をご存知なかった”ので「諸行無常」とおっしゃったが、そんな“すねた悟り”は老人にとって 無用だろう。老人は子孫継承の義務を完了された‘功労者’なのであり、老人介護の方針とは‘ムリな延寿’を求めることでは さらさらない生命循環’の幸せに関与した彼らの喜びを 素直にねぎらうこと こそ本命ではないだろうか?

参考1) 中川恵一:がんのひみつ、学士会会報 No880 p106~118, 2010. 

職員の声

 声1: 神経と筋肉細胞」は一生 細胞分裂せず 長持ちだ;天然の寿命がそこに表現される(係り:もし大脳細胞が分裂・繁殖して補充されれば 認知症も治るかも知れない ―― だが、現実に反するタワゴトを望んでも始まらない)。

声2: ますます 延命ケアに花咲く昨今だが、あまりエゴに走らず、次世代に何が残せるかを反省しよう(係り:延命には多大な経費がかかるが、その割に 統計的な平均寿命は86歳止まり に過ぎない2) )。

声3: 腸細胞の寿命がタッタ一日、その死骸が糞便の成分の2割を占める;食物残滓は 糞便のわずか0.5割に過ぎない など ―― 学校で習わなかった「驚きの連続」の講義だった ―― 私の脳への刺激となった(係り:なんとなく我が体は不変と思うけれど、各細胞の新陳代謝は ビックリするほど素早く きっちりと あなたの命を紡いで( つむいで ) いる。

声4: ガンは不衛生による 最初の一匹が 体内で15年も潜伏・増殖して 初めて症状が出る、とは知らなかった(係り:細胞交代時の遺伝子ミスコピーは100万回に一回であっても、酒・タバコのリスクが ガン・子孫に与える影響を考えると、怖いことだ)。

声5: 免疫は加齢とともに減るのか?皮膚再生を早くする方法はないのか?(係り: 自然免疫は遺伝子の働きにより更年期までは保護される、それ以後は遺伝子の出番は少ない;皮膚の再生はヘイフリックの法則により 一生60回 程度;つまり、回数券と同じで、早く使えば早く終わる)。

声6: 老人は 子孫継承義務 の 功労者 と聞いたが、その老人は増えるばかりなのに、ナゼ子供は減っていくのか? 係り:老人は 昔 子を沢山 産んだ;今 子を産む人口は若い世代であるが、子を産み育てる苦労を避け 日々の楽な生活が許される時代になって、子細り になった ―― 老人は楽して長生きし、若者も子細りで楽をするーーこれは 誰も責められない 現代の風潮で、 我らが求める「天国」とは この状態を言う のではないか?)。

声7: “年寄りボケ”がすなおに家族内で受け入れられていた昭和の時代」が 老人にとって一番幸せな時代だったと思う ―― 現在の“老人薬や介護用品のオンパレード”が老人を幸せにしているのだろうか?(係り:薬や介護用品などは老人の寿命を少し延ばすが、 ‘幸せ’は全く違う次元の「気持ち」の問題だ ―― 寿命が延びて‘幸せ’と述べる老人は ほとんど いない ―― 認知症に陥り 感謝の念を失う からだろう)。

声8: 脳があるから人はボケる;屋久杉のように脳が無ければ何千年も生きられる;学者は脳を省いて人が長生きできる研究をしないのか?(係り:原初、生命は ‘植物プランクトン’であった ―― その後動物プランクトン’が現れ、植物プランクトンを食べて繁栄・進化して大脳を持つヒトになった ―― もし‘脳が無い’人であれば、長生きする前に 他の動物に食べられてしまうよ)。

声9: 細胞にも個々の寿命があると学んだ;今 百歳寿が5万人を越えるが、細胞寿命が延びたからなのか?係り:50年前 百歳寿は100人だったから、50年たった今 500倍に増えた のだ ! 総人口は変わらないから、この間に 介護方針が天地逆転 し、閻魔様( えんまさま )を欺く( あざむく )異変が起こったのだ ! ―― それは‘豊かさ’に裏打ちされた“逆転文明”なのであろう)。

  参考: 2) 安全管理 # 442 : 認知症の増大に歯止め?
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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