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(467) 健康寿命 と は ?

 (467) 健 康 寿 命 と は ?

健康」には色々な考え方があるだろうが、ここでは 「心身に支障なく 日常生活がこなせる状態」 といえば良いだろう。

♣ そこで 「年齢と寿命」 について確認しておく。「年齢」 とは出生時から現在までの年月を示し、「寿命」 とは生命の存続時間を表す。たとえば、ナポレオンが もし生存していたとすれば、年齢は 245歳 であろうが、彼の寿命は 51歳 であった、などと言える。つまり 、 「寿命」 は‘死’と共に確定される ものであり、ここで考える健康寿命」 も 人が死ななきゃ確定できない。では、世に流布( るふ )している健康寿命 (図-1) とは何を意味するのか?どのようにして 誰が決めているのか?
平均寿命 vs 健康寿命

平均寿命なら分かりやすい。死亡診断書を基にして日本人の死亡時年齢の平均値を求めればよく、その作業は‘厚労省’がする。

♣ でも健康寿命に関しては、個人の‘健康と その期間’を、誰がどのようにして調査するのか?ここで健康寿命の定義を再確認すると:―― 平均寿命のうち、健康で活動的に暮らせる期間 を指し、WHO(世界保健機関)が提唱した指標で、平均寿命から、衰弱・病気・痴呆など による 介護期間を差し引いたもの、とある。概念としては 大変結構だが、毎年120万人の死亡者について、死亡診断書の内容を越える個人別の過去の健康状況を調査するのは ほとんど不可能 である。私が調べた限りでは次のような ‘簡便法’で 混乱が防がれているようだ。

♣ Wikipediaによると、健康寿命 とは“日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間”のことであり、つまり、平均寿命から介護期間(自立した生活ができない)を引いた数が健康寿命になる、という。ただし、‘介護期間’とは 何だろう? 要支援を含む介護保険を少しでも利用したら それは介護期間に算入されるのだろうか?要支援 1 ~要介護 5 の区別 をどうつけるかの問題が提起される。

♣ また他に健康寿命を算定するプログラムも利用されるようであり、「全国ならびに都道府県別の基礎資料」を入力することによって算出されるが、こちらのほうは‘素人’がすぐに納得できるような代物ではない

♣ さらに 結果の相違の混乱がある。たとえば、2004年のWHO保健レポートは、日本人の健康寿命は男72.3歳、女77.7歳と発表したが、厚労省は、2010年、健康寿命は男70.42歳、女73.62歳であると2012年6月に発表した。数値がかなり異なっているのは、WHOとは健康寿命の定義の違いによる、と但し書きがある。上の図で、女の健康寿命は 厚労省で73.62年、WHOで77.7年;つまり 厚労省の値は 4.08 年も小さく、あまりにも違い過ぎる。

♣ もし厚労省データを健康寿命として受け入れれば ―― 多くの発表者はこの資料を用いている ―― 女の世界最長の平均寿命 86歳 のうち 介護寿命が13年の長き に及ぶのか?と批判される ―― つまり 女の長寿は介護保険のおかげか? という訳だ。今 日本では “健康寿命を延し、介護寿命を減す”運動 が始まっている が、このためには、健康寿命の正しい算定が必要となる。

♣ しかし 考え直してみれば、50年前まで 我々の先祖には‘介護寿命’なんてものはなかった から、以後 増えた寿命はもっぱら ’介護寿命’ だったのか?と疑われる。しかも、せっかく延びた その介護寿命を減らしたいという機運であれば、また 元の黙阿弥、昔の健康寿命だけの人生に戻ることになりかが、果たして それで満足か?

♣ ところが、国際比較をすると、日本は“健康寿命”の点においても「世界一」 であった(表2)。つまり、我々は これからも介護寿命の一部を健康寿命に転じる工夫を続けなければならない。

健康寿命 国際比較

♣ そこで、私たちは「パールライフ」という名称の“無料デイサービス”を開始した(2014.8.1)。介護保険に該当しない軽症の高齢者で、‘自分の居場所’が見つからず 自宅で鬱々( うつうつ )とした生活を送っている方々の「会話・趣味・体操などの 居場所提供の‘つどい’」である。保険制度に依存せず、息を吹き返すような「健康寿命の延長」を視野に入れ 活動を頑張っている。

