(499) あすの 介護 と 人口 オーナス

   (499) あすの 介護 と 人口 オーナス  

老人の数が増え(24 % → 44 %)介護保険の将来について 国民が危機意識を持っているので、今日は 「人口オーナス」 をキーワードとして話を進める。

♣ ご存知、老人介護は 社会発展の余力十分だった社会では、有難い存在である。その予算は 当初の 3兆円 から 現在の 10兆円 へ延びたことからも推察できる。

♣ そこで日本の戦後から現在までを振り返ってみる。戦後 10年 ( ~1955 ) は 「食うや食わず」 の時代、 そのさなかに空前の赤ちゃんラッシュがあり、 “団塊の世代” と名付けられた ( 1947年、270万人 . . . 今は100万人 )。この人たちが 15歳 を越えると 「生産人口」 に変わり、社会発展の基礎を築いた。 当時 社会の第一の革新事件は 「トランジスターの発明」だ 。テレビ ・ 電化製品 ・ 自動車 などの発展は その発明に負うところ多大である。 医療面では 「抗生物質と ステロイドの恩恵」 が光る ―― このお陰で人の死亡は 百分の一 に激減 した。日本社会は これら ① ② ③ を基礎にして 1960年 以降 空前の発展 (経済バブル) を迎えた。

♣ その結果、日本の GNP は ぐいぐいと伸び始め、1万円 の給料が 10万円 になり、国民は 1億総中流 の幸せ感に包まれた。家庭でも 「三種の神器」 ( TV ・ 冷蔵庫 ・ 洗濯機 )が普及し、1970年代 には 「老人医療費ゼロ」 などの充実した福祉が日本の豊かさの象徴となった。 30年 続いたバブルの後期 (~1990年) には、「内風呂」 さらには 「エアコン」 に至るまで、世界に冠たる “衣食住” の充実が実現した。

♣ 好事魔多し、そこで 1991年 に ソ連が崩壊し、日本のバブルも破裂、以後 現在に至るまで日本はデフレの波に翻弄 (ほんろう) されることになる。先に述べたように、日本が発展した要因は ① ② ③ であったが、今度は日本が 「衰退する強大な要因」 が現れたのだ。それは 「生産人口の減少」 、つまり 働き手が老人になり、若者は子を産まなくなったのだ。ここで 先進国における 「労働人口と社会の 発展 ・ 衰退 との関係」 を おさらいする。両者は 「人口ボーナス」 ; 「人口オーナス」 という ‘密接な関係’ で結ばれている。

ボーナスとは ラテン語の bonus、つまり ‘良い’ を語源とし、日本の習慣では 盆暮れのボーナスとなった。‘ 人口ボーナス’ には定義があって、生産人口 ( 15 ~ 64歳 ) と依存人口 ( ~ 14歳 & 65歳 ~ ) の比率が 2倍 以上であれば その社会を ‘人口ボーナス社会’ と呼ぶ。日本は戦後からバブル崩壊までは ‘人口ボーナス社会’ だった。
あすの介護と人口オーナス

♣ これとは 「真逆の現象」 、それが ‘人口オーナス ’ 社会であり、オーナスとは ラテン語で ‘重荷’ という意味だ; 社会でいえば、働く人が少なく 依存する人が多い状態を指す。日本は世界で “最初に人口オーナス期に陥った国” である。なるほど日本社会は “多々老・少子” だ と耳にタコが出来るほど聞かされているが、オーナス ( = 重荷) の程度も世界史上 最悪であって、放置すると 「破滅の旋風」 に巻き込まれると言われる。でもナゼ 健全な労働力を有する日本が ‘人口オーナス’ に見舞われるのか?その 最大の原因は 「衆愚政治だとの指摘がある。

♣ 2千年 昔のアテネ、我々が知る 「民主政治」 はそこで発祥した。ペリクレスという 将軍職 は、国民の代表者たちが自由に討議する議会に干渉せず、行き過ぎだけをチェックしたので アテネは史上 まれに見る繁栄を築いた。ところがペリクレスの死後、アテネ議会では 民主政治ではあるものの ‘多数派工作’ が横行し、これ故に 「衆愚政治」 に陥って、国は衰亡、以後 今日に至るまで ギリシャは ‘三流国’ に甘んじる衰退を見せた。

