(584) アダムより 幸せか ?

(584) アダムより 幸せか ?

私は思う … 人は何歳であっても、赤ちゃんを産む気迫 を持ちたいものだ、と。

♣ 先日、年中行事ながら NHK が またもや 「長寿は万人の願望」 という スペシャル番組 を放送していた。その手法は、相変わらず 過去の統計資料から割り出した寿命の成績を 将来に投影する方法 であり、‘威勢の良い超長寿の予言’ で終始していた。これは大変 耳当たりが良かったが、もうちょっと 人間社会をみつめた ‘奥行のある洞察’ が 欲しかった。そこで、今日は 「四つの観察」 を次に述べ、皆さん方のご意見を伺いたいと思う。

アダムより幸せ?

旧約聖書の系図で、 古くて皆が知っている 「アダムとイブ」 の大昔を眺めてみる( 図 1 )。アダムは 神が創造された人類の 一番バッター であり、彼が 136 歳 の時 初子 ‘セツ’ が生まれ、セツ が 105 歳 の時、初子 ‘エノシュ’ が生まれ、このようにして アダムは 8 代下 (孫の 孫の 孫の 孫) の時まで生きていて、930 歳 にして世を去った( 図 2の ’縦の仕切り線’ は百年毎を表す )。

♣ 彼らの特徴は、皆 長命であったとともに、”子を成した時期が超高齢” であったことでもある。今の言葉で言えば “大器晩成・ 精力絶倫” 型 であった訳だが、もしそうなら 「長生きのためには青春時代に恋はなく、子孫とは 老年期になってもうけるもの」 であったのか?

アダムより幸せか?

♣ 前回の ‘安全管理’ で、寿命 600 歳 (ウオルフォード教授)、1,000歳 (ドグレイ博士) の話題を提供したが、私は やはり その超高齢を不思議に思う … だって 人生を 50 年 ほど働いたあと、“働くことをやめて” 世を渡るつもりなのか?950 年 もの長いあいだ 他人に養われて “食っちゃ寝” の “寄生虫的な生き方” で 生活を送るのか? それは “正統な長命” なのか?

♣ こう考えてみると、従来 討論されてきた 「長寿願望」 は皆 厚かましくも 「老年期のみの延長願望」 であることに気付く。ナゼ 人々は若年期を含めた ‘全生活期の長生き’ を望まないのか? 更年期 50 歳 までを働いて、“後は宜しく!” と、ばかりに 「老後の楽 (らく)」 を むさぼるなんて 身勝手も甚だしい だろう?

②: その逆の、若い時期が長い人生とは何であろう? 若い時期にはすることがいっぱいあって忙しいので、若い時期を延ばしたいと思う人は あまりいない。そのうちに歳をとったあと 昔を思い出して若さを取り戻したいと欲する… それが 「若返りの泉(Fountain of Youth)願望」 であり、基本的には 「老人になった後の長寿願望」 に他ならない。

③: そこで私は考える: ―― 理想的な長生きはとは ‘青春期も老年期も 両方 長いこと’ ではないか。 ここで 具体的には 若年・ 老年の期間を 2 倍 にしてみて 満足が得られるかどうかを検討しよう。

♣ まず、思春期の始まり (生理・ 精通) が現在の 12 歳 から 24 歳 になるだろう ―→ これは問題なさそうだ ..... 小・中・高校生活が 12 年 から 24 年 に延びる ―→ ん? ヤだな ! ..... 結婚年齢が 30 歳 から 60歳 になる ―― ま、 遊ぶ時間が 30年 も増えて 嬉しいかも?

♣ だが、 お産を 100 歳 まで付き合う、閉経は 110 歳 となる ―→ オー ! それはイヤ ! と、どの女性も叫ぶ。でも定年は 130 歳 に延びるから安定な生活ができるし、寿命は 2 倍 の 200 歳 だから のんびり暮らせる ! ….. → アー ! 皆が 200 歳 になるのなら、相対的に今と変わらないから イヤだ?

