(520) 心 拍 数 と 寿 命

(520) 心 拍 数 と 寿 命

2年前に述べた “長生きの秘訣1)   は テレビなどで紹介される秘訣と異なり、「ルーの法則」 に基づく ‘客観的 長生き3 条件’ と呼ばれる。 

♣ 「ルーの法則」 とは : ――  筋肉は 使い過ぎると壊れる ; 使わない と萎縮する、 丁度 良く使うのがベストで、③ を実行することこそ 長寿への道が開かれるのだ。そこで今回は 追加の続編 を語ってみる。

♣ 皆さん方は、介護保険が過去 15年 行われ、お陰で 老人寿命が延びたと思うだろう ―― あにはからんや、そんな話題は ウェブを開いてみても、どこにも ない ! つまり 、介護保険が始まって以来、日本女性の平均年齢の延長は 「 鈍化 ・ 停止 」 しているのだ 2 )

♣ 戦後、平均寿命は 60年 で 約30歳 延びたから ( 2年 ごとに 1歳 延長 )、パール特養入所者の 15年間 なら 7.5歳 ほど延びたハズだったが、現実には 87歳 ~ 88歳 の位置で停止しており、期待された ‘延寿’ は見られなかった。 パールの初期には 最高年齢 108歳 を記録したが、最近の 10年間 ではそれは 104歳 以下に留まっている ( 他施設でもの類似であろう )。

♣ 「長生き」 と一口に言われるが、それは 無限延長ではなく、過去 140年 の統計を見ると、122歳 が稀有 (けう) の上限度であった 3 ) 。夢見るあなたへ 今の現実をお見せしよう : ―― 今年 100歳 以上は 6万人も居るが 、105歳 以上は 2,500人 と激減 、110歳 以上は わずか 80人 、115歳 以上は 居ないも同然の 2人だけ … これらの数を 日本人口の 1億2千万人 で割った数が あなたが長生きできる確率なのだ。つまり、あなたが 100歳 以上になれる確率は 0.0002 % 程度、110歳 になれるのは 事実上 不可能に近い !! ヒトが 不老長寿を願う現実に 目が覚める思いでしょうが !

♣ さて、統計上 人の寿命は 一年 に 3ヶ月 ずつ延びると報告される 4 ) が、最大年齢も 並行して延びない の ナゼ だろうか? それは 「生命の本質」 の関与があるからだ …. つまり、生命を司る 「遺伝子」 には 子を産まなくなった人の寿命を延ばす理由は全くないからである。

心拍数と寿命

図 1 を見て欲しい  ―― 実験的に延寿の試みは様々な方法で行われているが、図の上段の 「線虫」 は寿命を 6倍 に延ばすことが出来た ; 発見者は ‘人の寿命も 6倍 になれるのだ’ 、と意気込んだ ―― が、‘虫で観察された結果’ を 無条件で 人に当て嵌めることができるだろうか? 人間での実験はできないが、もし 6倍 の延寿が可能となれば、100歳 の人は 600歳 になれるけれど、お一人につき、生活費は 約25億円 掛かり( 1年 500万円 × 500年 )、保険者の厚労省は破滅するだろう。しかも 当の本人は ”深い認知症” に陥ったままで、 呼吸するミイラの状態に違いない。延寿の ’必須条件’ は、自立 ・ 自活 し、子を産む活力のある 「健康」 であり、決して 社会への ”寄生虫” であってはならない。

♣ 私らは 心して 「人間の天寿は有限であり、人は老いるものである」 ことを受け入れるべきだろう。だから、もし あなたが 40歳 になって ご自分の 「老眼」 に気づいたら、あなたの遺伝子寿命は もう人生の 半ば を過ぎたと自覚しよう …. まして 大腿骨骨頭骨折 を経験した人なら 人生は終盤になったことを拒んではいけない ―― 素直でありたい。

♣ 生き物には、有難いことに 寿命に関する 「納得のいく法則」 がある。それを 図 2 でお見せしよう 5 ) 。心臓は無限に鼓動する訳ではなく、経験的に 限度はおよそ 20億回 と言われ、それは動物の 「寿命と体重に反比例 関係」 にある。カナリアは毎分 1,000回 、ニワトリは 300回 、ヒトとほぼ体重が似ているヒツジは 70回 、クジラに至っては 20回 である。

心拍数と寿命

♣ だから、カナリアは短命、クジラは長命であるが、いずれの動物も 死ぬまでに 20億回 の心臓を打ち続けるのだから、寿命の長短に関わらず、どの動物も 何の 「損」 もしていない。つまり、‘神様には 心臓に関する限り、我らを平等にお創りになった’ という 慈愛 が感じられて嬉しいではないか。我々人間の心拍動は一日に 約10万回 であり、一年換算で 3,650万回 だ。ところが 有難いことに、女性の平均年齢 86歳 なら 3,650万×86 = 31.4億回 ! 122歳 まで生きたカルマンさん 3 ) なら 44.5億回 も鼓動があるのが現実だ。神様は 人間に 他の動物の 2倍 も多くの鼓動 を与えて下さったのである。 神様、有難う ! と言うべきだろう?この上、最大心拍数を 6倍 に増やしてくださいと神様にお願いするのは 厚かまし過ぎるよ。

