(44) ノーブレス・オブリージュ

(44) ノーブレス・オブリージュ

  ノーブレス・オブリージュ (Noblesse oblige) はフランスの諺(ことわざ)で、「貴い人の社会的責務」という意味です。日本語に翻訳しても、意味が判然としないので、カタカナのままで使うことが多いです。この場合の「貴い」とは、王様・神父様・大臣などのこともありますが、一般の人々でも「先の見通しのわかる心優しい人」でもあるのです。その具体的意味は、「ふだんはのんびりと優雅な生活を送っていても、いざ「ここぞ!」という異変が起こった場合(震災・火事・怪我などの社会的問題に面して)、身を挺し 率先して対応、弱い立場の人を守る」という姿勢です。

♣ ヨーロッパでは、軍隊の先頭に立って戦い死ぬのは、まず指揮官の貴族、また戦いで怪我を負って苦しんでいる兵士を助けるのはナイチンゲール、などの風習があります。欧米社会ではキリスト教の影響からだと思われますが、この 「ノーブレス・オブリージュ」 が基本的道徳観とされています。

♣ 私が小学生の頃、習った有名な話を紹介します。それは第16代の仁徳天皇です(今から1,600年まえ)。彼は高台に登って村々を眺めたとき、「民のかまどに煙立たず」と見て、租税を少なくし、ご自分は倹約に努められ、宮殿の屋根の葺き替えさえ許しませんでした。キリスト教だけでなく、和の世界でも、志は同じなのですね。つまり、洋の東西を問わず、ノーブレス・オブリージュというものは、人の心の中から自然に出てくる「気配りの感情」ではないかと思います。

♣ パールが設立された十年前のある日、特別養護老人ホームを取材した雑誌が届けられました。中に、興味を引く記事がありました —— ある特養の施設長の言葉:「特養の運営にあたって、近隣住民との交流が大切であるとの気持ちはあったが、私は十年余に亙りこの職にあって、ついに一度の交流さえ果たすことができなかった、残念に思う . . . 」。十年のあいだ、一度も交流しなかったですって ? . . . 私は信じられない思いでした . . . それは「する気がなかったのでしょう?」. . . それとも、「ノーブレス・オブリージュ」というものを知らなかったのでしょうか ?

♣ 医療・福祉に関しては「医は仁術」「福祉は献身的な愛」などとささやかれます。私は、基本的に「それで正しい」と思いますが、昨今の「市場原理主義」「自己責任」「自分はさておき 他人をとがめる」という、すさんだ社会風潮に、どうしてもなじめません。それは無用な訴訟の増加をもたらし、心の荒廃に繋がるからです。

♣ 私どもには「心の自由」があります。ふだんなら 自分の自由を満喫しましょう。でも、「ここぞ ! 」という匂いを感知したときには、ノーブレス・オブリージュという、先輩たちの偉い行為があったことを思い出してください。福祉を支えているのは、この精神であろうかと思います。

職員の声

声1: Noblesse obligeとは「心の中から自然に出てくる“気配りの感情”だ」と知りました(係り:母親が 誰にも教わらないのに 子供を気遣う気持ち、これに似ています)。

声2: 「社会的責務」の精神がなければ、先回のパールの 2000人参加の「世代間コンサート」は成功しなかったでしょう。

声3: 体の不自由なお年寄り、これに対して、私たち職員は遥かに「優位」な立場です;ここにノーブレス・オブリージュの意味が成り立ちます。

声4: 現実の社会をみると、「ノーブリス・オブリージュ」とは程遠い風潮のような気がします(係り:弱肉強食ですね、欧米でも、ある面ではそうでしょうが、その中に私どもの気付かないノーブリス・オブリージュが きちんと潜んでいるのです ——“武士道”とは違いますが、なにか心の触れ合うもの、かな?

声5: アメリカで自動車工場の経営で成功した日本の某社、現地人を雇っていたのに人気が出ません;社長が ふと気づいて、ノーブレス・オブリージュの精神で 現地の人々と交流を始めたら、たちまち人気沸騰となったそうです。

声6: 私ら職員は、欧米のノーブリス・オブリージュに負けないよう みんなで協力し、この心を渋谷から全国に発信しましょう。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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