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(477) 人間 の 長寿願望

(477) 人間 の 長寿願望

人の長寿願望は 昔も今も ちっとも変わっていない。これは 人が 知恵と希望を持つ動物だからだろうか?

ヒト以外の生命は、動植物を問わず、一般に 生まれたからには成長し、子孫を残した後 若い後輩に交代して 本人自身は惜しげもなく逝ってしまう。逝くことは 怖くはないのか?親は “もっと長生きせ ! ” と教えないのか? 本人自身だって もっと生存していたいと思う本能は持ってないのか? 悶々として 逝くことを拒むのは ヒトだけか?

認知症のお年寄りを観察していると、全部の人に共通する特質は「時の概念の喪失」である ―― つまり、“近過去を忘れ 明日のことを心配しない” 。‘明日 死ぬかもしれない、死ぬなんて嫌だ ! ’ と不安をもらす 認知症の人は まずいない。まともな人にとってみれば それは了解不能であり、並みの人は 昔から 死ぬのはイヤだったし、長生きしたかったし、あるいは “長生きした人” にあこがれ 尊敬の念を持った。

♣ 日本の例を挙げよう。年々選手が変わるが、現在の最長寿者は 「大川ミサヲ」 さんの116歳女性がトップである。過去の選手たちも 118歳 を越えることはなかった ―― ささやかなものだ ! 

人間の長寿願望

♣ 歴史的にはどうか? それは 「武内宿禰たけのうちの すくねで 360歳 であった、と伝えられる ( 図1 )。氏は 第12代 の景行天皇の皇子で 若い頃の名前は 「日本武尊やまとたける ―― 天皇家の 「三種の神器」 のうち “草薙( くさなぎ )の剣” で勇猛をはせた皇子で、“古事記” 時代の武人であった。でも、いかに神話であろうとも、360歳 という年齢は 頂き兼ねる ―― これは人々の長寿願望を一身に浴びた誇張なのであろう。図1 は 私が子供の頃に通用していた 「一円札」 であるが、写真を見ても、この ‘禿げていない方’ が 360歳 だとは とても思えない。せいぜい 70歳 か?

♣人類発祥の頃の古代なら 人はどれくらい長寿になれたのだろうか? その例をユダヤの “天地創造” の頃に遡ってみよう (次ページ 図2 )。神は最初の人類として、土人形でこしらえたアダムに命を与えた ―― アダムは 930歳 ほど生きていた。子孫も みな 900歳 前後を生き、第10代 のノア ( ノアの方舟で有名 ) は 950歳 である。ずっと代が下って、アブラハムの頃になると 200歳 前後になった。しかし まあ、何と長寿だったのだろう ! ただ驚くしかない。でも、私らは 「武内宿禰」 の 360歳 だって 眉唾もの だと思っているのに、930歳 の長寿を ‘飲み込む’ ことはできない。 ‘武内 も アダム’ も宗教的な長寿願望 なのであって、真実ではなかろう ―― しかし、長寿願望は あちらでは 930歳 、日本で 360歳 、―― あちらの方が 3倍 も ‘血なまぐさい’ のではないかと思われるが、どうだろうか?

♣ さて、年齢の数字を挙げるだけなら 誰にでも作文は可能だ。実際には 300歳 や 900歳 の年齢に伴う身体状況をキチンと叙述して貰わなければ 以上のお話は信じがたい。そこで “並みのヒトは加齢とともに どんな身体的特徴を示すのか” を 当たってみよう ―― ここでは 「目」 で見て分かる 主なものだけを挙げる ―― それも人間の 100歳 程度の知識だけで類推するのみだ。

♣ まず、五感を司どる感覚器はどうか?は 40歳 を越えると “老眼・白内障” が始まり、匂いは 50歳 でバカになる。は 60歳 越えで高音性難聴と言って 6000サイクル の音から聞こえにくくなり、覚は 70歳 で怪しくなる。第5番目 の ’皮膚知覚’ は もちろん歳とともに鈍くなり 小さな皮膚の傷は数知れない。つまり、人間の感覚器は ‘50歳 (更年期)用’ にできているのだ。

の毛はどうか?男は 60歳 で 早々と禿げ上がり、以後 無残にも ボーズ になる。女 20歳 の豊かな黒髪は 50歳 で半減、老齢でテラテラの地肌が透けて見えるようになる。の数は哀れの極みだ: 85歳 で 半数 の人が ‘歯無し’ になり、90歳 で ‘総入れ歯’ を求めると、やせ衰えた 「ドテ」 (歯肉) のゆえに、せっかくこしらえた ‘入れ歯’ が 口の中で逃げ歩く

人間の長寿願望

♣ 歳をとれば 独特な ‘年寄り歩行’ ; 原因は “膝関節の軟骨” が 長期使用で損耗・消失し 骨が痛むから。女性の骨は 60歳 を越えるとスカスカになり (骨粗鬆症) 、転倒骨折の話題は ない日がない。

