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(444) 美しい順番

 (444) 美 し い 順 番

 “美しい老人”を描写したものに ゲーテの死がある:ドイツの文豪 ゲーテはおよそ200年前 82歳で没した;有名な臨終の言葉は ベットに横たわりながら発した「もっと光を . . . 」とされる。この風景は 彼の死の直前の有様を想像させ、誠に美しい

美しさは性・年齢に係わらないハズだが、私らには社会の習慣という因縁も深く、死を間近に控えた人々の美しさを見ることもしばしばである。

♣ 今から101年前、巨大豪華客船 タイタニック号’がイギリス → アメリカへの処女航海の途中、大西洋の真ん中で沈没した。原因は 氷山との衝突で、さすがの4万6千トン・世界一の巨船も わずか2時間で海の藻屑となってしまった。死者が多かったのは‘救命ボート’の活用法にあった。係り員は 救助の順番を ピストルで構えて ‘優先的に’一等船客の「女と子供」だけ に絞ったが、ボートの数は足らず、1500名あまりの客は マイナス2℃の海水の中に投げ出され 水死した。

♣ そんな状況の中で 自分の順番となる ‘美しい死’を覚悟できたのだろうか? 不思議なことに、乗船のオーケストラ楽団は 部署に就いて最後まで音楽を演奏し、人々の心の混乱を優しくなだめた、という。死が訪れる順番の前に‘美しさ’を求める優美な心が そこにあったことは否めない。

♣ 第二次世界大戦時代の英国首相を務めた ウインストン・チャーチル はこんな逸話を残している ―― 彼は仕事で船旅をすることになったが、あろうことかその予約を 七つの海を支配したイギリスの船でなく、イタリアの客船に求めたのだ。不思議に思った下士官は当然 ナゼ?と質問する。その時のチャーチルの答え がふるっていた:「第一にイタリア船は‘料理がうまい’、次に 万一事故に見舞われたとき、‘女・子供を優先して避難させる習慣のイギリス船は 僕の趣味に合わないナ’」。つまりチャーチルはタイタニック号の避難方法を知っていて、自分が初めから順番洩れ になるような仕組みを避け、紳士としての建前と、危険防止の本音とをしっかり区別したのであった。

♣ 三つ目の話はちょうど2年前の2012年、今度は3倍も大きい客船・コスタ コンコルディア号 がイタリア海岸で沈没した件だ。乗客4千人余の中で死者はわずか29人;タイタニック号に比べ 桁違いに少ない被害であったが、あろうことか この船の船長は早々と船を見捨て、安全な陸地に逃げてしまった

♣ また、半月前(2014.4.16)韓国の 貨客船セヲル号 が近海で沈没 したが、またもや船長は早々と逃げ300名を越す高校2年生が客室に閉じ込められ水死した ―― それがイタリアと韓国の風習だったのだ。まさにイギリス魂とイタリア・韓国魂の標本のような逸話である。

♣ でも疑問は残る:イギリス船はナゼ’女・子供’を優先して助ける習慣だったのか? それはカッコ良い‘紳士’のキップ から来たのだろうか? つまり、美しく死ぬか、カッコ悪くても助かるか ―― ‘武士道’みたいな この順番を 君はどっちにする?

♣ ところが、最近の社会事情の中では、女子供より先に来るのが ‘老人’である。老い先が短い老人だから優先して助ける、これはカッコ良い順番だ ―― しかし、老人より子供を優先するのが社会の発展のために当然だ;この答えにも理がある。

美しい順番は「理屈」だけでは解決できない、と私は思う。「お年寄りを大切にしましょう」は日本人の心に沁み込んでいる。だが現実を見ると、優先したいものは、乳幼児から お年寄りまでの全部であり、老人を機械的に最優先順位にすべき、とにわかに 言えるだろうか?

「美しい順番」は 判断する人の心によって異なる。普段から仲間や上司と良い会話をしながら、 “タイタニック・ チャーチル・ コンコルディア・ セヲル” 四例を耳に残して考えては いかがだろうか?

結論: 美しさは「死」に遭遇するとき、心の前面に躍り出てくる。介護における延命処置の順番を含め、先輩たちが どんな判断と行動をとったか を参考にし、私は自分たちの「美しい順番」を工夫したい ものだと思う。

職員の声

声1: セヲル号事件で、もし日本の船長さんだったら「美しい順番」で対応してくれただろうか?(係り:100年前の日露戦争の時、海軍・広瀬中佐は部下・杉野をボートに救出するとき 敵弾に倒れた ―― その後、広瀬は軍神として讃えられた)。

声2: 美しいのは結構だが、死んでしまうのは困る係り:業務遂行で“美しく死ぬ”のか、セヲル号船長のように“汚く生きるのか”―― ここで ローマ法王のコメント が発せられた ――― “の事件により韓国人が倫理的に生まれ変わることを望む”とーーhe hoped the South Korean people take the Seoul tragedy as an occasion for moral and spiritual rebirth.  。

声3: 私の順番判断なら ―― 赤ちゃん・子供・その保護者・青年層の順だ ―― 老人よりも次の世代を担う人々を優先する。

声4: 私も優先順位の第一位は「子を産み働く若者」であり、次に子供、最後が老人だと考える:順番は「医療」についても同じ である(係り:若い皆さん方の意見が ‘四角四面’( しかくしめん ) の老人優先でないことに‘係り’は驚いた ! )。

声5: もし施設で厄災が発生した時、自分の身を省みず救護に当たれるか、を自身に問う(係り:セヲル号では、船長は制服を脱ぎ捨て、パンツ一枚の一般客に変身して助けてもらった ―― 極めて悪質な行為であり、これは便衣( べんい )と言って 支那由来の悪習で、死刑を科せられる)。

声6: 川で溺れた親と子があれば、昔は‘親を助けよ’と教わった:その理由は、子ならまた授かるが、親は二度と戻らないから、であった ―― 私は自分が歳をとったら 「若い人を優先して下さい」と言える人間になりたい係り:皆さんは老人介護を職としているが、命の順番に関しては‘しっかりしたご自分の意見’をお持ちだ ! )。

声7: 事故での救済順は「トリアージュ」が有名だ:黒印は死亡(= 助けない)、赤印は最適の救助対象者、黄印は二番目、青印は自力で救助所へ(係り:老人介護で、胃瘻をつけたがる家族は何色をイメージするのか?)。

声8: 2011.3.11の津波厄災の時にも、避難誘導してご自身は命を落とした方々があった ―― 使命感に燃え 多くの人の命を救った方々は偉いと思う。

声9: 死が間近かな老人の希望を聞き届けること一番美しい と思う係り:高齢者は滅多に「延寿」を求めず、「幸せ」を求める:家族は「幸せ」を「延寿」と翻訳して 際限のない医療を求める ―― この循環で 周囲の人の心は消耗 し、国庫は疲弊 ( ひへい )する)。

係り:この問題で職員の意見は およそ次の割合であった: 8割=次世代層を優先する数名=逡巡( しゅんじゅん ) する一人=老人を優先する。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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