♣ さて そこで 「長生きの秘訣」 に移るが、巷の 雑誌 ・ ウェブ の記事を読めば、何千 ・ 何万種類 の方法があって、付き合い兼ねる。しかし、それらの基本は 冒頭に述べた 「ルーの三原則」 に尽きるのだ。もし、“よく運動すれば 長生きできる” のなら、スポーツ選手が長生きするか?といえば、ハテナ?であろう。

♣ 何事も 分かりきったことながら ほどほど( = 中庸 )がベストだ、と“ルーの法則”は教える 。問題は “何がほどほどか?” を見つけること、そして 見つけたら それを実行することである。だがね、テレビで推奨される‘ 長生きの方法’ よりも、こちらのほうが ずっと難しいと思わないか?2000字 

 結論  介護保険で ’良い介護’ を受けても、統計的な 寿命延長は見られない。 長生きと言てっても この世での長生きは 最大 122歳であり、健康寿命なら 95歳前後が限度である。夢 ・ 幻 で財産と健康を浪費するのは 悔しいことだ ! 長生きの秘訣は 「ルーの3原則」 であって、今後も変わることは ないだろう。

参考:  1) 新谷冨士雄・弘子: 長生きの秘密、、福祉における安全管理、#428, 2013. 2 )  新谷 :各国寿命: 5つのハテナ?、ibido、 #439 2014. 3 )   ジャンヌ・ルイーズ・カルマン;122歳と164日。4 ) 新谷:寿命延長論はどこまで続く?、ibido #516, 2015. 5 ) 新谷冨士雄 :動物界における体重と心拍数の関係; 図説・色素希釈法(心機能のみかた)p75、南山堂、1986.

職員の声

声1: 心拍数が体重の立方根に反比例するとは驚きである : カナリアが一分間にナゼ 千回 も心臓が打つ必要があるのか?(係り: 腕時計のチクタクは速く打つし、お爺さんの柱時計は ゴットン・ゴットン のろい時を刻む ―― みな質量の立方根に反比例だ ―― でも 20億回 ほど時を刻むまでの寿命は同じだよ ! )。

声2: ヒトの心臓は 毎分70回 ほど打つ ~~ 一日に 10万回 ~~ 一年で 3,650万回 ….. そんな計算を今まで見たことが無くてビックリした ――― 生命が存在する限り 心臓が打つ数にも限度があり、“それこそが寿命” なのだなー、と感じた(係り: 動物の種類に関わらず 神様は20億回 の切符を配給された … 人には 2倍 の 40億回 の切符を下さった)。

声3: 心拍の速い動物は ‘寿命が短い’ とは初めて聞いた ―― 老人が運動すると心臓に負担が掛かるのは良くないのか?(係り: 心拍数の合計が 40億回 になると心臓は寿命が終わる …. その意味では脈拍が多くなる運動は 「損 ! 」 である ―― ただし、ルーの法則 により、心臓に負担が少なすぎると 老衰 が早まる … ‘ちょうど良い’ のが理想なのだ)。

声4: ‘ちょうど良い’ が長生きの秘訣、そこをみつけるのが難しいのだ(係り: 百歳越えのお婆さん方に秘訣を尋ねると ―― 私は スポーツ や 山登り など 暇(ひま)とお金の掛かる運動 は何もしなかった、とおっしゃる)。

声5: 人間、いつまで健康でいられるのか? 100歳 を越えてサッカーや野球ができるハズもない(係り: 人間の遺伝子は 50歳用 にできているらしく、子を産まない後半の 50年 の心拍数は 20億回 をはるかに越えて 動物の規格を外れ、健康も 他人様の手助けを求める 受身の人生となり、ラグビーなんてとんでもない ! )。

声6: 介護保険が始まっても、平均寿命が延びていないことは ナゼなのか、興味深い(係り: 介護が手厚ければ 寿命が延びる道理 だろ?なのに、統計を見ると延びていない … つまり 介護が 思うほど 手厚くないからだ ... いま 10兆円 ぶんの介護をしているが、これを国の税収全部 ( 50兆円 )に増やせば 老人の平均寿命も い くらかは延びるかもしれない ーー つまり 「老 成りて 若 衰える」 の路だ。 

声7: 100歳 を目指すって、夢だけを追い、自立できない生活を延ばしたいのか?(係り: 働かずに贅沢したい 、 と同じ気分だろ ;アホな我が儘にすぎない)。

声8: 人の天然寿命は子を産まなくなったらおしまい、とは ナルホドナー、と思う(係り: ‘ 育ち ・ 産み ・ 逝く ’ というのが 「全ての生命のサイクル」 だ ; 人間も戦前まではそうだったが、今は 「知恵」 によって子を産まずに楽な長生きをし、よれよれになった体でも死にたくなーい : それが多数派となった ―― これは ‘正しい進化の路’ から外れているよね ! )。

声9: 近年の科学の進歩で 「死なない人間」 が作られるらしいが、世の中はどうなるか?(係り: それは簡単だ 、① 赤ちゃんと子供はいなくなるし、恋や結婚・教育も不要、 ② 国民は オール老人 だから 国庫収入は激減し、100歳 以上の老人は 「霞 (かすみ) 」 を主食とする、③ その人が 千歳 とすれば、950歳 まで納税の義務があり、終わりの 50年 だけに年金が貰える、などだ)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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