♣ そして、長寿の極め付きは 「年寄りボケ ! 」 だ  ; 認知症は、85歳 で人口の半数が、100歳 で 8割 が、110歳 で全員が掛かる “脳の老衰病” である。その主原因は 「超老化」 、つまり 「長生きし過ぎ た事」 だ。 「武内宿禰 や アダム」 は 現代人の何倍も生きて、 禿げ・歯無しで認知症 にならなかったのだろうか? 日本の戦前は “人生50年” の時代だったから認知症は極めて稀 (まれ) ;今の女性は平均年齢が 86歳 だから、死亡時には “半数が認知症” の可能性がある ―― つまり現代人は 遺伝子が保護する更年期寿命=50歳 の 2倍も生きた ため ここまで 「体が」 酷使・消耗されてきたのだ。

♣ 私らは ほぼ誰もが 「長寿願望」 であり、それに沿って、医療も介護も、みな平等に、ヒトが 肉体的に廃人になってさえ、生活援助を惜しまない。でも考え直してみれば、ヒトの知恵と願望は “浅はか ! ” なのではないだろうか? 太古の大昔のように、 「 神話の長寿」 を夢見るだけの時代のほうが 幸せな最期を迎えることができたのかも知れないね。 

結論: ① 古代の人物は 現代より何倍も長生きしたという記録がある。② 100歳 の現代人が示す “目で見て分かる” 「身体的特徴」 を列記してみたが、人間は 一世紀も暮らせば クラゲのよう に 地上生活が不適当な生命と化す。③ つまり、人間の長寿願望は 心理としては尊いが、たった100歳そこらの生存だけで ‘体’はヨレヨレに 老化仮に長寿が許されても それを受け止める ’受け皿の体’ が役に立たなくなるのが実情である。昔、「人生50年」 と言われて来たのは まったく 含蓄 ( がんちく ) 深い言葉であることだ ! 

職員の声

声1: 不老不死の薬を求めるなど 人の欲望はキリがないが、実際に役立つ事は 85歳 までの人生を充実させること だと思う(係り: ノ ーベル科学賞を受賞した人たちの基本アイディアは 35歳 以前に得られたものだと言われる;知能の発達は 35歳 まで、社会性の発達は 50歳 まで;後は老獪 { ろうかい }だけのようだ)。

声2: 遺伝子が保護する更年期までの寿命 50年 を その2倍 も生きたら 体はヨレヨレになり、運良く寿命に恵まれても それを受け止められる体ではなくなるのか?(係り: それは真実だ ! 100歳 になっても 50歳 の元気な体があるのなら 恵まれた長寿を有効に受け止められる ーー日野原 重明 先生のように)。

声3: 老化現象は避けようがない ―― 大事なことは “今の自分の状況を理解し受け入れること” であろう(係り: “年寄り” という存在は、否定されない限り認知症なのだ、と見る目を養うべき だ ―― 認知症だからこそ 自分自身を理解しないし、訳も分からず長生きしたがる)。

声4: 85歳 人口の半分は認知症であるとは驚きだ;それでも長生きしたい、と思うのだろうか?(係り: 死にたい、という人は稀 ( まれ ) 、多くは延々と生き続ける; ボケた長生きは価値のない人生だ、なんて言えない)。

声5: どんなに長寿でも 「介護寿命」 が長いのでは何にもならない ―― 私は健康寿命のまま ポックリ逝きたい係り: それは あなたの願望であるが、現実の日本女性は 「13年 もの長い介護寿命」を通過した 後、やっと死ねる、と統計は述べている ーー ある意味で、介護は税金泥棒 ! )

声6: 日本の長命の夢は 300歳 、ユダヤでは 900歳 、日本の夢は謙虚だ ! 確かに 夢見る時代の方が幸せだったかも。

声7: 寝たきりの長生きなんて 肩身の狭い長生き ではないか ! (係り: 本文の 第2図 を見ると、アダムは ひ孫の ひ孫の ひ孫の 第7代 下の子孫の時代まで生きていた ! 忙しくて 肩身の “広い” 930年 だったようだ)。

声8: いま傍にいる友人が ひょっとして 何百歳 だとしたら、生活費はどこから来たの? 係り: よくぞ おっしゃった生活費 !! 長寿を願望するだけなら ‘無料’ だが、百年 生きるための経費は: 20万円 × 12ヶ月 × 100年 = 2億 4千万円也 ――400年 なら 10億円 ! お宮参りだって 「お賽銭」 を払うのは本人 だけれど、この 10億円 は本人が払うんだよね? ―― 長生きには 大金がかかる ことを みんな 無視 しすぎている んだよ !!! )。

声9: 私は50歳を越えたが、まだ 人生の‘達成感’を得ていない;死ぬ前に、“あー、楽しかった ! ”と言えるようになりたいと思う(係り: 人生、50歳でも 100歳でも、済んでしまえば‘短かかった ! ’と感じる ものだ ―― 歳 相応に 体も頭もホケてくるからこそ 諦めがつくのだろうなー)。

  参考: *  新谷冨士雄・弘子: 健康寿命とは?、福祉における安全管理 #467: 2014.
 


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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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