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  (508) 身体 と 習性 の 異常進化

(508) 身体 と 習性 の 異常進化  
  
  現在の人間は 6,500万年前 流星衝突の大事件後 に生まれた哺乳類である。その発達の様子を図*に示す。 は 「類人猿」 (400万年前) で人類の祖先; アフリカの森の中からサバンナ平原に進出した頃である。毛モジャらで ゴリラ と見間違えそうだが、類人猿は 2足 の直立歩行、猿は 4足 歩行の違いがある。

は 「直立人類」 (200万年前)、脳の容積は現代人類とほぼ同じで背丈は高くなり 膝 ・ 足首 が頑丈となり、暑いサバンナ平原を歩き回って狩りをしたらしい。知恵の発達で パンツ をはいている。 は 「狩猟ヒト」 (20万年前) で、その環境に 適応 ・ 進化して身体はさらに頑丈に、脳の発達も進み、“狩り” をする道具のほか、火の利用 ・ 言語の習得 も達成している。 ③ が一番 進んだ生命であり、体も心も進化も バランス がとれ、この頃、アフリカ を出て世界各地に移住・生息を始めた。

身体と習性の異常進化

は 「近代人」 (1万年前) であり、見て分かるように、身体はやや小さく きゃしゃで、寒冷気候に応じた衣服を着、手に進歩した道具 (斧) を持つが、まだ 「靴」 の時代ではなかった。この時代以降は 「手なづけ」( domestication) の時代であり、「外界の力」 を手なづけて暮らすようになる。現代までを 三つのステージ に分けてみよう。

♣ (イ): 動植物の手なづけ。 狩猟 ・ 採集 していただけの動物を飼い慣らし、農業を通じて古代の社会を興した。知恵による‘ 灌漑 ・ 施肥’で豊かな食生活、動物のタンパク質利用で健康な体を作り、現代に繋がる。

♣ (ロ): 自然エネルギーの ‘手なづけ’ 。産業革命 (250年前) により、石炭 ・ 石油 のエネルギーが社会に取り入れられ、従来の ‘人力作業’ が能率の良い工業作業に入れ替わった。 現代人} は その有様を示す。現代人を一見して分かることは 「 整髪 ・ 眼鏡 ・ 立派な服装 ・ 腰痛 ・ 靴 」であろう。エネルギー の変換で生活が楽になり、長寿になった反面()、虫歯 ・ 糖尿 ・ 高血圧 ・ 脳卒中 などの近代病が蔓延するようになった。先進国では著しい文明の発達がみられ、物質文明は “原爆” の発明まで一途に進んだ。

身体と習性の異常進化

♣ (ハ): ヒトの手なづけ。動植物と自然エネルギーの ‘手なづけ’ だけでは 真の “幸せ” が得られず、最後は “平和と栄養” をヒトに授けること、つまり “ヒトの手なづけ” が行われるようになった。以後は主に ‘日本の事情’ を中心に語る。

♣ これにより 先の大戦後、まず人口、特に 老人人口 が著しく増え、国民は従来なかった事を次々と経験する。 1970年代 に入って、有吉佐和子 の小説 : 「恍惚の人」 が発表され、人々は 嫁の昭子 を徹底的にいじめる 舅 (しゅうと)の茂蔵の行状にビックリする。今でこそ “認知症” として認められているものの、当時は “痴呆” と呼ばれる奇異な病気が日本社会を初めて震撼させたのだ。政府も負けてはおらず、国民皆保険 ・ 老人医療の無料化 などで対応したが、年を追って増える老人の数に圧倒され、2000年 には “介護保険” がスタートした。

♣ 従来の介護は 「措置」 (そち) 制度下の介護であり、主旨は 「弱者の社会的救済」 つまり 「保護施策」 だった。新しい介護保険に謳われている目的は 「尊厳の確立と自立支援」 である。我々最後の習性の進化は 「人口の半数に近づかんとする多数の老人を、尊厳を持って自立へ導く」 という大事業である。従来 「ヒトの身体」 は一途に進化の道を歩んできたが、この大事業で 「ヒトの習性」 も同調 して進化するのであろうか?

