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  (515) 老 後 破 産 

  ( # 515) 老 後 破 産

高齢者の ‘一人暮らしの問題点‘ は、体力の低下で日常生活に支障を来たしたり、介護が必要になったときに 支援してくれる同居者が 傍にいないことであろう。

♣ 「老後破産」 と聞けば、 陰鬱な印象を受ける言葉であるが、 これは 昨年から 問題にされ始めた社会問題である。同じ ‘独居老人’ であっても、社会関係が豊かな 活動家 ・ 給与所得者 なら、家に引きこもり勝ちの孤独な人などでは 生活上の意味が随分違う。また、男女の別 も大きく関与する。

♣ 「破産」 とは 経済上の言葉であって、財産を全て失う事である。‘老後破産’ とは、一人暮らしの老人の暮らし向きが 生活保護のそれよりも劣るレベルに落ちて、生活が成り立たちにくくなった 苦しい状況を指す。一人暮らしの老人は 日本で 約600万人 (総人口の 5 % ) 、その多くが 年金収入 だけで暮らしている。そのうち 生活保護は 70万人 、残りの半数は 年収 120万円 以下の厳しい生活で、この中から ‘老後破産’ が発生する、という。
老後破産
♣ 破産のきっかけは、体力の減衰 ・ 医療費の支払い や 事故 などの 外的原因 と、不適当で放埒 (ほうらつ) な生活などの 内的原因 の二種類があり、頼れる同居者がいれば なんとか凌げたのかも知れない。老後破産してしまったら、あとは行政の福祉救済に頼るか、生活保護の申請をする他はなくなる。生活保護には 行政側の財政事情も関係するので ‘審査’ にパスするための時間的余裕が必要となる。

♣ 破産による悲惨な実例報告はネットで 多数 かつ 頻繁に報告 されているが、病気の症例報告と同じで、それが必ずしも 問題の全体像を代表するものではない。なぜなら、‘老後破産’ は “破産の問題” というよりも、“一人暮らしの問題” のほうが より深刻な問題であるからだ。マスコミは世間の反響が大きい 破産報告 に焦点を当てるが、“一人暮らし” の事態分析のほうが 遥かに建設的ではないか?

♣ ここで まず、「老後」 の意味を考えてみよう。戦前は “人生 50年 ” であって、老後という期間は (特に男性にとっては) 無に等しかった 。無かったものに「破産」があるハズもない ―― つまり、“老後破産” とは、戦後の、それも特に 寿命が著しく長くなった近年でのことであって、世間はまだ その対応策に不慣れ である。

♣ 長寿は 人類最大の夢 であったのに、あろうことか “ある” マスコミは ‘老後破産’ を 「長寿という悪夢」 という言葉を使って 長寿の意義を貶め (おとしめ) 、人々を驚かせる。また、「貧乏な老人は 早く死ねと言うのか ! 」と行政の無力を追求する姿勢までを示す ! 「一人暮らし」 こそが 問題の対象であるのに、筋違いの 「長寿」 とか 「破産」 について追求するのは話題の正しい運び方ではない。

♣ 夫婦や兄弟であっても、長寿の時代、結局 最期は一人暮らしになるのは 当たり前だろうが。そもそも諺 (ことわざ) があるではないか ―― 老人は 夏の暑さで間引かれ、冬の寒さの中で消えていく。 徒然草 (つれづれぐさ) の吉田兼好も語る : ―― 家の作りやうは、夏を旨とすべし、冬は、いかなる所にも住まる。夏悪ろき住居は、堪え難き事なり、と。所詮、古今東西 老人は ’僅かな逆境’ の中で 消え逝く存在なのだ !

♣ 第一に “長生き” は 「涙を流して喜ぶべきこと」 ではなかったのか? それをマスコミは軽々しく 「長寿という悪夢」 と一刀両断する ―― それは福祉関係者に対して 失礼ではないか ! 誰も言わないのに 「貧乏人は早く死ね ! というのか」 と、関係者を叱責する その高飛車な目線は いったい何なのか? ナゼ 評論家たちは “幸せ” を語らず ‘揚げ足’ をとって陰鬱な自己顕示の表現に酔うのか?

♣ 第二に 問題は 「長寿」 ではなくて、何の準備もせずに 馬齢 (ばれい) を重ねた “一人暮らしの自己責任” のほうにあると思われる。歳をとるのを ‘タダ’ で 達成できと思うのは間違いだ … それ相応の準備をしてこそ 一人前の老人になれるのであって、準備なしの ‘他力本願’ で歳をとれば 「老後破産」 にカチ会うかもしれない。私はひところ 老人になるための ”ライセンス” が必要になる時代が来る、と思ったほどである。マスコミは、破産の責任を行政の不手際として責め、老人の味方をするけれど、それでも国の福祉予算の実態は、老人向けに 70 % 、子供向けに わずか 4 % という 老人優遇の配分なのだ。これ以上の厚遇を国に求めるのが適当だと思うのか? 

老後破産

♣ 人口ピラミッドの 図 2 を参照すれば、日本の人口分布が一目瞭然である ―― つまり多数の老人が少ない若者の肩の上に乗っかっているのだ。その昔の 「ピラミッド型」 の人口構成ならば、老人は若者に寄生できたが、今は昔を羨んでも どうしようもない。

♣ そこで 「老後破産」 に戻ろう。破産の対策を他人のセイにしても解決にはならない。日本だけでなく 世界の老後実情にも目を向けて、自己努力で次のことを参考にしながら 解決の糸口にしようではないか。 (イ) もし それが若い時分の ‘因果応報’ であるのなら、自分の中で事を処理しよう; (ロ) 借金のたぐいは定年前に片付けておき、老後も 分限に応じて働くこと ! : ( ハ) 他力本願の甘えに頼らず、年金に見合った 生活レベルのダウンサイジングも必須なのである。2094字  

♣ しつこく完璧な救済を求める手合いに対しては 親鸞 (しんらん) 上人の 「歎異抄」 (たんにしょう) の世界に入って頂きたい: それは:ーー 善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや . . . つまり行政ではなく 心の世界からの救済である。

結論:   ① 老後破産は 主に一人暮らしの老人が 少ない年金の下で 生活が成り立たちにくくなった社会状態を示す。 ② マスコミは 原因を “悪夢の長寿” と呼んで 老人の味方をするけれど、“長寿” は有り難くも 望ましいものであって、真の原因は 「他力本願で 馬齢を重ねた ‘安易な自己責任’ の方にある。 人口ピラミッド を参考にするまでもなく、老後破産を若者からの援助で解決しようとすることは、今後とも ムリだと 心得て欲しい。

参考:  新谷冨士雄・弘子:老後の半世紀、福祉における安全管理、#512:、2015.

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