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(82) エラー の ひみつ

   (82) エラー の ひみつ   

  パールの 「ヒヤリハット・ レポート」 を読むたびに 私の心はひどく痛む。なぜって、パールの職員は、自分個人の 「エラー」 に悩んでいる人が多いように見えるからである。そこで 「エラー」 の意味を探ってみた。

♣ 私は子供の頃の カタカナ文字 で初めて知ったのは 野球で使う 「 “エラー” と “ドンマイ” 」 だった ―― 転がってきた球を拾い損ね、‘ドンマイ ! ’ の一声で許して貰らえた。上手な人でもエラーを起こすが、ドンマイ! (気にするな ! ) のひと声で安らぎを得た。この意味で、エラーは 「小さなしくじり」 と言えた。

♣ この領域で有名なのが ハインリッヒの法則 だ。彼は一つの重大な災害 (アクシデント) の裏に 29 の小事件 (インシデント) があり、さらに 一つのインシデントに 300 ものヒヤリハットがある、と提唱した(1: 29: 300の法則)。

エラー の ひみつ

♣ この法則は、がんらい災害保険での知見だったが、医療・ 介護 の世界でも広く応用されている。つまり重大な事故を起こさないためには、最上段のアクシデントを防ぐべきであり、また 普段から それに繋がる小さなヒヤリハットに気をつけよう、という危機感管理感覚である。パールではヒヤリハット・ レポートの提出を強く奨励しているのは この故である。

♣ ところが 昔から 「人というものはエラーを起こす生き物である」 から、社会生活の中で言葉の定義が重複し、話を進めようとすると、そこで考えが止まってしまう。たとえば 似た言葉であるが、次の語句の違いを考えてみよう: “あやまち・ しくじり・ 失敗・ 過失・ 過誤・ ミス・ エラー” ... 区別がつきにくい。

♣ それぞれの言葉には格言があるほど身近である (例: 過ちて改めざる、これを過ちと言う ―― 過ちとは 図で言うと どのレベルを指すのか?; 失敗は成功の元 ―― 同じく どのレベルを失敗というのか、など)。介護の世界では、少し乱暴だが、ハインリッヒの三つのレベルを   「事故= 過失 」、 「ミス= 失敗」、 「ヒヤリハット=  エラー」 と分けてみよう。

の 「事故」 は責任問題を問われることがある。これを防ぐために 「安全管理の条項」 がある。 の 「失敗」、これは 「試みてみたけど、出来なかったこと」 であり、正解から外れた誤りを表す。介護の世界は 「集団の世界」 だから、残念ながら、この 「失敗= ミス」 がよく発生する ——下着・ 靴下・ 眼鏡などを Aさん と Bさん の取り違えをグループの仲間がやれば よほどの注意が必要だし (集団内のミス)、ご家族から “母が他人の下着を着せられている” などのクレームにも 誰が謝ればよいのか、責任感覚が分散する。

の 「ヒヤリハット」 は 「事前に回避できたハズのミス」 と言えよう (ニアミス)。事故は ③ のレベルで抑えるべきであり、よってパールでは ③ の報告が多い。これは 「他山の石」 として役立つ。

♣ 「言うは易く、行うは難し」 とは人へのサービスのことだ。 お年寄りが転倒するのを完全に防ぐのは、お年寄りを拘束すれば容易であるが、拘束は禁止だ。でも、一人 のお年寄りに職員が付きっきりになるほどの職員はいない。私どもは ケアの業務につく限り、神経を集中してこの問題に取り組むのが天命だと考えている。つまり、「エラーのひみつ」 とは、「事前に回避できたハズのミス」 と心得て、皆さん、頑張って行こう。    

参考: *  新谷:「過失と責任 特に 「骨折」 について」;福祉の安全管理 #62, 2010.

職員の声

声1: ミス (失敗) と エラー (ひやり) の関係 と対処法を理解した、ミスは 「エラー」 の段階で予防するように努めたい(係り: そうすれば 自分の失敗に気づき、おもてに出る前に訂正できる)。

声2: 問題は、自分はエラー (ヒヤリ) だと思っているのに、実はミス (失敗) だという場合だ (= 自分の失敗に気づかず、おもてに出た)(係り: 政治家の発言には こんなのが多いよ)。

声3: エラー (ひやり) の報告には 「反省する」 の句が常套だが、「改善」 に繋がらなければ、ケアの向上は得られない(係り: 「上記の集団内のミス」 は繰り返される傾向にあるから要注意)。

声4: 同じ人が 同じミスを繰り返す傾向にある(係り: 一番ヒヤリとするのは、自分のミスに気づいていない職員だ; グループの中で お互いに注意を行き渡らせたい)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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