♣ 一般に ある社会的な試みが成功したかどうかの判定は (a) それによって人口は増えたか?(b) 増えた人々は幸せを感じているか?(c) その試みは恒常的であるか、によってなされる。これらの (a) (b) (c) の目で日本の介護保険の成果を検討してみよう。

(a) の人口増加については完全に成功で、昔 人口の 4 % だった老人がいまや 24 % (6倍)、やがて44 % (11倍) にならんとしている。(b) の幸せはどうか?老人に訊いてみよ . . . 何割の人が 「私 幸せな毎日よ」 と言ってくださるだろうか? 人は誰でも年を取るにつれ ウツ っぽくなり、認知症気味にもなり、返事も頂けないことも少なくない . . .(c) に関しては大変だ ! 福祉予算は一年に 110兆円 で、税収 は 55兆円 ; つまり我々は収入の 2倍 の支出、1千兆円 の 借金生活 をしているわけで、国はやがて滅びるだろう。

♣ 我々は身体の立派な進化の道を歩んできたが、習性の進化も正しい道の上にあるのだろうか? 我々は知恵によって (イ) 動植物を手なずけ、(ロ) 自然エネルギーをも手なずけ、最後に (ハ) 人の命さえも “意のままに操ろう” と試みた。 いづれの “手なづけ” も難しいものだ ―― 特に 人の命をむやみに延長させようとすると、その かなりの部分は “自立できない不健康寿命” であることを学んだ。もう少し、人は謙遜で控えめな将来設計を考えるべきだという教訓でもある。

結論: 人類は 400万年 の昔から徐々に進化を続け、20万年 前の 「狩猟・採集人」に至って 身体 ・ 習性 ともにバランスのとれた優秀な存在になった。 1万年前 には現代人と同じ体格を持つようになったが、知恵の発達により 以後 “三つの手なづけ” で更に進化の程度を進めてきた: ―― (1万年前) 動植物の手なづけ (250年前) 自然力の手なづけ(70年前) ヒト自身の手なづけである。

手なづけが進むにつれ 人間の進化は ‘身体’ と ‘習性’ の進み方の食い違いが顕著になった ―― この 1 万年で 身体は わずかに 「退化」 、習性は かなり 「異常進化」 した。後者の顕著な例が “介護保険” である。人の命さえも “意のままに操ろう” とした結果、延びた寿命は おもに “病気寿命” となり、その上 ”多々老 ・ 少子化” の「異常社会」 をもたらした。 人の進化は 「身体と習性」 のバランスをよく見比べてて 正しく評価すべきであろう。

 参考 Jeff Wheelwright: ”Days of Dysevolution; Can We Adapt Our Way Out of Them”, Discover
5:32~39, 2015.

 職員の声:

声1: 認知症は ヒトの知恵の進化によって片付くのだろう、と私は勝手に思っていたが、事実は逆のようだ(係り: もし智恵の進化が正しければ 認知症は減るハズ ―― ところが認知症は増えた ! つまりヒトの知恵は正しくなかった( = 異常進化であった)と解釈せざるを得ない)。

声2: ヒトは身体の進化に伴って立派な社会を築いたが、ヒトの習性は それに相応な発達をしなかったのか?(係り: 強いものが弱いものをいじめ、原爆で大量殺人を行い、天寿が来た高齢者を もっと長生きさせるために若者から血税を搾り取って介護保険を運営し、次世代に繋ぐべき子供の数を抑制する . . . つまり、ヒトの習性は 正しい進化の道を逸脱したと言うべき結果をもたらした)。

声3: 介護保険のお陰で老人は長生きしたが、延長した寿命はおもに不健康寿命である … それを 「幸せ」 と呼ぶのだろうか?健康寿命とのバランスはとれないものか?(係り: 長生きしたいし、幸せにもなりたい … 「良いことづくめ」 がこの世にあって欲しい)。

声4: ‘依存’ 老人は今後 増えるばかりだ … 介護保険の目的である ‘自立’ 老人が増えて、バランスの良い人類進化が期待できないのだろうか?(係り: このままで進めば、社会は 依存老人で埋め尽くされ 先進国は絶滅する … 後進国が 取って代わってくれるだろう)。

声5:平均寿命が 100歳 になるまで異常進化は続くと予想する(係り: そうなると 増える寿命は “病気寿命” だけになり、社会の維持・発展は望めなくなる)。

声6: 介護保険で “ジワコロ” が増えたのか?(係り: 介保の目的は 「老人の自立を支援すること」 であるが、現実には 完全依存の “ジワ長生き” を勧めている)。

声7: 人類は知恵による “手なづけ” で進化してきたが、一番 最後の “手なづけ” (= 介護保険)では ヒトの命さえも “意のままに操ろう” とする(係り: これにより 老人は 「長命 かつ 不幸」 に苦しみ、若者は重税に喘いで、「多々老・少子化の ‘いびつ’ な社会」 がもたらされた)。

声8: 人類が進化すると病気が増えるのか、それとも‘ 無病’ に近づくのか?(係り: 人類が “天然寿命” で 納得 ・ 満足 できる日が来れば 「無病」 になるに違いない)。

声9: 人類は 400万年 前の ‘類人猿’ から進化して現在に至った … 400万年後 にはどうなるのだろうか?(係り: 推理小説の世界だが、たぶん その途中で 依存老人だらけの社会 になって、子はほとんど産まれず、今の人類は絶滅しているだろう . . . 別な生命が “賢い進化” を遂げ、世界を支配していくだろう)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
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