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(475) 改訂 六つの 「べからず」

(475)   改訂 六っ の「べ か ら ず」
  
先週の “ヒヤリハット・レポート” から一例 を示す: 「私は K.M.さん(96F) を 夜間 トイレ付き添い をしていた時、外部で人声とアラーム音が鳴ったので、座を外して それに対応した ―― それは不眠の訴えだった。 3分後 に戻ってみると K.M.さん は 立ち上がって便器の傍に転倒、強い痛みを訴えていた。病院へ救急搬送で “大腿骨骨頭骨折” だと判明した」。 → トイレ内の介護中には 絶対に外部対応に気を取られてはならないのに、下記の 「べからず ④ 」 を繰り返してしまった。これは初心者で 第一に学ぶべき大原則である。

♣ 今日の安全管理は、私たちが 場で学んだ六つの 「べからず」 (してはいけない) を述べる。そのあと、皆さんがたに類似の教訓の有無をお訊ねする。おそらく、部署ごとで語られた教訓は いっぱいある と思う。その教訓を 門外不出 にせず、集めて、みんなの教訓にしてみたいと考える。

♣  急がずべからず : 午前4時、警報が鳴る → 毎度のことながら 居室に行ってみたら、今回は Pートイレ前でもう M.A.さん (98F) がベットの傍に倒れていた → 大腿骨骨頭骨折; 病院で手術 ---- 今まで何度も転倒されていた方だったが、今回が 「万年目の亀」 となってしまった。

♣  後ろから声を掛けるべからず: 後ろから名前を呼んで声を掛けたら、O.T.さん(84F) は、振り向きざま ゆらりと転倒、左上腕骨折; 病院で手術 ---- お年寄りの三半規管の機能 (平衡感覚) は落ちているのだ。
改訂 六つの「べからず」
♣  まさか!と油断すべからず: デイサービスの朝、流れ作業で送迎バスから玄関へ人の流れがある; お一人の M.T.さん (90F) が玄関のマットの縁 につまずいて転倒、救急で病院の診察により 鎖骨に変化; 骨折ではなく 「挫傷」 、ほっと胸をなでおろす ---- 畳の 「縁」 に足を取られて転倒する老人は よく知られている → 対策: パールの玄関のマットは 4分の1 の大きさに縮小して、置き場所は中央から横のほうへ はずした。

♣  外で呼ばれても、持ち場を離れるべからず: S.Y.さん(88F) のトイレ介助中遠くから呼び声がする; 氏に 「動かないでね!」 と念押しして、その声のほうに行き、対応をすませ、もとのトイレに戻ったら、氏はその場から移動していて、しかも 転倒 ・ 骨折。 考えてみれば、認知症に 「念押し」 しても、それは無意味だったのだ!

♣  押し問答すべからず: D.Y.さん(79F) のトイレ介助氏は私の同室を拒否、危険を感じたものの、やむなく氏を一人にして、トイレの扉を閉めたところ、氏は中で転倒、骨折 私は責任を問われてしまう( → 本人の意思を尊重したら事故になった、どうすればいいのだろう?)。

日頃「杖歩行」でも、安心すべからず: デイ・サービスが終わり、腰掛けて帰宅順番を待っているとき、A.K.さん (94F) は急に立ち上がり、杖歩行を始めて 8m 行ったところで、杖を足にからませ転倒・骨折 。ご家族は 施設内での骨折であることを理由に 許して下さらず、医療費の全額支払い を求めた。  ① ~ ⑥ は みんな 高齢の女性 !!

♣ 事故への対応 (A) 早く上司へ相談、救急車連絡も考慮、 (B) 家族やキーパーソンへ連絡、 (C) 次のべからず も非常に大事 ! ➡ 家族への報告は、事故の事実を伝えるだけ余分な状況判断を付け加えてはいけない。個人の判断で善意を伝えても、間違っているかも知れず、まして想像上の状況説明は絶対 言ってはならない ―― 後々、裁判沙汰になると 苦境に立たされてしまう。

