(594) 幻(まぼろし)の 認知症

  (594) 幻 (まぼろし) の認知症   
   
「うちのお婆ちゃん、認知症にかかっちゃったよ」 とか 「あの先生のところで認知症が治った」 などの声をよく聞く。

♣ 認知症って、かかったり治ったりする病気なのだろうか?認知症が病気なら 15 歳 の高校生や 40 歳 の叔父さんも認知症にかかるのだろうか?

♣ 統計によると、50 歳 以下で認知症 (アルツハイマー病) に掛かることは 原則的にナイ ! それは “高校生が中風 (ちゅうぶう) に掛かる” と言うようなもので、モノの概念が全く違うのだ。アルツハイマーは がんらい 「老人ボケ」 または 「老人性痴呆 (ちほう) 」 と呼ばれていたが、2004 年に厚労省が 「認知症」 という上品な名前に すげ替えた経緯がある。

幻(まぼろし)の認知症

♣ つまり、認知症は 65 歳代 に初発し、以後 5 年 ごとに 「倍々ゲーム」 で頻発する 状態である(図 1認知症の初発年齢)。齢をとるほど頻発する病気なんて、他に何があるだろうか?――図の柱の高さは病気の初発頻度というよりも、まるで老齢者の 「皮膚のシミや皺」 の数を記録した図のようにも見える。

♣ 現在、認知症の原因は、大脳細胞の中に 「アミロイド・ ベータ(Aβ )などのタンパク質が固まって大脳細胞破壊を起こすこと」 だと想定されているが、それは認知症の一側面であって、まだ決定論ではない。アミロイド・ベータ って何物か?それは健康な脳細胞の中にも存在する通常成分であるが、ある時期から その濃度が増え、およそ 20 年 掛かって脳細胞を破壊し始める、と理解されている。でも疑問がある。健康な人にも存在する アミロイド がナゼ 65 歳 という年齢を区切って高齢者だけを狙い撃ちするのか?しかも齢が進めば進むほど重症になるのはナゼか? このような経過を示すほかの病気はないのか?

♣ 一般に、相関関係があっても 「因果関係を確立すること」 とは 別物 である。図2 を見られよ、これは 「年齢と心臓の働き」 を示すものであり、年齢が進めば老人の体の “代謝量” が減り、‘心拍出量’ の需要は 1/ 2に減ってゆく 1) 。この図を見て 「心拍出量が減るから認知症になる」 との結論は早計だ。この種 (しゅ) の老年変化同士を比較して “因果関係” を導くのは大変 危険なのである。

幻(まぼろし)の認知症

♣ ナゼ危険なのか? 年齢に比例する症状は他にもあるからだ――髪の毛で言えば、白髪・ 脱毛・ 禿 (はげ)、皮膚でいえば 老人斑 と 深い皺 (しわ) 、これらは男女ともに高齢順のシンボルであるが、それによって命に別状はない。ところが 「歯」 の数は年齢に沿って減り、入れ歯と食品調理の出来なかった昔なら、歯を失うと命は徐々に終わった――現在でも野生の 「猿」 や 「象」 はそうである。

♣ では、アミロイド の影響ならどうか?この場合、治療法がないから、いったん高齢になって罹患し始めたら、人は 皆 負けて “認知症” に陥る ―― 脳や歯が罹患したら、命の存続は困難になるが、髪の毛や皮膚・目・耳 などの老齢性変化なら命を落とすほどではない … こういうことだ。

♣ ここで考えを深めてみよう。野生動物は一般に更年期を過ぎると命を失うが、人間と飼育動物だけは更年期の 2 倍 も長い命を保つ。それは遺伝子の力が強まったからではなく、“知恵” の発達によるものである。なるほど そのお蔭で長命になったけれど、体の生命力を維持する 遺伝子の力 は更年期以後 日々衰え、その結果 いろんな身体老化現象が発生する。