結論: ① 健康寿命の概念は大事であるが、その算出方法に 幾つかの問題点があることを述べた。② 健康寿命の定義に拘わらず、政府管轄の介護期間を短くすること新時代の目標であることが理解され、私たちは 老人の‘自分の居場所探し’に役立つ 新しいサービスを実現し始めた。これが ’健康寿命の延長’ に役立つ 第一歩 となることを期待する。

参考:  平成24年度厚生労働科学研究費補助金による研究。

職員の声

声1: 介護保険は 「要支援 1 から 要介 5 」 まで 7種類 あるが、介護保険を使っていても、‘社会となんらかの関わり’ を保つことができれば それは健康寿命の内だと思う(係り: 要介護 2 前後で徘徊がよく見られるが、徘徊以後の重症は 「介護寿命」 だろう)。

声2: 何をもって 健康と介護とを分けるのか?これは 「幸福と不幸」 を分ける調査のようなものではないか? 図 1 が示す意図は何か?(係り: この図は ‘棒グラフ’ で平均寿命の長さと、その隣に 健康寿命+介護寿命 を示している ―― つまり健康寿命を増やせば 自動的に 介護寿命が減らせる関係なのだ、ということが直感的に分かる; 平均寿命の延長 単なる長生き ) だけではダメだ、と理解できる)。

声3: 平均寿命と健康寿命の ‘差’ が介護寿命である、とは皮肉なことだ; なるほど介護寿命にはお金が掛かるが、それは ‘命を大事にしている証拠’ ではないのか?(係り: その通り; しかし もし介護が優れていれば、 ’寝たきり’ 要介護 5 で 20年 を越える延命も可能だが、それは公費 1億円 以上を必要とする ―― cost & benefit を真面目に考えてみて欲しい)。

声4: 人間、歳と病気で外に出られなくなれば 心身ともに衰弱する ―― 健康寿命は アット いうまに 介護寿命に転じてしまう(係り: 歴史的には 大戦終了まで、人類は更年期過ぎに この世を去ったものだ; 人類の歴史は健康寿命だけの歴史でもあった ―― 転じ先の介護寿命がある現在は 特別に贅沢な時代である)。

声5: 年齢に拘らず、医療・介護費用を無駄に使わない老人なら 「健康寿命である」 と言えるか?(係り: Yes, yes ! …… そもそも介護寿命なんて言葉は 10年前 にはなかった …… 国民がお金を出すから 老人は長生き するようになり、それが 「介護寿命」 と呼ばれるようになった)。

声6: 非感情的に言えば、健康寿命とは 「延命に関してお金が掛からない状態」 と定義してよいだろう ―― ‘高齢’ であっても 余分なお金が掛からないこと、これが健康寿命ではないか(係り: その通りだ …… もしそうなら、社会保障費は削減されるし 本人は元気だし、国も個人も一挙両得だ。しかし、現実には 人は寿命が尽きる前に、昔はお金を掛けられず短命 ~~ 今は裕福になった国情ゆえに お金を ドッサリ かけて延命する国是となった ―― その結果 介護寿命という概念が発生、問題の徒食老人が激増した)。

声7: 徒食、とは失礼な言葉ではないか?(係り: 戦前、老人の数は少なく 家庭で大事にされた ―― 今 老人は人口の 25% 、やがて 45% まで増えて行き、その大部分は社会貢献をせず徒食 )、国民 税金が養っている現実を観察して欲しい ! )。

声8: 歳をとっても ‘自分の居場所’ を見つけて 人の役に立つことが本人の生き甲斐に繋がると思う(係り: 私どもは、「パール・ライフ」 という 介護保険を使わない 無料の ‘心身デイサービス’ を 8月 からスタートした。その目的は、元気なのに行き場の乏しい老人たちに 「居場所」 を提供し、 悶々として家で朽ちて行くのを防ぐことであり、もって健康寿命が延長されることを目指す、将来型の ‘心身デイサービス’ である。地域の支援とボランティア活動によって継続支援が可能な基礎を確立した)。

声9: 何歳までが 「健康」 で、何歳から 「介護寿命」 になったかの区分けは確かに難しい;その人を観察して対応を決めるのか? (係り: 私たちはまず老人からスタートしたが、先行き 「赤ちゃん・子供と大人・障害者」 にまで対象を広げて行く予定である ―― 健康寿命は何も老人だけのものではないからだ。


プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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