♣ 参考までに、パールの特養での骨折の現状を述べる。入居者総数は 50名 ( 男6名、 女44名、年齢平均 88歳 )で、大腿骨の骨頭骨折は 入居者の半数近くの 44% (22例) に及んでいた。うち、2 / 3 (14例) は入所前の骨折、残りが入所後の骨折であった。全例が女性で 右骨折と左骨折は同数の 8例 ずつで 左右は 等頻度、両側の骨折は 6例 。問題は骨折の年齢分布であり、70代 = 18%(4例) 、80代 = 23% (5例) 、90代 = 59% (13例) のように 高齢であるほど骨折が多かった

♣ “90代の過半数は骨折しており、さらに 両側骨折は すべて 90代 ” という大変に怖い実情であった。つまり、“女性は高齢になるにつれ まずは骨折する運命にある” という覚悟で介護に当たらねばならないのである。それだけに 「六っの “べからず” 」 という教訓は “介護の金言” とも言えるだろう。

♣ 人間は ‘元気で長生き’ を願うけれど、三つの現実を眺めて見ると: ―― 五感(臭・聴・視・味・触)は毎年衰え、当てにならなくなる; 認知症は 85歳 で人口の半数が罹患し、100歳 で 8割 に達する; は毎年薄くなり 90歳代 では 半数がキビガラになる。これら ① ② ③ の対策は ほとんど不可能であるのに、人は 100歳 に、120歳 になる日を夢見る。

結論: ① 骨折が起こりやすい ‘ 六っの状況’ を叙述し、“油断すべからず” と注意を再度 喚起した。② 女性は高齢になるにつれ まずは ‘骨折する運命にある’ という現実を認識した上で 介護に当たるべきであろう。

職員の声

声1: お話を聞いていてゾッとしたのは ③: まさかと油断すべからず、④: 持ち場を離れるべからず ―― 業務に馴れてくると ③ ④ は盲点になる . . . 自分の仕事が再認識できた(係り: 新米の自動車運転への注意と全く同じだね)。

声2: 言われてみると、私は知らず知らずに ‘べからず’ を犯して来た; 特に高齢女性の骨の特性にはかなわない(係り: 90歳代 女性の骨折の特徴が 「大腿骨の左も右も折れた人が多いことだ」 と聞けば、長寿希望の 110歳 ・ 120歳 の暁( あかつき )達成後には いったい どうなることか、と他人事ながら不安である)。

声3: 玄関や廊下を歩くお年寄りに 私は決してお声を掛けない ―― ご挨拶は お席に着かれた後にする(係り: 大先輩のお言葉を若い新人たちは しっかり、学んでいる)。

声4: 自分がトイレ介助をしている時、もし誰かが外で転倒した音が聞こえても 私は持ち場から離れてはいけないのか?係り: 持ち場を離れてはいけない ―― なぜなら、トイレ内の事はあなたの一次責任であり、仮に外で骨折が発生しても それはあなたの責任外だからである ―― 訴訟 を念頭に置いて ご自分自身を守りなさい)。

声5: 転倒に始まり 寝たきりに至る負のスパイラル」 、 ‘六つのべからず’ は 新人・旧人ともに心すべしだ係り: 自分の勤務領域で骨折が発生すると、その傍にいた人に まず責任の目が向けられ、板挟みの説明に苦労するものだ . . . 普段から ご利用者と家族に 「転倒・骨折の教育」 をよくしておくこと)。

声6: 馴れや‘うっかり’で 「べからず」 の気持ちが薄らいでいた自分に 喝を入れ、今回の ‘六つのべからず’ をしっかりと体に刻み込んだ。

声7: 同じ失敗を繰り返さないように、全職員が ヒヤリハット・レポート の内容を頭に入れるべきだ(係り: パールでは 毎週 これを行っている . . . しかし 滑落 ・ 転倒・ 骨折 ・ 誤嚥 は ‘使いすぎたタイヤのパンク’ と同じで、いくらレポートがあっても ゼロになる日は来ない ―― 人は日々 古くなって行き、 タイヤと違い 新品に入れ替えられる日は 決して来ない ! )。

声8: 今では 私は ご利用者に手が届く範囲、身構え ができる姿勢で対応する習慣をつけた(係り: 立派 ! それでこそ ベテラン選手である)。

声9: 新人の皆さん、明日は我が身だ、 来年には 新しい新人に ご自分の経験を教えてあげて下さい。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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