♣ 遺伝子の関与が弱まれば、無害であったハズの アミロイド が有害物質への転換を阻止できなくなるのかも知れない――類似の現象は 難視・難聴・禿・骨粗鬆症などの進行でも観察される。つまり認知症の 病理標的 は、従来 アミロイド病変 とされているが、本当の ‘標的’ はアミロイドより一段上の 「身体老化」 ではなかろうか? 上記の 図1 は老化に伴って 「倍々ゲーム」 で認知症頻度が増えるが、これは通常の “病気” のパターンとは全く違うのである。

♣ 認知症という名称は、あたかも 因果関係を有する 「上品な病気」 と誤認させる ‘きらい’ がある。だが、それは単に日本式の名前の “すげ替え” に過ぎず、2004 年 まで 「年寄りボケ」・「老年性痴呆」 と呼ばれ、その本性は すなおに 「退行変性」 で了解されていた。「変性」 であれば、物質の錆 (さび) のようなもので、特定な因果関係が関与する 「実体」 ではない。事実 最近、アルツハイマーの考え方や薬物開発の標的 (アミロイド) が見当違いか?という論評さえある 2)

♣ 認知症の研究者は 「脳細胞レベルの研究」 をするが、実地の行動レベルには手を出さない。他方、認知症の臨床家は 「行動研究」 をするが、原因の究明には歯が立たない。結局、認知症の実態は、ただ今 「不毛」 である。このことからアルツハイマーは 「病気なのか?それとも単なる老衰変性か?」 を考えることが今後の重要なポイントとなるのだろう。1987字

要約:   アルツハイマーは 65 歳 から齢を追って年々急増するが、若者に発症することはない。 その原因は大脳細胞の中に 固形アミロイド が沈着することとされるが、年齢とともにその頻度が 「倍々ゲーム」 で増える理由は説明できない 認知症は、2004 年 までは 「年寄りボケ」 と呼称されていて、その実態は 「老衰変性」 だ、と認識されていた。 実際、認知症は “掛かったり 治ったりする病気” ではなく、ただひたすら 「倍々ゲーム の変性が進行する 老衰病理」 なのであろう。

参考: 1) 新谷冨士雄:「年齢と心係数の関係」;図説・ 色素希釈法 (南山堂)、p87, 1986. 2) 柳沢勝彦: 「認知症 最近研究」;学士会会報 September, 76~85, 2016.

職員の声

声1: 「認知症」という言葉は社会に根付いているが、その本来の意味は 「老人ボケ」 なのか?(係り: Yes ! 長生きすると 皆 ボケて認知症になる――この現実を受け止めよう)。

声2: 本文の 図-1 をよく見ると、65 歳 から 5 歳 おきに認知症の発生頻度が 2 倍 ずつ増えている(係り: ガンや脳卒中なども更年期以後で増えるが、倍々ゲームで増えることはない――つまり認知症は因果関係の確立した病気ではなく 単なる 「老衰変性」 であろう ! )。

声3: 認知症の予防や治療法が なかなかみつからないことは、それが病気ではなく 「老衰」 であることを示唆する(係り: 治療法がいずれ開発されるというが、老衰変性であれば 歳が若返ることはムリだ)。

声4: 認知症は 昔 「ボケ」 と呼称され、地域では 暖かく受け入れられていた…今では 「訳の分からない ‘奇病’」 として気味悪がられているが、真の原因は 「老衰」 であり、アミロイド が大脳に溜まるのは その結果ではないか?(係り: 頭皮の禿・ 皮膚のシミ・ 歯の脱落 のように、老衰変化が “大脳” に来た、とみられるね)。

声5: 認知症が 「老衰変性?」 との判定が定まれば、介護問題は 一発で解決だ―― 老衰変性に国費を注ぎ込んで良いものか?それは 延命療法 ではないか?(係り: 大食いの糖尿病・大酒の肝硬変は自己責任病なのに、健康保険が適用されている ―― 国は過保護が好きなのだろう)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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