♣ 日本は、65歳 以上の投票権を持つ老人は 3千万人 を越え、その票田を狙って 政治家は 「幸せな老後を保障します」 と甘い声で連呼 し、当選を目指す。昔の老人たち は 「国家・子孫のために {社会の 在りかた} を熟慮 した」 と聞くけれど、今の老人たち は、高齢のため 認知症が進み、ご自分たちが重いお荷物 ( = オーナス )であることに無頓着、もっぱら ご自分たちが受ける 手厚い介護」 だけを要求するように見える。 国は 「 民主政治 」 と称して 「多数派老人への過剰優遇」 を続けているが、迫って来た日本の ‘人口オーナス’ 問題に取り組まない限り () 、若い労働力と税金不足で 「あすの介護」 は沈没してしまう。
あすの介護と人口オーナス

解決法? いくつかある。 ① 頭記したように ‘少子化の解決’ 、② トランジスター・ペニシリン・ステロイドの活用に呼応するような革新技術の開発、③ 労働の能率を改善、なかんずく ④ 老人への人気取り福祉行政の見直し . . . 。過去の成功体験邪魔して、日本は沈没するまで このまま行くのだろうか?

結論: 日本社会は ‘人口ボーナス’ とともに歩んできた繁栄の過去があった。 1990年代以降、日本が陥った ‘失われた20年’ の原因は主に ‘人口オーナス’ にあることを提示した。 解決法を口で言えば単純だ ―― 生産人口を増やし、依存人口を支えられるようにする ―― そのためには 衆愚政治 を見直し正しい将来展望を実行できる指導者を選出することだ。

職員の声

声1: 「人工オーナス」という 最近の社会分析法を学んだ(係り: オーナス = 重荷 (ラテン語) :つまり 高齢人口の急増、生産人口の減少、少子化で生産人口の不補充; これらによる 財政 ・ 経済 が 「重荷」 に潰された状態である)。

声2: 恥ずかしながら、「人口オーナス」 を初めて知った : 戦後社会は 「人口ボーナス」 ( = 人口のおまけ) 時代に日本は著しく成長し、逆に 労働者が 「人口オーナス期」 に入ると、国は衰亡してきた(係り: その結果、あすの介護も沈没する運命にある ―― “衆愚政治” を是正することで 老人人口を支えられる かもしれない)。

声3: 大阪の橋下徹氏の ‘都構想’ は わずか 1万票 の差で敗北、一票 の価値は 老人 ・ 若者 で同じだったのか?(係り: 今の老人は 「子孫のことや天下国家の将来」 を考えなくなった; 橋下の誤算はそこだった)。

声4: 福祉の仕事をしていると 「衆愚政治」 をしばしば経験する ―― 相談会などに ‘お呼びしていない’ お偉方が多数参加され、票決に加わられると、船は山に登ってしまう (係り: 多数決政治の欠点だね)。

声5: 現在は財政事情が何とかなっているので、老人の 治療 ・ 介護 ・ 死に場所 に問題はないが、2050年 ・ 我々の将来 は路頭に迷うのだろうか?(係り: その頃、団塊1世 が 100歳 、団塊2世 が 65歳 、つまり 「老人オーナスの極大期」 であり、世界の人々が日本の解決策を学習に来るだろう)。

声6: ギリシャで発達した民主主義は、投票者に一定以上の 教養 ・ 知識 が求められていた ―― 他方、日本の選挙では 「豊かな老後の生活を保障します」 の甘言に乗せられた 多数派老人の票で物事が進む係り: 死が間近な老人たちが 目先の ‘無料バス券’ などの ’既得権’ に釣られて投ずる 一票 と、この後 何十年 も 社会を生き抜く若者の票の価値が同じなのだろうか?)。

声7: SFの世界のように、日本は 「老人オーナス」 で ギリシャのように衰亡して行くだろう ―― だって日本の若者は自国の領土 (竹島) が犯されても関心は薄いよ係り: 福祉予算の 70% は老人向け、子供には 4% しか振り当てられない現実にも無関心だしね)。

声8: 老人たちは 若かった頃 「同居はイヤ」 として “核家族” を選んだのでしょう? ―― 歳とって不自由になり ‘何とかしてくれ ’と若者に願いつくのは どうかしらね(係り: 年寄りも 若者も本当の民主主義を勉強すべきだね)。

声9: 自然界における進化 とは、生活環境に適応した種族が より多くの子孫を残すもの であるから、「人口オーナス」 で 子孫が減って行くのを放任する国は淘汰されて行く のではないか?(係り: 悔しいけれど、このままなら ‘日本の興亡史’ として 歴史の語り草になるだけなのかなー)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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