(73) 生 き 甲 斐

(73) 生き甲斐   
       
  辞書を見ると 「生き甲斐」=「生きるに値するもの; 生きて行く 張り合いや喜び」 とある。

♣ なぜ私が「 生き甲斐」 という言葉にかかずらうかといえば、老人福祉に一番大事な言葉が 「生き甲斐」 だからだ。先週 発表された日本人の平均寿命: 女は 86.8 歳 でこの 25 年間 世界一を独占、男は 80.5 歳 で世界 5 位 ;いずれも日本新記録、とても おめでたい発表だった。

♣ しかし、物事には表があれば裏もある。私が気にするのは、「不安で さびしく、痛くて苦しい、長い 長がーい 老後」 を暮らしている高齢者の実態だ。昔から、人間の最大の望みは 「元気で長生き」 だった。今もこれは変わっていないが、25 年間 も世界一の長生きをしている日本のご婦人たちは お元気だろうか? 幸せですかな?

♣ もちろん、幸せな方もあるが、私たちは介護の仕事に従事するせいか、痛ましい長命を嘆く声が少なくない。日本は 「親孝行」 の国だから、なんとかお年寄りをおもてなししようとして、いろんな工夫をする。たとえば クラブ活動・ 歌・ 花・ 稽古ごと・ 体操など、いろいろな事を勧める。それらは、もちろん、無いよりマシだろう。

♣ でもお年寄りが元気に長生きするのに本当に必要な 「生き甲斐」 は何だろうか? そんな 「生き甲斐」 が普遍的に存在するのなら、それを見つけて お年寄りたちにさし上げる工夫をしたらどうどうだろうか?(

生き甲斐

♣ 長生きして、ご本人もさることながら、はた目にも 「生き甲斐」 がある、と認められる人々; 例を上げると、一般に 「オーケストラの指揮者、芸術家….元気で長生きだ ! 女性の作家 … 男性と違って ‘生活習慣病’ が少なくて 丈夫だ; 中曽根康弘・元総理大臣 (98歳、白寿に近く まだ世界平和研究に没頭)。聖路加病院の日野原重明先生 105歳、お元気でテレビに出演されている。

♣ これらの方々は 専門性をお持ちで、それを楽しんでおられる。私の想像では、「する仕事のない人は老後をもて余す」 ように思う 1) 。昔の老人は、死ぬ直前まで “頼り” にされていた。たとえ小さな仕事であっても お役目があった。

♣ しかし今は子供と同じく 「過保護」 である。その上、“頼られていない” から身体を動かさない。悪循環で 「廃用症候群」 に陥る。若い頃、社会の無知により 「接待・ 過食・ 過酒・ 過煙・ 過労 . . . 」 で命をすり減らす。これらの行為は、当の本人は無知のゆえ理解できないだろうが、“ルー (Roux) の法則” で言えば 「活力の減点要素」 の最たるものである 2) 。本当なら 「金寿」 (120歳)を全うすべきところを、「銀寿」 どころか 「銅寿」 (80歳) の手前で、生きる活力・ 役割・ 意欲を失って 逝ってしまう。くやしいことだ !

結論:  “ルー (Roux) の法則” をキチンと勉強し、命をムダ売りしない、 自分が 「人に頼ってもらえる術」 を身につけておく、 死ぬ一週間前まで、これを続ける。    

参考: 1) 新谷: 「長生きのひみつ」;福祉の安全管理 # 5, 2010.  2) 新谷:「ルー(Roux)と智恵」、 ibido #45, 2010.

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