(589) 長 寿 願 望

(589) 長 寿 願 望

人の長寿願望は 昔も今も ちっとも変わっていない。これは 人が 知恵と希望を持つ動物だからだろうか?

♣ ヒト以外の生命は、動植物を問わず、一般に 生まれたあと、時来れば、惜しげもなく逝ってしまう。ヒトだけが 悶々として 逝くことを拒むのか?

♣ 認知症のお年寄りの特徴は 「時の概念の喪失」 である ―― つまり、“明日 死ぬかもしれない、死ぬなんて嫌だ ! ” と不安をもらす人はまずいない。並みの人なら “長生きした人” に あこがれ尊敬の念を持ったものだ。

長寿願望

♣ 歴史的にはどうか? それは 「武内宿禰(たけのうちの すくね) 360 歳 であった、と伝えられる () 。氏は 第 12 代 の 景行天皇 の皇子で 若い頃の名前は 「日本武尊」 ( やまとたける ) ―― 天皇家の 「三種の神器」 のうち “草薙 (くさなぎ) の剣” で勇猛をはせた皇子で、“古事記” 時代の武人であった。でも、いかに神話であろうとも、360 歳 という年齢は頂き兼ねる ―― これは人々の長寿願望を一身に浴びた 誇張 なのであろう。の写真を見ても、この ‘禿げていない方’ が 360 歳 だとは とても思えない。せいぜい 70 歳 か?

♣ 人類発祥の頃の古代なら 人はどれくらい長寿になれたのだろうか? その例を ユダヤの “天地創造” の頃に遡ってみよう。神は最初の人類として、アダム に命を与えた ―― アダムは 930 歳 ほど生きていた。子孫もみな 900 歳 前後を生き、第 10 代 のノア( ノアの方舟で有名 )は 950 歳 である。

♣ ずっと代が下って、アブラハム の頃になると 200 歳 前後になった。しかし まあ、何と長寿だったのだろう ! ただ驚くしかない。でも、私らは 「武内宿禰」 の 360 歳 だって 眉唾もの だと思っているのに、930 歳 の長寿を ‘飲み込む’ ことはできない。‘武内もアダム’ も宗教的な 長寿願望 なのであって、真実ではなかろう ―― しかし、長寿願望は あちらでは 930 歳、日本で 360 歳、―― あちらの方が 3 倍 も ‘血なまぐさい’ のではないかと思われるが、どうだろうか?

♣ さて、年齢の数字を挙げるだけなら 誰にでも作文は可能だ。実際には 300 歳 や 900 歳 の年齢に伴う身体状況をキチンと叙述して貰わなければ 以上のお話は信じがたい。そこで “並みのヒトは加齢とともに どんな身体的特徴を示すのか” を 当たってみよう ―― ここでは 「目」 で見て分かる 主なものだけを挙げる。

♣ まず、感覚器はどうか?目は 40 歳 を越えると “老眼・白内障” が始まり、匂い鼻は 50 歳 でバカになる。耳は 60 歳 越えで高音性難聴と言って 6000 サイクル の音から聞こえにくくなり、味覚は 70 歳 で怪しくなる。第 5 番目 の ’皮膚知覚’ はもちろん歳とともに鈍くなる。つまり、人間の感覚器は ‘50歳 (更年期) 用’ にできているのだ。

♣ 男の髪は 60 歳 で早々と禿げ上がり、以後 無残にも ボーズ になる。女 20 歳 の豊かな黒髪は 50 歳 で半減、さらに老齢で テラテラの地肌が透けて見えるようになる。 85 歳 になれば 男女とも 半数の人が ‘奥歯無し’ だ。

♣ 歳をとれば 独特な ‘年寄り歩行’ ; 原因は “膝関節の軟骨” が長期使用で 損耗・消失 し、骨が痛むから。女性の骨は 60 歳を越えると スカスカ になり (骨粗鬆症) 、転倒骨折の話題は ない日がない。

♣ そして、長寿の極め付きは 「年寄りボケ ! 」 ; 認知症は、85 歳 で人口の半数が、100 歳 で 8割 が、110 歳 で全員が 掛かる “脳の老衰病” である。その主原因は 「超老化」 、つまり 「長生きし過ぎた事」 だ。「武内宿禰やアダム」 は 現代人の何倍も生きて、歯無し・禿げ頭の認知症 にならなかったのだろうか?

♣ 日本の戦前は “人生 50 年 ”の時代だったから認知症は極めて稀 (まれ) ;今の女性は平均年齢が 86 歳 だから、その死亡時には “半数が認知症” の可能性がある ―― つまり現代人は 遺伝子が保護する 更年期寿命=50 歳 の2 倍 も生きたため これほどまで 「体が」 酷使・消耗 されてきたのだ。

♣ 上に述べたような近年の 「悲惨な老態」 は 人生 50 年 の昔には知られていなかった ! いや、むしろ ”知らないまま ひたすら長寿にあこがれているだけ” の時代のほうが幸せだったに違いない。逆に考えれば、もし不老不死が このまま実現したなら、その時の 化け物のような ”老人の姿” は如何ばかりであろうか?ゾッとする ! 人生 100 年の今のまんま以上は お断りとしたい ! 1892字 

要約: 古代の人物は 現代より何倍も長生きしたという記録がある。 100 歳 の現代人が示す “目で見て分かる” 「身体的特徴」 を列記してみたが、人間は 一世紀 も暮らせば クラゲ のように 地上生活が不適当な生命と化す。 つまり、人間の長寿願望は心理としては尊いが、たった 100 歳 そこらの生存だけで ‘体’ はヨレヨレに老化、仮に長寿が許されても それを受け止める ’受け皿の体’ が付いて行けなくなるのが実情である。 昔、「人生 50 年 」と言われて来たのは まったく含蓄 (がんちく) 深い言葉であることだ ! 若い人たちよ、今を愛し、心ゆくまで今を生きよう !

職員の声

声1: 100 歳 まで生きられる コツ を教えて(係り: ① 父母・ 祖父母が長命であること、② 生活習慣病 と 癌 を避けること; この二つがあれば あなたはほぼ確実に 100 歳 になれる ーー 長寿のレシピ類を信用するな)。

声2: 長生きは ほどほどが良い; 長生きよりも現在の人生を悔いなく生きて行こう(係り: 長生きは たいてい 他人迷惑だ … “長生き” と “自立” は相反するからである)。

声3: いろいろ議論があるが、長生きして良いことがあるとは思えないし、当の本人は たいてい 不幸で不満である(係り: 今 長生きしている人たちは 自分がいかに不幸であるかを語る、もし語らない人があれば それは認知症のために自分の意思を表明できないのだ... 長命とは努力してなるものではない... ふと気づいたら いつのまにか長命になっていたのである)。

声4: 昔は長寿願望が多かっただろうが、今は 長寿 = 身障+認知症 と分かったから、その願望も凋んできた(係り: 老人施設で超高齢者を見る機会が増え、誰もあの人たちに あこがれていないことが判明している … 長寿は 「礼儀」 であって、それ以上のものではない)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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