♣ ん? 老年期が長くてイヤ、老年期が短いのもイヤ、老年・ 若年 の両方とも長いのもイヤ … じゃ、いったい 何を望むのか?

④: 別な考え方で、”人間以外の動物と比較” してみよう … 動物はそれぞれ寿命が異なるから、比べやすい指標として 「妊娠期間 と 寿命」 の比率を計算してみる:―― ネズミ: 20 倍、兎 60 倍、犬・ 猫: 90 倍、ヒト:130 倍、象:100 倍… 一般に大きい動物では この数値は大きいが、ヒトが最大で、「象」 になると小さくなる … つまり、相対的に ”ヒトがいちばん能率の良い長生き” なのである。

♣ 結局 一番 良いのは 上記の ④、つまり ‘妊娠期間の割に寿命が一番 長いヒトの現状’ なのであった ! その 良かった中身を再確認すると:―― (イ) 生理・精通は12歳; (ロ) 出産は20~30歳代; (ハ) 更年期は50歳;( ニ) 認知症は 85 歳 で 人口のほぼ半数 … オー、今の我々の現状そのものではないか !

♣ 認知症を ‘不幸’ と思っていたのは間違いであって、認知症は人を幸福のうちに逝かしてくれる 有難い現象だったのだ ! *  もし世の中から認知症がなかったら、人は “1,000 歳 まで生きる ミイラの不幸” に繋がるのだった ! 我々が改良したいと願った 現状こそが なんと最高の幸せ なのである。

♣ 我々は はっきりと “アダム” よりも幸せであることを 確認した !!! もし、現状に不満足を感じる人があれば、それは 単に 「他所の庭の緑は濃く見える」 だけなのではないか? 2009字  

要約:  アダムとイブの時代は 900 歳 にも及ぶ高齢時代は素敵だが、若年時代に 「恋」 の幸せが無いから イヤ ! 近年の ドグレイの 1,000 歳 は、50 歳 まで働いて 残る 950 年間 は ‘寄生虫生活’ だから 正統な長生きではナイ ! 生活歴の各部分が 2 倍 になる 200 歳 の長生きは ‘お産が 100 歳 まである’ なんて イヤ ! 50 歳 で更年期、85 歳 で認知症 …そんな現状よりもっと良い人生が有りそうにも思えたけれど、結局 我々は 一番 幸せな ライフ・サイクル を生きている ことを知った !?

参考:  新谷: 「認知症を早くみつける?」 ; 福祉の安全管理 # 563, 2016.

職員の声

声1: 老人の長生き願望は、本心ではないのだろう … だって、それは ムリ なことが分かっているハズ(係り: きっと、口癖で言っているのかもね ―― それよりも 「今の幸せ」 に重点を置いて日々を過ごされることが最大の解決法だと思う)。

声2: 老人に接していると、現状が 「辛い」 と言う悲観が多いように思うが、むしろ “現状で当たり前だ” という楽観で明るく前進できるように助言したい(係り: 一概に 「老人」 と括るのではなく、認知症の “ウツ” のステージにあるのか どうかを確かめることが大事だ)。

声3 : 無いものねだりの ‘長生き’ を求める老人は みっともない … 今の生活を維持することこそ 一番幸せ なのではないか? (係り: 老人は、ナゼ 老後だけの長生き を求めるのであろうか? “若返りして長生きしたい”、 とでも願えば、同じ不可能なことでも、その若々しい願望に同調したくなるのに ! )。

声4: 私は ‘長生きとは老後の長生き’ としか思っていなかった … 考えてみれば、「私、また 赤ちゃんを産みたいわ !」 という若々しい願望があっても良いんだ ! (係り: 私は そんな明るい老後の願望は聞いたこともナイ ! 、でも もしそれを聞いたら 思わず私も アダムになった気分になり、乗り気で楽しいお喋りに参加するかもね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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